Re: μ をBorel測度とする時, μが有限⇔ψ:f→L(f)::=∫_a^b f(x)dμ(x)は線形汎写像をなす
工繊大の塚本です.
In article <863fd65b-0586-4643-9415-4dc7d63511c8@w35g2000yqm.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> (Riemann-?)Stieltjes積分は∫_a^b f(x)dF(x)でF(x)=xの時,
> Riemann積分と呼ぶのですよね。
> そういった意味ではRiemann積分の一般形とも言えますね。
一方, Lebesgue-Stieltjes 積分というものもあるわけです.
> 『そこで持ち上がる疑問はR上のBorel集合ら(R上のBorel集合体?)の測度
> (つまり,Borel測度)で定義でこのやり方で特徴付けられるかという事である。
> The quastion that is then raised is that of
> characterizing the measures on R that arise in this way, and in
> priticular measures defined on the Borel sets on the real line.
このように(Stieltjes 積分のようにして)導き出される
R 上の測度, より正確に言えば R の Borel 集合体上で
定義される測度を特徴付けることが問題とされる, わけです.
> 下記で分かるように測度と増加関数間での一意的な対応を持つ為に
> 関数のnormalizedが必要である
> To have a unique correspondence between measures and increasing
> functions as we shall have below, we need first to normalize these
> functions appropriately.
適切な増加関数の正規化が必要である, わけです.
> Fが高々可算個の不連続点増加関数という事を思い起こせば』
> Recall that an incrasing funciton F can have
> at most a countable number of discontuities.
増加関数は高々可算個の不連続点を持つだけであるということを
思い起こそう, というわけです. x_0 が不連続点であるときに,
> そこでlim_{x>x_0,x→x_0}F(x)=F(x_0^+)と定義し直す。つまり,
> F(x_0)≠lim_{x<x_0,x→x_0}F(x)≠lim_{x>x_0,x→x_0}F(x)≠F(X_0)と
> なっているところを
> Fのx=x_0の定義をF(x_0):=lim_{x>x_0,x→x_0}F(x)に定義しなおし,
> F(x_0)と書くと従来の孤立点F(x_0)と 紛らわしので
> F(x_0^+)と記述するわけですよね
> (本当ならFではなくGとか別の文字を使って表すべきでしょうが)。
> http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/normalized.jpg
> のように。そしてこの新しいFを以前のFのnormalizedというのですよね。
> そしてこの時, 旧Fはx=x_0で左右不連続だったのが
> normalized Fでは右連続となるのですよね。
> もちろん,旧Fも増加関数だったのでnormalized Fも増加関数。
元の文章通りに説明すると, 先ず, 単調増加関数なので,
x_0 での左極限 lim_{x→x_0 - 0} F(x) = F(x_0^-) も
x_0 での右極限 lim_{x→x_0 + 0} F(x) = F(x_0^+) も
存在し, F(x_0^-) ≦ F(x_0) ≦ F_(x_0^+) となっている
わけです. そこで F(x_0) を F(x_0) = F(x_0^+) と
定義し直したものを normalized な増加関数と呼ぶことに
します.
> そして定理3.5は
> 『[必要性]FがRで増加normalized関数
> ⇒ R上のa<bならμ((a,b]):=F(b)-F(a)なるBorel測度μ
> (dFとも表記する)が一意的に存在する
> (つまり,任意の半開区間(a,b]でμ((a,b])=ν((a,b])=F(b)-F(a)なら
> Borel集合体上でもμ=ν)。
勿論, 存在することが大事なのです.
> [十分性]μが有界区間で有限なBorel測度でF:R→[-∞,∞]を
> F(x):=μ((0,x]) (x>0の時),F(0)=0,-μ((-x,0]) (x<0の時)と定義
> ⇒Fは増加normalized』
こちらは易しい.
> という意味ですよね。
はい.
> > > 問題9のみについての質問です。 問題9の趣旨は
> > > 『μ をBorel測度とする時, μが有限
> > > ⇔ψ:f→L(f)::=∫_a^b f(x)dμ(x)は線形汎写像をなす』
> > > で十分性を示せという 事だと思います。
> > > ヒントの内のF(x)が線形汎写像になる事を用いて
>
> 正確には 『μ を[a,b]での有限なBorel測度とする時,
> "μが[a,b]で一意的
> ⇔L:C([a,b])→R;C([a,b])∋∀f→∫_a^b f(x)dμ(x)は
> positiveな線形汎写像をなす"』
> ですよね。
妙なところが "" で囲まれているように思いますが,
問題 9 は, [a, b] 上の有限 Borel 測度 μ があれば,
[a, b] 上の連続関数の空間 C([a, b]) 上の positive
線形汎関数 L(f) = ∫_a^b f(x) dμ(x) が定義できるのは
直ぐに分かるとして, その逆を示せといっているわけです.
