Re: ζ関数に関する命題,解析接続,Γ関数など
工繊大の塚本です.
In article <k406j2$fp9$1@dont-email.me>
"Kyoko Yoshida" <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> えっ複素数では"累乗"という言葉は使われないのですね。
複素数でなくても「累乗」に "involution" という word は
使わないという話です.
> 何と言えばobsoleteではないでしょうか?
"the power u^s of the base u with the exponent s"
とかでしょうか. See <http://en.wikipedia.org/wiki/Exponentiation>.
> In article <120912190748.M0125208@ras1.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > 1/\Gamma(s) は非正の整数の s で一位の零点を持ちます.
>
> なのでProp205.2999の[2]は問題ないのですね。
はい.
> > \int_0^\infty u^{s-1} \exp(-u)/(1 - \exp(-u)) du
>
> ん? ∫_1^∞ u^{s-1}exp(-u)/(1-exp(u))du ではないのでしょうか?
[6] は「和」と「積分」の両方を含むようにカッコが付いているでしょう.
[6] は (\sum_{n=1}^\infty 1/n^s)(\int_0^\infty u^{s-1} \exp(-u) du) を,
即ち, \int_0^\infty u^{s-1} \exp(-u)/(1 - \exp(-u)) du を
変形して, 全複素数平面から s = 1, 0, -1, -2, \dots, で
意味を持つようにした式のことでした.
> > を解析接続した関数は
それが \zeta(s)\Gamma(s) の表示を与えていました.
> これはζ(s)Γ(s)-Σ_{n=0}^∞(-1)^nB_n(1)/(n!(s+n-1))という関数ですね。
だから違います.
> > s = 1, 0, -1, -2, \dots, で一位の極を持ちます.
ここは不正確でした. \zeta(s)\Gamma(s) は
s = 1, 0, -1, -2, \dots, で高々一位の極を持つ.
B_n(1) = 0 となる場合もあるわけです.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_29995__00.jpg
> となったのですが
そうはなりませんよ.
\zeta(s)\Gamma(s)
= \sum_{n=0}^\infty (B_n(1)/n!)((-1)^n/(s+n-1))
+ \int_1^\infty \exp(-u)/(1 - \exp(-u)) du
という等式を, どう変形しようとしているのですか.
> [3]の理由と[12]の理由はどのようになりましょうか?
> あと,ζ(s)Γ(s)-Σ_{n=0}^∞(-1)^nB_n(1)/(n!(s+n-1))は
> ∫_1^∞u^{s-1}exp(-u)/(1-exp(u))duの
> 何からCへの解析接続になるのでしょうか?
ということで, これらは無意味な質問です.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_29995__00.pdf
> とお蔭様で上手くいきましたが
全然分かっておられないようです.
holomorphic の定義も分かっていないでしょう.
> Prop205.29995で∫_1^∞exp(-u)u^{s-1}/(1-exp(-u))duの定義域は
> 何になるのでしょうか?
その関数が全複素数平面で正則であることを理解していないのなら,
全部やり直しです.
> > 「数論1」の定理 3.18 (1) を復習しましょう.
>
> いっ一応,復習してみましたが,,,何処か間違っておりますでしょうか?
間違っているのではなく, 「これが分かったら」の「これ」,
つまり,「ここからどうすれば (\zeta(s) が) s = -2, -4, \dots, で
零点を持つ事がわかるのでしょうか?」を知りたければ,
それを復習すれば良い, と申し上げました.
> そうますと前記事でのご説明
> 「 = \sum_{n=1}^\infty \int_0^\infty (x/(\pi n^2))^{s/2} \exp(-x) dx/x
> = \sum_{n=1}^\infty \int_0^\infty x^{s/2} \exp(- \pi n^2 x) dx/x」
> という変形はどうしてできるのでしょうか?
y = x/(\pi n^2) という変数変換をそれぞれの積分で行い,
y を x に書き戻せば良い.
> 前記事で「= \sum_{n=1}^\infty \int_0^\infty x^{s/2} \exp(- \pi n^2 x) dx/x
> = \int_0^\infty x^{s/2-1} (\sum_{n=1}^\infty \exp(- \pi n^2 x)) dx」
> という変形のご説明を戴きましたので,この変形は項別積分かと思ったのです。
そこで一回だけ無限和と積分の順序交換を行うので,
他のところではそういう操作を行っていないことは
読めば分かる筈です.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/theorem1_2__02.pdf
> となりましたが
論理が通っていないようです.
> Prop211.35の上から3行目の
> Σ_{n=1}^∞∫_0^∞x^{s/2}exp(-πn^2x)dx/x
> =Σ_{n=1}^∞∫_0^∞(x/(πn^2))^{s/2}exp(-x)dx/x
> という変形はどうして出来るのでしょうか?
上で説明しました.
> それと5ページ目の上から2行目で
> Σ_{n=1}^∞∫_0^∞(x/(πn^2))^{s/2}exp(-x)dx/x
> =Σ_{n=1}^∞∫_0^∞x^{s/2}exp(-πn^2x)dx/x
> という変形はどうしてできるのでしょうか?
同じことを2度訊くのはどうしてでしょうか.
