工繊大の塚本です.

In article <1f6f790f-e811-4275-ae7b-bbae95ed5105@41g2000yqf.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> > C([a, b]) において, lim_{x→u+0} (f_{x,ε'} - f_{u,ε'}) = 0
> > ですから, lim_{x→u+0} L(f_{x,ε'} - f_{u,ε'}) = 0 です.
> 
> すいません。ここがわかりません。
> lim_{x→u+0} L(f_{x,ε'} - f_{u,ε'})=L(lim_{x→u+0} (f_{x,ε'} - f_{u,ε'}))
> =L(0)=0
> (但し,L(0)の(C[([a,b])∋)0は値域0の定数関数)
> となっているのかと思いますがどうして
> lim_{x→u+0} L(f_{x,ε'} - f_{u,ε'})
> =L(lim_{x→u+0} (f_{x,ε'} - f_{u,ε'}))
> と
> L(0)=0
> が言えるのでしょうか?

前者は, L は「線形汎関数」である, と言ったときの暗黙の仮定です.
 C([a, b]) から R への「汎関数」としては C([a, b]) の
位相について連続なものを考えています.

後者 L(0) = 0 は線形性からの当然の帰結です.

> [a,b]⊂[a',b]なる区間[a',b] (但し,a'<a)で
> f_{u,ε}(t)= 1  (a' ≦t≦x)、1-(t -x)/ε  (x <t<x+ε)、0  (x + ε≦t≦ b),
> (但し,a≦tとする)
> という風に定義域を拡張してやればいいだけの話でしたね。

今, F(b) は定義されていない, という話をしています.
大体, a' < a なる, を取ってきて, [a', b] 上の関数を
考えるのでは, それに対する L の値など決まりません.

 F(b) は f_{u,ε} を使っては定義されないので,
 F(b) = L(1) と決めようというわけです.

> それなら別にμ({a})の値を知らなくても困りませんね。

 F(a) は決まっているので, それで μ({a}) を定めます.

> μはFから定義される測度,,,?
> 今,[a',b}で単調増加&normalizedな関数Fが採れたのでTheorem3.5から
> (x,y]⊂[a',b']に対してμ((x,y])=F(y)-F(x) (但し,x<y)なる
> μが採れるのですよね。

 μ((x, y]) = F(y) - F(x) から (a, b] 上の測度が決まり,
更に, μ({a}) = F(a) とすることにより, [a, b] 上の測度が
決まります.

> μ({b})=μ((a,b]\lim_{n→∞}(a,b-1/n})
> =μ((a,b])-μ(lim_{n→∞}(a,b-1/n})(∵可算加法性)
> =μ((a,b])-lim_{n→∞}μ((a,b-1/n])(∵(a_,b-1/n)
> は単調増加列なので以前の命題より)
> =F(b)-F(a)-lim_{n→∞}(F(b-1/n)-F(a))=F(b)-F(a)-lim_{n→∞}F(b-1/n)+F(a)
> =F(b)-lim_{n→∞}F(b-1/n)
> となってしまいますが。勘違いしてますでしょうか?

 F(b) は L(1) で決めたので, = L(1) - lim_{u→b-0} F(u)
となります. 問題ありませんね.
 
> [a',b}に拡張しても同様の結果が得られました。

そんな拡張には意味がありません.

> 申し訳ありません。どのようにして
> = lim_{n→∞} lim_{ε→0}
> L(Σ_{i=1}^{k,n} a_{i,n}(f_{d_{i,n},ε}-f_{c_{i,n},ε}))
> からL(f)に辿り着けますでしょうか?

だからそのままでは駄目ですね.

先ず, f ∈ C([a, b]) は一様連続ですから, 区間 [a, b] を
十分小さく等分割すれば, 各区間の上で区間での最小値を取る
単関数で一様に近似できます. その単関数 ψ は連続関数では
ありませんが, 正数 ε について, 各点 x での値を ψ の
 [x - ε/2, x + ε/2] での平均に置き換えたもの ψ_ε は
連続関数になり, ε が十分に小さければ, ε によらず一様に
 f を近似します. L の連続性から L(ψ_ε) は L(f) に近い.
# ψ は [a, b] の外側では a, b での値に等しいとして
# 拡張しておいて, 平均をとることにして, ψ_ε(a) = ψ(a),
# ψ_ε(b) = ψ(b) とする, 等の細かい注意は必要ですが,

  L(f)
  ≒ L(ψ_ε)
   = L((Σ_{i=1}^{N-1} (min_{x∈[a+(i-1)(b-a)/N, a+i(b-a)/N]} f(x))×
                       χ_{[a+(i-1)(b-a)/N, a+i(b-a)/N)}
        + (min_{x∈[a+(N-1)(b-a)/N, b]} f(x)) χ_{[a+(N-1)(b-a)/N, b]})_ε)
   = Σ_{i=1}^{N-1} (min_{x∈[a+(i-1)(b-a)/N, a+i(b-a)/N]} f(x))×
                    L((χ_{[a+(i-1)(b-a)/N, a+i(b-a)/N)})_ε)
     + (min_{x∈[a+(N-1)(b-a)/N, b]} f(x)) L((χ_{[a+(N-1)(b-a)/N, b]})_ε)
  → Σ_{i=1}^{N-1} (min_{x∈[a+(i-1)(b-a)/N, a+i(b-a)/N]} f(x))×
                    (lim_{u→a+i(b-a)/N-0} F(u)
                     - lim_{u→a+(i-1)(b-a)/N-0} F(u))
     + (min_{x∈[a+(N-1)(b-a)/N, b]} f(x))×
       (F(b) - lim_{u→a+(N-1)(b-a)/N-0} F(u))
   = Σ_{i=1}^{N-1} (min_{x∈[a+(i-1)(b-a)/N, a+i(b-a)/N]} f(x))×
                    μ([a+(i-1)(b-a)/N, a+i(b-a)/N))
     + (min_{x∈[a+(N-1)(b-a)/N, b]} f(x))×
       μ([a+(N-1)(b-a)/N, b]
  ≒ ∫_a^b f(x) dμ(x)

となります. (途中の → は ε→0 の極限.)
この近似は任意に良くすることができますから,

  L(f) = ∫_a^b f(x) dμ(x)

が分かる, というのがあらすじです.

# きちんと書き直すのはやって下さい.

> え!? どうしてですかBorel集合は簡単には書き表せない複雑な集合なのですよね。
> 任意の区間で一致するならBorel集合体でも一致すると簡単に言えるとは
> 到底思えませんが。。

それが簡単に思えるように, 測度論を学ばれて来たのでは
ないのですか.

> ,,,という事はπ-systemの補題は愚補題なのでしょうか?

補題が愚なのではありません.

> > # ま, 一般論としては, 区間の全体が, π-system で,
> 
> これは認めますが
> 
> > # Borel 集合体を生成しているので,
>                   ^^^^^^^^^^^^ 
> {t∈T;TはRの通常の位相}=B(R)が成り立つのですか?

まさか. 「生成」が抜けていますよ.
-- 
塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp