Re: ζ関数に関する命題,解析接続,Γ関数など
工繊大の塚本です.
In article <k4sumi$o4g$1@dont-email.me>
"Kyoko Yoshida" <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_297__01.pdf
> でいいのですね。
monotone convergence に御執心のようですが, Im(s) \neq 0 なら
Re(u^{s-1}) = u^{Re(s)-1} \cos(Im(s) \log(u))
は u によって符号を変えますから,
\sum_{n=0}^k \exp(-xu-nu) が単調増加であっても,
(\sum_{n=0}^k \exp(-xu-nu) Re(u^{s-1})
は単調増加ではありません.
実際には, I 上殆ど至るところの x について
\lim_{n \to \infty} f_n(x) = f(x) であり,
ある I 上可積分な関数 g(x) について |f_n(x)| \leq g(x) であれば,
\lim_{n \to \infty} \int_I f_n(x) dx = \int_I f(x) dx
が成立するという Lebesgue の定理を使えば,
面倒なことは必要ないのです.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_297__53.jpg
> でした。
はい.
> In article <121001210433.M0221457@ras1.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > \int_1^\infty u^{s-1} \exp(-xu)/(1-\exp(-u)) du
> > 自体が全複素数平面で正則な関数を表すということは
> > 理解出来ましたか.
>
> はい。
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_29995__00.pdf
> のProp199.9949で証明済みでした。
実変数 u と複素変数 z の関数 f(u, z) に対し
F(z) = \int_1^\infty f(u, z) du によって定義される関数が
z の正則関数であることを示すには,
\int_1^\infty { \partial f \over \partial z}(u, z) du
の存在を言うだけでは不十分です. 一方,
\int_1^\infty { \partial f \over \partial z}(u, z) du
の連続性は正則性の証明には必要ないことです.
きちんと
\lim_{h \to 0} (F(z+h) - F(z))/h
= \int_1^\infty { \partial f \over \partial z }(u, z) du
を示す必要があります.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_29995__03.jpg
> でしたね。失礼致しました。
\int_1^\infty (\exp(-u)/(1-\exp(-u))) u^{s-1} du
自体が複素数平面全体で正則な関数なので,
それの解析接続というのは普通使わない言葉ですが,
間違っているわけではないので, まあ良いでしょう.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop192_1025__00.jpg
> と訂正いたしました。これならいかがでしょうか?
開集合 A の上で定義された関数 F(z) は A の各点で
微分可能であれば A 上正則です. 導関数 F'(z) が
A 上連続になることは仮定する必要がありません.
A 上正則な関数 F(z) は自動的に A 上解析的になり,
特に A 上何回でも微分できて導関数は全て連続になります.
> そうでした。「何からCへの解析接続」という言い方はしないのでした。
しますよ.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_29995__03.jpg
> でいいのですね。
初めから複素数平面全体で正則な関数の複素数平面全体への
解析接続というのは, 普通言わないだろう, ということです.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop199_951__00.jpg
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop199_952__00.jpg
> でございます。
貴方の <http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop211_4__00.pdf>
における \sum_{n=1}^\infty \int_0^\infty x^{s/2} \exp(- \pi n^2 x) dx/x
の変形において,
実部と虚部とを分けた後での括弧の付け方の間違いで,
\cos と \sin の変数の中の \log(x) がフラフラ出歩いた所為で,
間違った式になっているので分かり難いかも知れませんが,
上で u^{s-1} \sum_{n=0}^k \exp(-xu-nu) について述べたのと
同じことで, Im(s) \neq 0 のとき,
積分関数の実部・虚部は単調増加ではありません.
> Σ_{n=1}^kexp(Re(s/2)ln(x))cos(Im(s/2))(ln(x))^2exp(-πn^2x)1/x
> \xE3^A\xA8
> Σ_{n=1}^kexp(Re(s/2)ln(x))sin(Im(s/2))(ln(x))^2exp(-πn^2x)1/x
> とがL^1(R,Brl(R),dx)の元で且つ単調なので[Prop199.951]と[Prop199.952]から
> ∫とlimの入れ替えを行いました。
正しく計算すれば,
x^{Re(s/2)-1} \cos(Im(s/2) \log(x)) \sum_{n=1}^k \exp(- \pi n^2 x)
x^{Re(s/2)-1} \sin(Im(s/2) \log(x)) \sum_{n=1}^k \exp(- \pi n^2 x)
であり, Im(s) \neq 0 のとき, 単調増加ではありません.
> > 可積であることを示すのに, 実部と虚部とに分けるのは
> > 無駄でしょう.
>
> どっどうして無駄なのでしょうか?
どうせ Lebesgue の定理を使うことになるからです.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/theorem1_2__06.jpg
> ではいかがでしょうか?
[Prop211.4] は証明されていないわけですから駄目です.
> あっもしかして
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/theorem1_2__07.jpg
> という具合に仮定をRe(s)>2にしなければこの命題は真にならないのでしょうか?
私はそうした方が簡単に証明できると思いますが,
いずれにせよ, 貴方は何も証明できていないわけです.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop211_42__00.jpg
> とお陰様で漸く解決できました。
x \geq 1 で \exp(\pi x) - 1 - \exp(x) > 0 というのは
間違っていませんが,
\exp(\pi x) - 1 - \exp(x) = \exp(x)(\exp((\pi - 1) x) - 1) - 1
であって, \exp(x)(\exp((\pi - 1) x - 1) - 1) ではありません.
> > { \partial \over \partial s} x^{s/2}
> > = (1/2)(\log x) x^{s/2}
> > { \partial \over \partial s} x^{(1-s)/2}
> > = -(1/2)(\log x) x^{(1-s)/2}
> > といった計算が出来ませんか.
>
> そっそれはそうですがこれをどう利用するのでしょうか?
F(s) = \int_1^\infty f(x, s) dx の正則性を証明するには
\lim_{h \to 0} (F(s+h) - F(s))/h
= \int_1^\infty { \partial f \over \partial s }(x, s) dx
を示す必要があるので, 先ず
{ \partila f \over \partial s }(x, s)
が正しく計算できないと始まりません.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop211_45__00.jpg
> という具合に直接,
> ∫_1^∞(x^{s/2}+x^{(1-s)/2})Σ_{n=1}^∞exp(-πn^2x)dx/x
> が微分可能であることで示そうとしたのですが
> 上から4行目で∫とlimの入れ替え可能の理由がどうしても分かりませんでした。
> ここさえ突破できればおしまいなのですが。
それは当然です.
> 今,sの範囲は複素数全体ですよね。
> どうして∫とlimとが入れ替え可能になるのでしょうか?
\int_1^\infty x^{s/2-1} (\sum_{n=1}^\infty \exp(- \pi n^2 x)) dx
\int_1^\infty x^{(1-s)/2-1} (\sum_{n=1}^\infty \exp(- \pi n^2 x)) dx
の両方について正則性を示すわけですが,
それには, 例えば前者については,
\lim_{h \to 0}
(\int_1^\infty ((x^{h/2} - 1)/h - (1/2) \log(x))
\times x^{s/2-1} (\sum_{n=1}^\infty \exp(- \pi n^2 x)) dx)
= 0
を示せば良い. これの扱い方については, 以前も述べましたし,
最近の別の投稿でも述べました. 後者についても同様です.
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塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
GnuPG Key ID = ECC8A735
GnuPG Key fingerprint = 9BE6 B9E9 55A5 A499 CD51 946E 9BDC 7870 ECC8 A735