> > 因みに「数論2」では Re(s) > 1 においてこう書き換えることができると
> > していますが, \exp(- \pi n^2 x) \leq \exp(- \pi n x) 位の
> > 評価では, \sum_{n=1}^\infty \exp(- \pi n^2 x)
> > \leq \exp(- \pi x)/(1 - \exp(- \pi x)) としかなりませんから,
> > Re(s) > 2 でないと, Lebesgue の定理が使えません.
>
> そうしますと
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/theorem1_2__02.pdf
> のProp211.4にて∫とlimの入れ替えの箇所(冒頭から12行目)で
> Lebesgueの単調収束定理を使ったのですが
> ここでRe(s)>2と仮定とておかないと
> 10行目から12行目の変形にLebesgueの単調収束定理は使用不可なのでしょうか?
\sum_{n=1}^\infty \int_0^\infty f_n(x) dx
= \int_0^\infty (\sum_{n=1}^\infty f_n(x)) dx
を示したいなら, \sum_{n=1}^\infty |f_n(x)| が [0, \infty) で
可積分でないと Lebesgue の定理に乗りません.
\sum_{n=1}^\infty |f_n(x)| に単調収束定理を使っても,
それが可積分でなければ, \sum_{n=1}^\infty f_n(x) に対しての
結論は出ませんから.
> > どうせ解析接続した形に付いての等式が言えれば良いのですから,
> > Re(s) > 2 として示しておくのが良いでしょう.
>
> ちょっと混乱してます。
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/theorem1_2__02.pdf
> のTheorem1.2の(iv)ではRe(s)>2と仮定してζ^(s)=ζ^(1-s)を示せばいいのですね。
示すべきは, Re(s) > 2 では
\pi^{-s/2} (\int_0^\infty x^{s/2-1} \exp(-x) dx)(\sum_{n=1}^\infty 1/n^s)
= 1/(s(s-1)) + \int_1^\infty \psi(x) (x^{s/2} + x^{(1-s)/2}) dx
となることであり, これが示されると,
1/(s(s-1)) + \int_1^\infty \psi(x) (x^{s/2} + x^{(1-s)/2}) dx
は全複素数平面での有理型関数を与えていますから,
\pi^{-s/2} (\int_0^\infty x^{s/2-1} \exp(-x) dx)(\sum_{n=1}^\infty 1/n^s)
の解析接続として定義された \hat{\zeta}(s) の
全複素数平面で意味のある表示として
1/(s(s-1)) + \int_1^\infty \psi(x) (x^{s/2} + x^{(1-s)/2}) dx
が使えることが分かります.
これから, Re(s) > 2 という制限なく, 任意の複素数 s について
\hat{\zeta}(1-s) = \hat{\zeta}(s) であることが従います.
「解析接続」, 分かりますか.
> > それは \hat{\zeta}(s) = \pi^{-s/2} \Gamma(s/2) \zeta(s)
> > という Re(s) > 1 での定義の式から, 一歩も進んでいませんね.
>
> えっこれの何処が間違っておりますでしょうか?
> 今,ζ^は特にRe(s)>1とは仮定されてないのですが。
これは失礼. 確かに「 Re(s) > 1 での」というのは間違いでした.
\hat{\zeta}(1-s) = \hat{\zeta}(s) を示すのではなく,
(i), (ii) を示すだけなら, それで十分でしょう.
> > \psi(x) = \sum_{n=1}^\infty \exp(- \pi n^2 x)
> > とおくとき, 任意の複素数 s について
> > \hat{\zeta}(s)
> > = 1/(s(s-1)) + \int_1^\infty \psi(x) (x^{s/2} + x^{(1-s)/2}) dx/x
> > であることを示したので,
>
> すいません。示しておりませんでした。
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop211_45__00.pdf
> となったのですが
最後から三行目の (1/2) \int_1^\infty x^{-(s+1)/2} dx とか
(1/2) \int_1^\infty x^{-1-s/2} dx とかの項が
最後から二行目で消えているし,
最後から二行目は全然駄目です.
> 末行で
> ∫_1^∞(x^{s/2}+x^{(1-s)/2})Σ_{n=1}^∞exp(-πn^2x)dx/x
> =∫_1^∞(x^{s/2}+x^{(1-s)/2})Σ_{n=1}^∞x^{s/2}exp(-πn^2x)dx/x+1/(s(s-1))
> の変形はどうすれば言えますでしょうか?
最後から二行目が間違っているので,
その末行自体が間違っているのですよ.
> 取りあえずTheorem1.2の(iv)は
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/theorem1_2__03.pdf
> でいいのですよね。
他は駄目ですが.
> ところでProp211.45の(ii)でどうすれば
> ∫_1^∞(x^{s/2}+x^{(1-s)/2})Σ_{n=1}^∞exp(-πn^2x)dx/xの
> Cでの正則性が言えますでしょうか?
s での微分が存在することを示しましょう.
一般に, F(s) = \int_1^\infty f(s, x) dx の微分が
存在することを示すには,
\int_1^\infty { \partial f \over \partial s}(s, x) dx
が存在して,
\lim_{h \to 0}
(\int_1^\infty ((f(s+h, x) - f(s, x))/h
- { \partial f \over \partial s}(s, x)) dx)
= 0
が成立することを示すことになります.
--
塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
GnuPG Key ID = ECC8A735
GnuPG Key fingerprint = 9BE6 B9E9 55A5 A499 CD51 946E 9BDC 7870 ECC8 A735