工繊大の塚本です.

In article <k5kqrv$lg0$1@dont-email.me>
"Kyoko Yoshida" <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> In article <121008213045.M0121673@ras2.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > 実際には, I 上殆ど至るところの x について
> 
> ここでは任意の測度空間と仮定してあるのでしょうか?

無論, 任意の測度空間でも構いませんが, ここでは
実数上の Lebesgue 測度についての話です.

> 後,IはR上の開集合としてもいいのでしょうか?

はい.
 
> > \lim_{n \to \infty} f_n(x) = f(x) であり,
> > ある I 上可積分な関数 g(x) について |f_n(x)| \leq g(x) であれば,
> > \lim_{n \to \infty} \int_I f_n(x) dx = \int_I f(x) dx
> > が成立するという Lebesgue の定理を使えば,
> > 面倒なことは必要ないのです.
> 
> Lebesgue dominated convergence theorem
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop199_9523__00.jpg
> の事ですよね。

記号に怪しげなものもありますが, 基本的には良いでしょう.

> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_297__02.pdf
> でいいのですね。

 Real part と Imaginary part に分けることに意味がない
という話は既にしました.

> > 実変数 u と複素変数 z の関数 f(u, z) に対し
> > F(z) = \int_1^\infty f(u, z) du によって定義される関数が
> > z の正則関数であることを示すには,
> > \int_1^\infty { \partial f \over \partial z}(u, z) du
> > の存在を言うだけでは不十分です. 一方,
> > \int_1^\infty { \partial f \over \partial z}(u, z) du
> > の連続性は正則性の証明には必要ないことです.
> > きちんと
> >  \lim_{h \to 0} (F(z+h) - F(z))/h
> >   = \int_1^\infty { \partial f \over \partial z }(u, z) du
> > を示す必要があります.
> 
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop199_99495__00.pdf
> でいいのですよね。

 F(z) = \int_1^\infty f(u, z) du が微分可能であることを示せば,
 F(z) が連続であることは自動的に導かれます.
そこで [Prop199.99495] の証明に限ってお話しますが,
 (u^t - u^s)/(t - s) = (log(u)) u^{s + \theta(t-s)} (0 < \theta < 1)
という「平均値の定理」は実数値関数でなければ成立しない定理であり,
複素変数の s, t についての u^t, u^s については適用できませんから,
正しくありません.

> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_29995__04.jpg
> とすれば良かったのですね。

 (i) はそれで良い. (ii) は (i) から明らかに間違い.
 \int_1^\infty u^{s-1} \exp(-u)/(1 - \exp(-u)) du
が複素数平面上正則なので,
 \zeta(s) \Gamma(s) - \sum_{n=0}^\infty (B_n(1)/n!)((-1)^n/(s+n-1))
はやはり複素数平面上正則. 極は持ちません.
 \zeta(s) \Gamma(s)
および
 \sum_{n=0}^\infty (B_n(1)/n!)((-1)^n/(s+n-1))
は s = 0, -1, -3, \dots, に一位の極を持ちます.

> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop192_1025__02.jpg
> と少し訂正致しました。 

 C^\infty という表記を使うと, 実関数に対するものを普通考えます.
解析的というのはその場合 C^\omega と表すものですが,
ここは単に analytic と書くのが良いでしょう.

> > A 上正則な関数 F(z) は自動的に A 上解析的になり,
> > 特に A 上何回でも微分できて導関数は全て連続になります.
> 
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop192_1025__02.jpg
> でいいのですよね。

不自然な記号がつかわれていることを除けば, まあ良いでしょう.

> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop211_4__00.jpg

実部・虚部に分けることには意味がありません.

> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop211_4__01.jpg
> と訂正してみたのですが末行から2行目にて
> ∫_0^∞1/x exp(πx)/(exp(πx)-1) dx が収束しそうにありません。
> どうすれば
> |Re(x^{s/2})1/x 1/(1-exp(-πx))|∈L^1((0,∞),Brl((0,∞)),dx)
> が言えますでしょうか?

先ず, Re(x^{s/2}) の書き換えが間違っています.
 Re(\exp((s/2) \log(x))) の \log(x) を外に出してはいけません.
そもそも実部・虚部に分けるのが間違いの元.

  \sum_{n=1}^k |x^{s/2-1} \exp(- \pi n^2 x)|
   = \sum_{n=1}^k x^{Re(s)/2-1} \exp(- \pi n^2 x)
   \leq \sum_{n=1}^k x^{Re(s)/2-1} \exp(- \pi n x)
   \leq x^{Re(s)/2-1} \exp(- \pi x)/(1 - \exp(- \pi x))
      = x^{Re(s)/2-2} \exp(- \pi x) (x/(1 - \exp(- \pi x)))

> Prop211.4が示されればTheorem1.2はOKなのですね。

事実に反する仮定の下では何でも真になります.

> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/theorem1_2__08.jpg
> のようにRe(s)>1の範囲を広げる事が可能なのですね。

 Re(s) > 2 での式を書き換えたものが
任意の複素数 s で意味を持つようになれば,
それが解析接続した関数の表示になります.

> > いずれにせよ, 貴方は何も証明できていないわけです.
> 
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/theorem1_2__05.pdf
> とRe(s)>1でtheorem1.2を特に支障なく証明できた(つもり(?))なのですが

既に, [Prop211.4] の証明は, 式変形からして間違っているし,
何も証明されていないということを述べました.
それを使っている [Theorem1.2] の (iii) の証明も無効です.

> 一体どこでRe(s)>2が効いてくるのでしょうか?

 x^{Re(s)/2-2} \exp(- \pi x) (x/(1 - \exp(- \pi x)))
が (0, +\infty) 上可積分になるのは Re(s) > 2 の時です.

> > F(s) = \int_1^\infty f(x, s) dx の正則性を証明するには
> > \lim_{h \to 0} (F(s+h) - F(s))/h
> >  = \int_1^\infty { \partial f \over \partial s }(x, s) dx
> 
> どうして
> lim_{h→0} (F(s+h) - F(s))/h=∂/∂s∫_1^∞f(x, s) dx
> ではなく,
> lim_{h→0} (F(s+h) - F(s))/h=∫_1^∞∂/∂sf(x, s) dx
> なのでしょうか?

 (d/ds)(F(s)) = (d/ds)(\int_1^\infty f(x, s) dx)
  = \lim_{h \to 0} (F(s+h) - F(s))/h
というのはただの定義の式. この極限が存在することを
証明するには, 実は,
 (d/ds)(F(s)) = (d/ds)(\int_1^\infty f(x, s) dx)
は \int_1^\infty { \partial f \over \partial s }(x, s) dx で
与えられるということを見越して使うの良い,
というのが Hint になります.

> ここの入れ替えはそう簡単には言えないのでしょうか?

当然, そこが本質的に示すべきことですから.

> >  \int_1^\infty x^{s/2-1} (\sum_{n=1}^\infty \exp(- \pi n^2 x)) dx
> >  \int_1^\infty x^{(1-s)/2-1} (\sum_{n=1}^\infty \exp(- \pi n^2 x)) dx
> > の両方について正則性を示すわけですが,
> > それには, 例えば前者については,
> >  \lim_{h \to 0}
> >   (\int_1^\infty ((x^{h/2} - 1)/h - (1/2) \log(x))
> >                  \times x^{s/2-1} (\sum_{n=1}^\infty \exp(- \pi n^2 x))
> > dx)
> >   = 0
> > を示せば良い.
> 
> つまり,f(s,x)がs=aで微分可能である事は
> lim_{h→0}[(f(s+h)-f(s))/h - (∂/∂s)f(s,x)]=0を言えばよいと仰ってるのですよね。 

違いますよ. [(f(s+h, x) - f(s, x))/h - { \partial f \over \partial s }(s, x)]
を (0, +\infty) で積分したものが h \to 0 で 0 に収束することを
示す必要があります. 各点ごとに,
 \lim_{h \to 0}
  [(f(s+h, x) - f(s, x))/h - { \partial f \over \partial s }(s, x)]
  = 0
であることは当然ですが, それだけでは Lebesgue の定理は適用できません.

> > これの扱い方については, 以前も述べましたし,
> > 最近の別の投稿でも述べました. 後者についても同様です.
> 
> lim_{h→0}(∫_1^∞((x^{h/2} - 1)/h-(1/2)ln(x))
>                 x^{s/2-1}(Σ_{n=1}^∞exp(-πn^2 x))dx)=0
> は上のlim_{h→0}[(f(s+h)-f(s))/h - (∂/∂s)f(s,x)]=0を表しているのですよね。

だから, 違います. Lebesuge の定理を適用するのに必要なのは
 |(f(s+h, x) - f(s, x))/h - { \partial f \over \partial s }(s, x)|
を可積分関数 g(s) で,
 |(f(s+h, x) - f(s, x))/h - { \partial f \over \partial s }(s, x)| \leq g(s)
と評価することです.

> 取りあえず
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop211_45__01.jpg
> となったのですが下から5行目から4行目への変形はどうして出来るのでしょうか?

 \int_1^\infty x^{s/2-1} \sum_{n=1}^\infty \exp(- \pi n^2 x) dx
の正則性と,
 \int_1^\infty x^{(1-s)/2-1} \sum_{n=1}^\infty \exp(- \pi n^2 x) dx
の正則性とは別個に議論した方が良い.
前者が全複素数平面で正則であれば,
後者は s を 1 - s に置き換えただけですから,
やはり全複素数平面で正則です.

> それと下から4行目でlimを∫の中に入れれるのは何故なのでしょうか? 

 Lebesgue の定理をお使い下さい.
-- 
塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp