Re: ζ(s),DL(s,χ),_{amodN(s)},ζ(s,x)の複素平面上での正則性・有理型性・解析接続可能性の証明
工繊大の塚本です.
In article <kdhtce$o4t$1@dont-email.me>
"Kyoko Yoshida" <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> In article <130110231635.M0110974@ras2.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > そこで述べられている f(x) は定義も性質も性質の証明も出鱈目です.
>
> この定義でf(x)は[0,1]は連続&微分可能になっているではありませんか。
> 証明は何処から完全にNGでしょうか?
f(x) = x/(\exp(x) - 1) (x \neq 0), f(0) = 1, とすれば,
問題なく R 上の C^\infty 関数であったのに,
f(x) = x/(\exp(x) - 1) (x > 0), f(0) = 1, f(x) = 1 - x/2 (x < 0)
とした為に, R 上の C^1 関数でしかありません.
C^\infty でなければ駄目です.
しかも, その f(x) が "holomorphic" であるというウソを,
\lim_{x \to 0} f'(x) が存在するということだけを証明して
述べています. この極限の存在証明だけでは f'(0) の存在すら
証明できていません.
ということで出鱈目です.
> うーん,でも
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_2925__05.jpg
> の箇所はどうすれば突破できるのでしょうか?
そのような不等式は必要ありません. 複素線積分が有界の値を取る
ことさえ言えれば良いので,
|\int_{C_\epsilon} (\sum_{n=0}^\infty h^n (\log u)^{n+2}/(n+2)!) \times
u^{s-1}/(\exp(u) - 1) du|
\leq \int_{C_\epsilon} |\sum_{n=0}^\infty h^n (\log u)^{n+2}/(n+2)!)| \times
|u^{s-1}/(\exp(u) - 1)| |du|
\leq \int_{C_\epsilon} (\sum_{n=0}^\infty |h|^n |\log u|^{n+2}/(n+2)!) \times
|u^{s-1}/(\exp(u) - 1)| |du|
\leq \int_{C_\epsilon} (\sum_{n=0}^\infty |h|^n |\log u|^{n+2}/n! \times
|u^{s-1}/(\exp(u) - 1)| |du|
= \int_{C_\epsilon} |\log u|^2 \exp(|h||\log u|) \times
|u^{s-1}/(\exp(u) - 1)| |du|
と変形すれば十分です.
> 『|h| が有界であれば一様に有界な連続関数の有限区間での積分に帰着するので,
> 有界であり, 』
> という事を使うのでしょうか?
C_\epsilon の円弧の部分はそうです. 両端の実軸上の積分の所は
x のベキ乗や (\log x)^2 を掛けたものに \exp(-x) を掛けたものが
[\epsilon, \infty) 上で可積分で積分が有界になることを使います.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_2925__07.pdf
> とかしてみたりもしたのですが
> -1/h^2+ln(u)/h+u^h/h^2というhが分母の項が出てきてしまうので
> |h|<cでhが0に近づくれば
> ∫_ε^∞|[(-1/h^2-ln(u)/h+u^h/h^2)u^{s-1}/(exp(u)-1)]|duが有界に
> ならなくなってしまうのですがどうすればいいのでしょうか?
\sum_{n=2}^\infty が何時の間にか \sum_{n=-2}^\infty になって
しまったようですね.
> > 無限路での複素線積分が収束しないということを
> > 「無限大」を用いて表現することはありません.
> > ただ, それは「収束しない」と述べるだけのことです.
>
> "\not \in C"と表現する事もないのですね。
ありません.
> > 実数の無限区間上の正値関数の積分であれば,
> > それが収束しないということを「無限大」になると表現できます.
この場合との違いを良くお考え下さい.
> つまり, 実積分の場合は実数値,±∞,振動の3通りのケースがあり,
単に広義積分などを考えるなら, 収束するかしないかのどちらかです.
非負値関数の広義積分を考えるときは収束するか無限大に発散するかの
どちらかであるとも言えます. 非負値関数の場合が特別なのです.
だから, 一般に広義積分でも絶対収束, 条件収束の区別が出て来る
わけですが, それはまた別のお話.
> 例えば,∫_-1^1dx/x^2は実積分として考えると,∫_-1^1dx/x^2=+∞ですが,
> 複素線積分として考えると,"∫_-1^1dx/x^2=∞"という表記は存在せず,
> 単に,複素線積分不能である,もしくは複素数値は存在しない,もしくは発散する
> と呼ぶのですね。
x = 0 で連続でないような関数の複素線積分を考えることは
ないでしょう. つまらない例を持ち出さないことです.