つまり, C([a, b]) 上の positive 線形汎関数 L が与えられれば,
それが L(f) = ∫_a^b f(x) dμ(x) となるような, [a, b] 上の
有限 Borel 測度 μ が一意に存在することを示せ, というわけです.
> In article <090225032239.M0117438@cs1.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > F(x) は [a, b] 上の単調増加関数です. それを用いた
> > Stieltjes 積分で, 与えられた線形汎関数は書けることを
> > 示そうというわけです. 勿論, Stieltjes 積分には
> > Borel 測度が対応します. それが Theorem 3.5 です.
>
> つまり,要約すると,
> "μは[a,b]でのBorel測度でf→∫_a^b f(x)dμ(x)なるL:C([a,b])→Rは
> positiveな線形汎写像をなす"
> ⇒ "μは[a,b]で一意的"
> を示すのに
何か勘違いがあるようです. positive 線形汎関数 L が
与えられるのであって, Borel 測度 μ は最初与えられて
いません. 先ず, positive 線形汎関数 L に対して,
そのような有限 Borel 測度 μ の存在を言わないといけません.
一意性の議論はその後です.
> "μは[a,b]でBorel測度でf→∫_a^b f(x)dμ(x)なるL:C([a,b])→Rは
> positiveな線形汎写像をなす"
有限 Borel 測度 μ が与えられれば, positive 線形汎関数 L が
定義できるのは, 自明なので, 問題にもなっていません. その後の
> ⇒"(L(f)=)∫_a^b f(x)dμ(x)=∫_a^b f(x)dF(x)を満たす
> R上での増加normalized関数でa<bならμ((a,b])=F(b)-F(a)なるFが採れる"
> ⇒Theorem3.5の必要性
> ⇒ μは一意的。
> という構図になろうかと思います。
Hint で定義された F を用いて, Theorem 3.5 から定義される
μ が, L(f) = ∫_a^b f(x) dμ(x) となるようなものであるか,
それが一意的であるかどうか, を解答することになります.
> >> μが有限Borel測度である事を示せという意図だと推測します。
> > ちょっと注意すると, [a, b] 上の連続関数 f に対する
> > 線形汎関数 L(f) が積分 ∫_a^b f(x) dμ(x) として
> > 書けるなら, 定値関数 f = 1 に対して, L(1) = ∫_a^b 1 dμ(x)
> > = μ([a, b]) ですから, μ は有限な測度です.
>
> ∫_a^b 1 dμ(x)=∫_a^b χ_{a,b] dμ(x) =μ([a,b])
(χ_[a, b] だとして)ここまでは良いですが,
> =b-a<∞となるのですね。
μ([a, b]) = L(1) < ∞ というだけで,
b - a とは何の関係もありません.
> という事で
>
> "μは[a,b]で有限なBorel測度でf→∫_a^b f(x)dμ(x)なる
> L:C([a,b])→Rはpositiveな線形汎写像をなす"
ですから, ここは違います.
> ⇒"(L(f)=)∫_a^b f(x)dμ(x)=∫_a^b f(x)dF(x)を満たす
> R上での増加normalized関数でa<bならμ((a,b])=F(b)-F(a)なるFが採れる"
> ⇒Theorem3.5の必要性
> ⇒ μは有限な一意的。
>
> と更に書けますね。
意味不明です.
> > もしそれが L(χ_{(c, d]}) だと出来るなら
> > μ はそれで見つかったことになります.
>
> この時,0≦χ_{(c,d]}で0≦∫_a^b χ_((c, d])(x) dμ(x)で
> Lのpositiveの条件を満たし,線形性も満たしますね。
> 勿論,μは有限で,a<bならμ((a,b])=F(b)-F(a)なるFとしてF(x)=xと採れば
> 明らかにFは増加normalizedになってま
> すからTheorem3.5が使えてお仕舞いなのですね。
これも意味不明です.
> > しかし, a ≦ u < b なる u と u + ε < b なる正数 ε について,
> > f_{u,ε}(x) = 1 (a ≦ x ≦ u),
> > f_{u,ε}(x) = 1 - (x - u)/ε (a ≦ x ≦ u),
> > f_{u,ε}(x) = 0 (u + ε ≦ x ≦ b),
>
> (a ≦ x ≦ u)→(u ≦ x ≦ u+ε)ですね。
これは失礼.
> 今,
> "μは[a,b]で有限なBorel測度でψ:f→∫_a^b f(x)dμ(x):=L(f)は
> positiveな線形汎写像をなす"
> ⇒"(L(f)=)∫_a^b f(x)dμ(x)=∫_a^b f(x)dF(x)なる
> R上での増加normalized関数でa<bならμ((a,b])=F(b)-F(a)なるFが採れる"
> ⇒Theorem3.5の必要性
> ⇒ μは有限で一意的。
> を示しているので f_{u,ε}をRに写すL、L(f)=∫_a^b f_{u,ε} dμが,
> positiveと線形性を満たす事を示せばいいでのですよね。
違います.
> 従って,L(f_{u,ε})=∫_a^b f_{u,ε} dμ=lim_{n→∞}∫_a^b f_n_{u,ε}dμ
> (但し,f_n_{u,ε}は定義関数列)
> =(中略)=u+ε/2
> (∵Borel測度の定義よりa≦a'<b'≦bなら
> μ((a',b'])=b'-a'なので単関数列の積分の定義)で
> Lはpositiveで線形性も満たしますのでLは確かに線形汎写像になってますね。
ここで問題となっているのは positive 線形汎関数 L に対して,
F を定義し, 更に Theorem 3.5 から [a, b] 上の 有限 Borel
測度 μ を定義した時, L(f) = ∫_a^b f(x) dμ(x) となるか,
ということです.
> これはBorel測度の定義 x≦yならμ([x,y]):=y-xですね。
今考えているのは Lebesgue 測度ではありません.
> つまり,f_{u,ε}は連続なのでL(f_{u,ε})は定義できて
> positive&線形で,F(u)=∫_a^b χ_[a,u]dμ=μ([a,b])=u-a=F(u)-(a).
> よってTheorem3.5が使える環境が整ったという訳ですね。
違います. L(f_{u,ε}) が定義できることから,
lim_{ε→0} L(f_{u,ε}) により F(u) を定義しよう,
そうすれば, Theorem 3.5 により μ も定義される,
それを用いて考えよう, としているわけです.
もし, L が μ から定義されているものであれば,
F(u) = μ([a, u]) となってくれる筈である, という
ことが, 上のようなものを考える動機付けになっている
ことを説明したのです.
> > . 因みに, F(a) = μ({a}),
>
> F(a)=μ([a,a])=μ({a})(∵[a,a]={a})
>
> > μ({b}) = L(1) - lim_{u→b} F(u) です.
>
> μ({b})=μ([b,b])=b-b=0
> L(1)-lim_{u→b} F(u)=∫_0^b 1dμ-lim_{u→b}F(u) (∵Lの定義)
> =∫_0^b χ_[0,b]dμ-lim_{u→b}F(u)
> =μ([0,b])-lim_{u→b}F(u)=b-0-lim_{u→b}F(u)=b-b=0
> でうまくいってます。
ここもあくまで動機付けの説明です.
> > 先ず, F(u) が単調増加関数であり, 右連続であることを示しましょう.
>
> normalizedとはもし不連続点があればそこでは右連続になるというだけの事なので
> 特に連続なら当然normalizedですよね。
> f_{u,ε}のグラフは
> http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/f_epsilon.jpg
> F(u)は
> http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/F_u.jpg
> の面積を表していますよね。それで
> http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/f_u_graph.jpg
> がF(u)の区間[a,b]でのグラフになりますので増加&normalizedは言えますよね。
それは L が測度 μ を用いて定義されているという仮定の下の
話でしょう. それを示すことが問題なので, それを用いては
いけません.
> ん?? 関数Fは[a,b]で連続だったので
> normalizedなんて概念は必要ないように思いますが…。
> どこでnormalizedの話は登場するのでしょうか?
L が μ で定義されたとすると, F(u) = μ([a, u]) でしたが,
この関数は増加関数ですが, μ({u_0}) > 0 となるような点 u_0
では連続ではありません. 右連続にはなります.
> > それで定義した Stieltjes 積分での f の積分と L(f) が一致すること
> > を示せば, 殆どお仕舞いです.
>
> ∫_a^b f_{ε,x}dμはどのように計算するのでしょうか?
> 図から(u-a)+εu/2の値になると思いますが。
> 一方,∫_a^b f_{ε,x}F(x) もどのようにして計算するのでしょうか? すいません。
ですから, 証明すべきことを未だ理解されていないようです.
> ところで改めら読み返してみると
> 「∀f∈C([a,b])に対しL(f)=∫_a^b f(x)dμがpositive&線形を満たすような,
> 有限なBorel測度μが採れればそれは
> 一意的である」
> という事を示すのが問意ですよね。
違います.
> それで証明の手順は
>
> 「∀f∈C([a,b])に対しL(f)=∫_a^b f(x)dμがpositive&線形を満たすような,
> 有限なBorel測度μが採れたとする」
> (実際に採れた)
μ が取れている場合の話ではありません.
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塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
GnuPG Key ID = ECC8A735
GnuPG Key fingerprint = 9BE6 B9E9 55A5 A499 CD51 946E 9BDC 7870 ECC8 A735