工繊大の塚本です.

2015年11月21日土曜日 6時27分03秒 UTC+9 Kyoko Yoshida:
> > 双対空間の概念を2つの体 F, F' が関係する場合に一般化しようと
> > しているようですが, F 上の線形空間 V から F' 上の線形空間 F' への
> > 「線形準同型」とは何か, が定義されていなければ無意味です.
> 
> なるほど,そうでしたね。
> F,F'は体でFからF'への環準同型φが存在し,V-FをF上の線形空間とする時,
> V-FからF'への線形準同型全体Hom(V-F,F'-F',φ)をVとF'とφの双対空間といい,
> D(V,F,F',φ)と表す事にする。と言えばいいのですね。

何をしようとしているか想像は付きますが,
貴方は未だ何が「線形準同型」であるかの定義を与えていません.

> 了解です。F':=Fとします。

全て体 F 上での話とするのなら良い.

> えっ? エルミート双対写像は双対写像の特殊な例ではなく全く別の概念だったのですね。 

関係はありますが, 別の概念です.

> 前記事で述べた左随伴写像の定義でちょっとします。
> 
> [Def(随伴,汎,内積)] F,F_iを体(i=1,2,3,4),V_iをF_i上の線形空間とし, 
> f∈vHom(V_1,V_2),h∈Map(V_3×V_2,F), k∈Map(V_4×V_1,F)とする。

又 F_i などとしている.
差し当たり, ここでの議論には関係しないでしょうから,
以下無視します.

> > 山本さんの本では, Λ^p C^n を定義するのに, 正規直交基底を固定して
> > C^{ n \choose p } と同型になることを利用して書いていますが,
> > 固定された正規直交基底と組にして考えないと間違えます.
> > (a_1 e_1 + a_2 e_2 + a_3 e_3)Λ(b_1 e_1 + b_2 e_2 + b_3 e_3)
> > =   (a_2 b_3 - a_3 b_2) e_2Λe_3
> >   + (a_1 b_3 - a_3 b_1) e_1Λe_3
> >   + (a_1 b_2 - a_2 b_1) e_1Λe_2
> > と e_2Λe_3, e_1Λe_3, e_1Λe_2 が基底となっているのが
> > 山本さんの定義です. ですから, 正しくは基底付きで考えて下さい.
> 
> つまりp175の定義をF^nで読み替えてみると,
> p≦n,Ω:={e_1,e_2,…,e_n}をF^nの正規直交基底として
> 集合{e_{i_1}∧e_{i_2}∧…∧e_{i_p};1≦i_1<i_2<…<i_p≦n}をF^{nCp}の基底とする。

それを Λ^p F^n の基底として, Λ^p F^n を F^{n \choose p} と同一視するのです.

> この時,一次結合を用いて
> (Σ{k=1..n}a_{1_k}e_k)Λ(Σ{k=1..n}a_{2_k}e_k)∧…∧Σ{k=1..n}a_{p_k}e_k
> =Σ[1≦i_1<i_2<…<i_p≦n]det(A[i_1,i_2,…,i_p])e_{i_1}∧e_{i_2}∧…∧e_{i_p}
> 但し,F^{n×p}∋A:=

 F^{n \times p} というよりは, A \in (F^n)^p であるわけですが,

> a_{1_1},a_{2_1},…,a_{p_1}
> a_{1_2},a_{2_2},…,a_{p_2}
> :
> a_{1_n},a_{2_n},…,a_{p_n}
> でA[i_1,i_2,…,i_p]はAからi_1,i_2,…,i_p行を取り出して作ったp次の小行列) 
> (∵定理11.2)
> 
> が山本さんの定義ですよね。

 F^n の元 p 個の外積はそうなります.
 
> それで
> (a_1e_1+a_2e_2+a_3e_3)Λ(b_1e_1+b_2e_2+b_3e_3)
> =(a_2b_3-a_3b_2)e_2Λe_3+(a_1b_3-a_3b_1)e_1Λe_3+(a_1b_2-a_2b_1)e_1Λe_2 
> 
> はn=3,p=2の場合の外積ですね。

はい.

> > (a_1 e_1 + a_2 e_2 + a_3 e_3)×(b_1 e_1 + b_2 e_2 + b_3 e_3)
> > =   (a_2 b_3 - a_3 b_2) e_1
> >   + (a_3 b_1 - a_1 b_3) e_2
> >   + (a_1 b_2 - a_2 b_1) e_3
> > というベクトル積 × は, C^3 の(非退化双線形形式である)内積と

失礼. 「対称」が抜けていました.

> 非退化双線形形式とは,∀x∈C^3に対して(x,y)=0ならy=0∈C^3
> 且つ,∀y∈C^3に対して(x,y)=0ならx=0∈C^3という意味ですね。

内積は, そういう性質を持つ, 対称双線形形式です.

> > (3重線形交代形式で正規化条件を満たすものである)行列式から
> > 定義される, C^3×C^3 \to C^3 なる写像ですが,
> > Λ^2 C^3 の基底として, e_1Λe_3 の代わりに e_3Λe_1 を取って,
> > Λ^2 C^3 と C^3 の同一視を行うのでなければ,
> > 外積 Λ と一致しません.
> > # 外積における e_1Λe_3 の係数は (a_1 b_3 - a_3 b_1) で
> > # ベクトル積における e_2 の係数 (a_3 b_1 - a_1 b_3) の(-1)倍です.
> 
> なるほど, こちらは
> p≦n,Ω:={e_1,e_2,…,e_n}をF^nの標準基底(F:=CかF:=R)として
> 集合{e_{i_1}∧e_{i_2}∧…∧e_{i_p};1≦i_1<i_2<…<i_p≦n}をF^{nCp}の基底とする。

そういう話をするのは「外積」の場合.

> この
> (Σ{k=1..n}a_{1_k}e_k)Λ(Σ{k=1..n}a_{2_k}e_k)∧…∧Σ{k=1..n}a_{p_k}e_k
> =Σ[1≦i_1<i_2<…<i_p≦n]det(A【i_1,i_2,…,i_p】)e_{i_1}∧e_{i_2}∧…∧e_{i_p}
> 但し,F^{n×p}∋A:= 
> 
> a_{1_1},a_{2_1},…,a_{p_1}
> a_{1_2},a_{2_2},…,a_{p_2}
> :
> a_{1_n},a_{2_n},…,a_{p_n}
> でA【i_1,i_2,…,i_p】:=(e_{j_1},e_{j_2},…,e_{j_{n-p}},A)∈F^{n×n}という拡大行列
> (但し,{j_1,j_2,…,j_{n-p}}={1,2,…,n}\setminus{i_1,i_2,…,i_p}, 
> j_1<j_2<…<j_{n-p})
> で n=3,p=2の時,特にベクトル積と呼んでるのですね。

違います. Λ^p F^n と Λ^{n-p} F^n とを同一視する方法には
 *-operator というものがあり, それは上とは符号が違います.

> ベクトル積の一般の定義はこれで正しいでしょうか?

だから, 上のものでは n = 3, p = 2 の場合でも
通常のベクトル積と符号が違っているところがあると指摘したでしょう.
正しくありません.

> > 外積に対しては, 内積などなくても, 自然な定義を与えることができます.
> > それは少し議論が高級になるので, ここでは省略します.

ということで省略します.
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