> ∫_0^1(sin(1/x))/x dxについても実積分では振動ですが
x = 1/t と変数変換すれば, dx = - dt/t^2 であり,
\int_0^1 \sin(1/x)/x dx = \int_1^\infty (\sin t)/t dt
となりますから, この積分は条件収束します.
> 複素線積分として見た場合は振動とは言わず,
> "複素線積分不能である"と言うのですね。
このような実関数の積分を複素線積分と考えるような
無駄なことをする人はいません.
> つまり,複素線積分では"無限大に発散"と"振動"の区別は存在せず,
> ただ単に"発散する"としか表現しないという事なのですね。
「発散する」とひとくくりにするのが普通です.
他の区別を持ちこんでも役に立ちません.
> > 実数の区間上の複素数値関数に対しても Riemann 積分,
> > Riemann 広義積分は考えられます.
>
> そうだったのですか。とても参考になります。そうしますと
>
> 『f:A→C (但し,a,b∈A⊂R)とする時,
> ∫_a^b f(x)dx :=
> sup{Σ_{i=1}^n min {|z|;z∈f([x{i-1},x_i])}∈R;
> x_0:=a,x_n:=b,x_j∈(x_{j-1,x_n) (但し,j=1,2,…,n-1),n∈N}:=S
> (a<bの時),
> 0 (a=bの時),
> -S (a>bの時
> と定義して∫_a^b f(x)dxをf(x)のaからbまでの定積分という』
>
> が値域が複素数の関数fのRiemann定積分の定義となると思いますが
> これで大丈夫でしょうか?
Riemann 和も作らずに Riemann 積分が定義出来る筈がないでしょう.
区間 [a, b] (a < b) 上の複素数値関数 f に対して,
区間 [a, b] の分割 \Delta = { a = x_0 < x_1 < \cdots < x_N = b }
と [x_{i-1}, x_i] 内の点 \xi_i (1 \leq i \leq N) に関する
Riemann 和 R(f, \Delta, { \xi_i }) を
R(f, \Delta, { \xi_i })
= \sum_{i=1}^N f(\xi_i) (x_i - x_{i-1})
とします. 分割 \Delta の大きさを
|\Delta| = \max_{1 \leq i \leq N} (x_i - x_{i-1})
で定義するとき,
\lim_{|Delta| \to 0} R(f, \Delta, { \xi_i })
が存在すれば, それを Riemann 積分 \int_a^b f(x) dx とします.
> 有限複素平面…複素関数キャンパスゼミ(馬場敬之著)p52より
無限に広がる複素数平面に「有限」を冠するのは
語感に狂いがあります. 拡大された複素数平面,
即ち, リーマン球の方が「有限」です.
> > それは良い考えではありませんね. 採用しない方が良い.
> 実数での無限大には必ず符号があるという箇所が
> 最も複素数での無限遠点との異なる点ですね。
拡大実数直線の話とも違いますがね.
> 厳密に区別する場合には∫_1^+∞ dx/x =+∞と書くように心がけます。
そんな区別は無駄です.
> そうすると∫_1^∞ dx/x と書いた場合の"∞"は無限大ではなく
> 無限遠点と意味になってしまうので∫_1^∞ dx/xは意味を成さなくなりますね。
そんな誤解をする人はいません.
> 勿論,通常は∫_1^∞ dx/xと書けば∫_1^+∞ dx/xを表す事になっているのが
> 一般的でしょうが。
当たり前です.
> 因みに
> http://milky.geocities.jp/emilyhoriedion/def_Riemann_sphere__00.jpg
> に依り
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_Riemann_sphere__01.jpg
> とリーマン球を定義しましたがこの定義で正しいでしょうか?
ま, お好きなように.
> > どこから -x/2 + 1 が出て来たのか, 興味があります.
>
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop199_99465__05.pdf
> の1ページ目の【8.04】直下で述べてますとおり,
> f'(x)=1/(exp(x)-1)-xexp(x)/(exp(x)-1)^2で
> lim_{x→0+}f'(x)=-1/2でしたので
> (-∞,0)ではf(x):=-x/2+1と定義すればfは(-∞,∞)にて
> 連続且つ微分可能かと思ったのでしたが
> これは完全に計算間違い&勘違いでした(大恥)。
貴方には証明できていませんが, 連続かつ微分可能ではあります.
