工繊大の塚本です.

In article <khgsmu$snr$1@dont-email.me>
"Kyoko Yoshida" <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> 以前に
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_infinite_set__00.jpg
> と順序数(cardinal)を定義しました。

貴方が定義しようとしているのは cardinal で, 「基数」です.
更に, そこに書かれているのは, 「定義」というより,
一般連続体仮説を仮定したときに成り立つ「結果」です.

> そして 「数学のロジックと集合論」のp129を読んでます。
> 順序数の定義が私のとだいぶ異なってるですが,
> 私のは間違っておりますでしょうか?

「基数」のことを「順序数」と間違えているという意味で
全く間違っています.

> そしてp129の下の方に無限集合の定義が載ってますが
> そこでやはり自然数を用いていますよね。
> 自然数を用いているという事は帰納的集合の概念を用いてるのでしょうから
> 「帰納的集合存在公理」を仮定せねばならないと感じたのでした。

そういう導入の順序をこの本は選んでいます.

> In article <130129214739.M0211587@ras2.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > この本では便宜上自然数を用いて定義されていますが,
> > 自然数を表に出さずに「有限集合」を定義することもできます.
> > 岩波の数学辞典(第4版)を御覧になれば,
> > 集合 A のベキ集合 P(A) の部分集合 X について,
> > (1) \emptyset \in X,
> > (2) \forall B \in X, \forall a \in A, B \cup { a } \in X,
> > であるとき, X は A によって生成される部分集合の族, ということにして,
> > A によって生成される部分集合の族 X すべてについて, A \in X,
> > であるとき, A は有限である, とする定義が書かれています.
> > # 355 濃度 F. 有限と無限の定義
> 
> これはベキ集合と和集合の概念しか要らないので更にシンプルな定義ですね。
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_infinite_set__01.jpg
> と二通り定義いたしました。

先ず, 岩波数学辞典の定義を「無限集合」の定義として採用するなら,
「帰納的集合」は「無限集合」であることを示して御覧なさい.

次に, 「帰納的集合」が「デデキント無限集合」であることの
「証明」ですが, 証明になっていません.
帰納的集合 A から A 自身の中への写像 f: A \to A を
 f(x) = x \cup { x } で定めるとき, その像 f(A) は
 A から { \emptyset } を \setminus したものとなるとは
限りません.
# A が最小の帰納的集合 N であればそうなりますが.
つまり, f が A から A \setminus { \emptyset } への
 bijection であることの「証明」として書かれている以上,
どこか間違っていることになります.

> 自分自身類と考えればあながち
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_infinite_set__00.jpg
> のDef 424.99でも間違いではないのでしょうか?

何が言いたいのか良く分かりませんが,
先ず, Def424.98 において考えるべきは
 ordered set ではなく, well-ordered set でなければなりません.
同値な well-ordered set の代表として選ばれるのが順序数です.

> つまり, (A,≦)が整列集合の時,
> 順序同型の類ordtyp(A,≦)(:={(A',≦');(A',≦')は(A,≦)と順序同型})
> の代表元(A,≦)が順序型ordtyp(A,≦)の順序数。
> という具合に。

その代表元が具体的に与えられていることが重要です.

> 順序数⇒順序型は言えるが順序型⇒順序数は一般には言えないのでしたね。

整列集合の順序型を表す順序数は一意に決まりますし,
順序数自身も \in についての順序で整列集合であり,
その整列集合としての順序型はその順序数自身です.

> 無限基数と言ったら, 無限集合の順序型の事であって順序数ではありませんね。

集合の基数というのは
それと濃度を等しくする順序数の中で最小の順序数のことです.
無限集合には
それを整列集合とする順序で順序型が同じでないもの
が何通りも入りますが,
一番小さな順序型をもつように順序を入れた時の順序型が
その基数です.

> そして,N∪{φ}とか,Rや2^Rとかは極限順序数とは言えないのですね。

 N \cup { \emptyset } = N でしょう. ( 0 = \emptyset.)
 R とか 2^R 自身はただの集合でしかありませんから,
順序数ですらありません.
 R とか 2^R の基数は極限順序数です.
一般に無限基数は極限順序数です.

> 集合論における論理式とは
> http://www.sdi-net.co.jp/sdi_148.htm
> で述べてあるような,"∈"という記号を使った論理式の事ですね。

で, 「論理式」とは何か, 定義出来ていますか.

> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_zf_axiom__00.jpg
> では一階述語論理と"∈"を使って,ZF公理系を構築しておりますが。。

正確にいえば, そこでは「論理式」ではなく,
くだけた形での表現が使われています.
「数学のロジックと集合論」の 4.5 集合論の形式化 の途中,
 p. 157 の 問 4.5 を考えてみると良いでしょう.

> ではどうすればZF公理系に行きつけれるのでしょうか?

上の問題を考えていけば, 「集合論の形式化」では
何が必要とされているか分かってくるでしょう.

> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_definition__00.jpg
> と訂正致しました。これなら大丈夫でしょうか?0

そこだけ訂正してもあまり意味はないでしょう.

> そのようです。p149の関数記号とは
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_first_order_predicate_language__00.pdf
> での[定義-8]の命題関数(素論理式)の事と解釈すればいいでしょうか?

全然違いますよ.

貴方が組み立てていると思っている naive な「論理学」と
数理論理学における「1階の述語論理」の体系とは
全く違うものです.

> 変数が一つの命題関数,変数が二つの命題関数,…を夫々,1変数関数記号,2変数関数記号,…と言うのですね。

違います.

> どんな変数xでも常に命題関数PがP(x)=true(か若しくはP(x)=false)の時は,
> 0変数関数記号(定関数記号)と呼ぶのですね。

違います.

関数記号は何かの数学的対象を表すものです.

> そうしますと,
> 関係記号も所詮は変数によって真偽が決まってしまう命題関数の一種ですよね。

関係記号は真偽値を与えるものです.

> どうして関数記号と分けてあるのでしょうか?
> 関数記号と関係記号の違いとは何なのでしょうか?

与えられるものが「数学的対象」であるか「真偽値」であるかの
違いがあります,

> すいません。また混乱してしまいました。教科書のp75,p76を参考にすべく
> 先ず命題論理式を定義を試みました
> (P75下の定理2.4にて"集合論の論理式"と断ってあるので).
> 命題論理式の定義は教科書のp142の定義4.1に載っておりましたが,
> "論理式"を定義するのに(1)にて"論理式"という用語が使ってあり,

 (1) は「各々の命題記号 \simga_n は論理式である」ですが,
どんなものが「論理式」であるか, を定義するときに,
これこれは「論理式」である, という文章が出て来るのは
当たり前だと思いますが,

> 意味がよくわかりませんでしたので

分かりませんか.

> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_logical_formula_propositional_formula__00.pdf
> という具合に命題論理式の定義をしましたがこれででも大丈夫でしょうか?

それでは駄目だという話です.

! 貴方が組み立てていると思っている naive な「論理学」と
! 数理論理学における「1階の述語論理」の体系とは
! 全く違うものです.

> そして,
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_set__00.pdf
> という具合に集合の定義を再チェックしました。
> [定義1.65]で初めて集合の定義が完了するので
> ZF公理系を述べてる間は[定義1.595]中では集合という言葉を使わずに
> "数学的体系"という用語を用いましたがやはり不味いでしょうか?

駄目に決まっています.
集合論の公理が集合を定めなくてどうするのですか.
まあ, そんなことは枝葉末節のことで, 要するに
「形式的な数学的体系」とはどのようなもので,
そこにおける「推論」とは何をすることか,
ということがお分かりではない.

> それでもって晴れて
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_logical_formula_of_Set_theory__00.jpg
> という風に集合論での論理式が定義できましたが,これも大丈夫でしょうか?

その「文章もどき」には何の意味もないでしょう.

> そして,
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_Peano_s_postulate__00.jpg
> という具合にNがPeanoの公理が証明できました。

こういう基本的なことの証明では,
 m \in m \cup { m } のような基本的なことも
どの公理を使ってそのように証明するかを述べるものです.

> Theorem9.807の(v)でm∈m∪{m}となる理由は
> Axiom of extensionalityよりという事で間違いないでしょうか?
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_Axiom_of_extensionality__00.jpg

 Axiom of extensionality をどう使うというのです.
他の公理は使わないのですか.

> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/axiom_of_comprehension__00.jpg
> と訂正致しました。

 axiom of comprehension という言い方は2階の時に使われるので,
1階述語論理に基づくZFC集合論では axiom (shema) of separation
としておくのが良いでしょう.
それは axiom (shema) of replacement (と axiom of extensionality)
から導くことができるわけですが, parameter の入っていない形としては,
そんなものでしょう.

> そして置換公理についてQ&A 数学基礎論入門からの質問です。

久馬栄道著の共立出版からの本ですか.
本学の図書館には入っていないようです.

> そして,p112の末行で「yが存在しない場合には"それでもよい"という事である」
> と記載されてるのですが"それでもよい"とはy=zは真と考えてもよい。
> という意味なのでしょうか?

参照できないので, お答えのしようがありません.

> でも今,yは存在してないので,y=zは明らかに偽だと思うのですが。。。

まあ, 何となく, どういう誤解か分かるような気もしますが.

> そして, p113なのですがここでは置換公理の解説にいたってます。

以下も本文を見た上でお答えするのでないと,
不正確になるでしょうから, 差し控えます.

> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_set__00.pdf
> [Def-0.37]にて数学的体系という言葉を使いました。これは完全に間違いでしょうか?

その言葉が使われている状況と貴方が前の投稿で使った状況とは同じですか.
もっとも, あなたには axiom system が分かっていないようだから,
間違いであると述べておいた方が良いかも知れません.

> 玄人さんには何と応えればいいのでしょうか?

そういう「間違った質問の仕方」をするのは素人です.

> すみません。くっ工夫って一体どうすればいいのでしょうか? 

出来ないなら止めることです.
-- 
塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp