Re: 3×3正値エルミート行列の正値性
工繊大の塚本です.
2016年2月24日水曜日 20時32分22秒 UTC+9 Kyoko Yoshida:
> あれからグラスマン積についてhttp://www.rainbowseeker.jp/xoops/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=401&forum=12&post_id=2970&noreadjump=1
> や
余り参考になることは書かれていないように思います.
> 第 6 回 ベクトル代数 - TOKYO TECH OCW
> といったサイトで調べてみました。
こちらは東工大が講義録を公開しているものの中の「材料数理科学」の
ものでしょうか.
> グラスマン積は交代積とも呼ばれるのですね。
基底を固定して, 外積を { n \choose p }-次元の数ベクトルとして表し,
Grassman 積と呼ぶのは, 一部での習慣でしょう.
ベクトル空間の外積を交代なテンソル積と考えるときに
外積を交対積と呼ぶこともまああるでしょう.
> 山本哲朗氏の著書ではグラスマン積はnCp次の列ベクトルになってますが,
> サイトでは(3次の場合)
> Alt(a,b):=
> 0, a_1b_2-a_2b_1,a_1b_3-a_3b_1
> -(a_1b_2-a_2b_1),0,a_2b_3-a_3b_2
> -(a_1b_3-a_3b_1),-(a_2b_3-a_3b_2),0
> という3×3行列になってるのですがこれはどう解釈したらいいのでしょうか?
ベクトル空間 V に内積が入っていて,
V とその双対ベクトル空間 V^* とを同一視できるとき,
V \otimes V と V \otimes V^* を同一視することができます.
V = R^3 なら, u \in R^3 に対して {}^t u \in (R^3)^* が対応しますから,
u \otimes v には u \otimes {}^t v が, また, u {}^t v という行列が
対応します.
# V \otimes V^* は Hom(V, V) と同型です.
u_1, u_2, \dots, u_p に対して,
その外積 u_1 \wedge u_2 \wedge \cdots \wedge u_p を交代テンソルとして
考えることは,
\sum_{\sigma \in S_p} \sgn(p) u_{\sigma(1)} \otimes u_{\sigma(2)} \otimes \cdots \otimes u_{\sigma(p)} を対応させることですから,
u \wedge v = u \otimes v - v \otimes u であり,
= u {}^t v - v {}^t u を作ることです.
> 3次のグラスマン積の定義は著書では,
> Grs(a,b):=(a_1b_2-b_1a_2,a_1b_3-b_1a_3,a_2b_3-b_2a_3)∈F^3
> という3次元ベクトルですよね?
3 次の交代行列全体は 3 次元のベクトル空間であり,
上の対応を保つ同型が存在します.
> あと,グラスマン積とベクトル積との違いですが,
> ベクトル積とはグラスマン積の特別な場合で,
> p:=n-1の時且つ下(第n成分)から符号が+,-,+,-,…と交互になっているものの事ですね?
n = 3 の場合でなければ, 普通ベクトル積は考えません.
因みに, 「符号が」「交互」というのは,
1-vector u と (n-1)-vector \alpha の外積 u \wedge \alpha が
標準的な n-vector \omega の k 倍であるとき, 即ち,
u \wedge \alpha = k \omega のとき,
\alpha(u) = k として, \alpha を V^* の元と考えて,
更に, V と V^* とを同一視して, (n-1)個のベクトルの外積に
一つのベクトルを対応させるということであれば,
基底をとって考えるのでも, 順序を逆にする必要があるでしょう.
> 4次の場合だと
> Vct(a,b,c):=diag((-1)^{4-1},(-1)^{3-1},(-1)^{2-1},(-1)^{1-1},)Grs(a,b,c)と
> 書けるのですね?
山本さんの定義で a \wedge b \wedge c が
順に \Delta_1, \Delta_2, \Delta_3, \Delta_4 の成分を持つとき,
(\times(a, b, c), d) = \det(a, b, c, d) とするには,
= \Delta_4 d_1 - \Delta_3 d_2 + \Delta_2 d_3 - \Delta_1 d4
ですから, \times(a, b, c) の成分は
順に \Delta_4, - \Delta_3, \Delta_2, - \Delta_1 とする必要があります.
だから, 貴方の式は違います.
> 最後に外積とはグラスマン積やベクトル積とも異なる概念で,3次の場合の外積とは
> Ext(a,b):=
> 0, a_1b_2-a_2b_1,-(a_1b_3-a_3b_1)
> -(a_1b_2-a_2b_1),0,a_2b_3-a_3b_2
> a_1b_3-a_3b_1,-(a_2b_3-a_3b_2),0
> という3×3行列の事だと解釈したのですがこれで宜しいでしょうか?
だから, それも違います.
--
塚本千秋@基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp
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