> f(x)=x/(exp(x)-1)は既に最初から(-∞,∞)にて連続且つ微分可能でしたね。
その通り.
> > \lim_{a \to +0}
> > {(1/(-s+1)) a^{s-1} f(a) + (1/((-s+1)(-s))) a^s f'(a) +
> > \cdots + (1/((-s+1)(-s)\cdots(-s-N))) a^{s+N} f^{(N+1)}(a)}
> > = \lim_{a \to +0} a^{s-1} \times
> > {(1/(-s+1)) f(a) + (1/((-s+1)(-s))) a f'(a) +
> > \cdots + (1/((-s+1)(-s)\cdots(-s-N))) a^{N+1} f^{(N+1)}(a)}
> > において,
> > \lim_{a \to +0}
> > {(1/(-s+1)) f(a) + (1/((-s+1)(-s))) a f'(a) +
> > \cdots + (1/((-s+1)(-s)\cdots(-s-N))) a^{N+1} f^{(N+1)}(a)}
> > = 1/(-s+1) f(0) \neq 0
> > を示すには,
>
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop199_99465__06.pdf
> での
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop199_99465__01.jpg
> の箇所を仰ってるのですよね。
0 \leq Re(s + N) < 1 ですから, Re(s + N -1) < 0 であり,
a^{s-1} も a^s も a^{s+N-1} も
\lim_{a \to +0} |a^s| = \lim_{a \to +0} |a^s| = \lim_{a \to +0} |a^{s+N-1}|
= \infty になっています.
[8.191] らは間違いです.
> 示す事は"≠0"ではなくて"→∞"ではないのでしょうか?
\lim_{a \to +0}
{(1/(-s+1)) f(a) + (1/((-s+1)(-s))) a f'(a) +
\cdots + (1/((-s+1)(-s)\cdots(-s-N))) a^{N+1} f^{(N+1)}(a)}
= 1/(-s+1) f(0) \neq 0
が示せて, 初めて, \lim_{a \to +0} |a^{s-1}| = \infty から
\lim_{a \to +0}
{(1/(-s+1)) a^{s-1} f(a) + (1/((-s+1)(-s))) a^s f'(a) +
\cdots + (1/((-s+1)(-s)\cdots(-s-N))) a^{s+N} f^{(N+1)}(a)}
の発散が示せるのです.
> 今,題意は∫_0^∞x^{s-1}/(exp(x)-1)dx(但し,Re(s)≦1)が発散する事が最終目標なので。
その証明に f が C^\infty であることが使われることは
お分かりになりましたか.
> でもその場合は
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop199_99465__11.jpg
> のように"=∞"が出てきませんが。
a^{s-1} を括り出していることを忘れていますよ.
> いまいちよく判らないのですが今
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop199_99465__12.jpg
> にたどり着くのが目標ですよね?
はい.
> それで
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop199_99465__06.pdf
> での
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop199_99465__11.jpg
> という具合にlim_{a→+0}直後の括弧内の第一項は有界で第二項は"→∞"となるので
貴方の議論では第二項の絶対値が (a \to +0 で) \to \infty となることを
証明できていません.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop199_99465__12.jpg
> という具合に"=∞"が言える事を私は説明しているのですが
だから不十分です.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop199_99465__11.jpg
> での【8.16】や【8.17】は何処が間違っているのですね?
[8.191] が間違いで, f'(a) は 0 ではありませんから,
\lim_{a \to +0} |a^s f'(a)| = \infty です.
また, 幾つかの発散する項の和は, 発散するとは限りません.
1/s + (-1)/s は発散しないでしょう.
だから a^{s-1} を括り出す必要があるのです.
> ふーむ、
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop199_99465__13.jpg
> が怪しいと仰るのですね。
> 【8.185】,【8.191】,【8.192】の何処かが間違っておりますでしょうか?
> 特に問題無いと思うのですが。。。
[8.191] に問題があります.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop199_99465__13.jpg
> 内の【8.185】,【8.191】,【8.192】から【8.17】は導かれるのですが
> 、、、如何でしょうか?
> (見難くて誠に申し訳ありません)
だから駄目です.
--
塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
GnuPG Key ID = ECC8A735
GnuPG Key fingerprint = 9BE6 B9E9 55A5 A499 CD51 946E 9BDC 7870 ECC8 A735