佐々木将人@函館 です。

>From:ABE Keisuke <koabe@mcc.sst.ne.jp>
>Date:2003/06/24 21:41:20 JST
>Message-ID:<koabe-C324DA.21412024062003@news.fu-berlin.de>
>
>率直に言うと、まずどんなことも同じように扱われるというのが
>基本にあって、

そりゃ細かい議論には全然使えない基本でしょう。
「同じ」というのが実は評価基準によって複数あり得て
しかもその相互間で衝突が起き得るものである以上、
重要なことは「何の点において同じ」かという「何の点」
すなわち同じこと自体ではなく
何の点を重視して評価するかという観点です。

A案「東京都にも鳥取県にも同額の1億2000万円の交付金を交付する」
のも
B案「東京都にも鳥取県にも人口1人あたり同額の10円の交付金を交付する」
のも
いずれでも
「東京都と鳥取県を同じに取り扱っている」と主張することは可能です。
おさえておかなければならないのは
ある基準で同じだと判断するということは
別の案を「同じではない」と判断しているということです。
この時に単に「同じか否か」を議論するのは
ナンセンスそのものであります。

交通違反についても同じことが言えます。
「公平」というものが差の不存在を示すなんて単純な話ではないことは
既に指摘したとおりですが
捕まる人と捕まらない人がいたって
それがどういう観点で同じか否かを考えることの方が大事なのであって
それを放っておいて単純に「同じ」だとか「違う」だとか議論するのが
ナンセンスなのです。

だからこそ同じじゃないと判断する基準が大切になるのです。

>> 公平と平等は必ずしも同じ概念ではないとは言え
>> 憲法14条の差別の禁止が
>> 異なる扱いをすることを全て禁止していると読んではいけないことと同じ。
>(引用順を変えます)
>> ちなみに英語の「fair」の反対語は「foul」
>> 不正・違法・こすい・ずるいなどの訳語を与えられるもの。
>> 単純に「差がある」だけではだめ。
>
>公平と平等の違いについて、是非とももう少し具体例による
>説明を伺いたいです。

今回の議論に関係あるの?
それより公平にしても平等にしても
「ある基準で公平・平等とされることは
 別の基準では不公平・差別とされることがある」
ことをおさえる必要があると思うんだが……。

ちなみに平等には「等しい」という概念が含まれていますが
公平にはかならずしも「等しい」という概念が含まれていません。
……そして平等と言えども絶対的な「等しさ」を要求している訳ではないのが
  憲法14条の話です。
  合理的な区別であれば許されるということは
  ある基準からは平等とされないかもしれないけど
  それゆえに直ちにだめとなるのではなく
  違う扱いをすることの合理性があれば許される
  言い換えれば違う基準で平等であり、その基準が妥当なら
  憲法14条違反を問わないというのが肝要な訳です。

>世間的に通らないというのは、

世間の人は不公平という言葉を
単に「差がある」という意味では使ってないということです。
このあたりは別投稿の湯川さんの指摘が参考になるでしょう。

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