◇ 化物語 第拾伍話「つばさキャット其ノ伍」(6月25日配信開始分)
評価……☆☆☆☆☆(前回比: +1)
ブラック羽川の代理告白を一笑に伏そうとする暦, しかし猫に嘘を吐くなどという高等な頭脳は無かった……ってこの言い方は酷いなあ(← 劇中の台詞じゃないからお前の暴言だ > 水野)。とにかく, ブラックとはいえ羽川は羽川, 猫は翼の別の一面だからこそ, 嘘偽りの無い, まごうことなき告白なんだよね。ところでブラックじゃない翼の号泣シーンがありましたが, これは傷や猫の過去シーン? それとも心理描写?
CM: 化#1〜#4……中間に#5・#6と刀語が入るのかな, とこの時点では予想していました。
高層ビルを背景に飛ぶ飛行機……この構図だと9.11するように思ってしまったorz しかも鶴丸っておい! 懐かしい, というか私の中では国鉄塗装と並んで憧れの交通シンボルですよ。閑話休題, とにかくひたすら翼の告白が信じられない暦, 逃げている訳じゃないだろうけど当事者(ブラック)からしたら責任放棄されているように聞こえるでしょうね。「お前, ひょっとして, 真剣に人を好きになった事とかにゃいんじゃにゃいのか?」それは暦自身も自問自答するところだろうと思いますね。自分が八方美人の御人好しであることは既に自覚していることだし。ただ, 暦がそんじょそこらの主人公体質と違うのは, 自覚した時点でそれなりに自問自答を済ませているということ。「それをやると, 羽川に, 恩に対して付け込ませることになってしまう」そして「僕の戦場ヶ原に対する気持ちを偽ることになる」。結論は最初から出ていて, 揺るがないんですよ。
「事情はどうあれ, お前を出したのは羽川の弱さなんだ。さっきの言葉はお前じゃなくて, 羽川が僕に言うべき言葉だった」だからこういう責めの言葉も言える, と。ブラック羽川は翼そのものであり別の一面というだけではありますが, ならばブラック羽川にできることは翼自身でもできる事である筈ですからね(怪異そのものとしての能力はともかく)。そして実際に一人で足掻き抗い懸命に生きている人達が沢山居る世界で, 「羽川がお前に頼ったのはそういう連中への冒涜だ」。翼への叱咤ですね, 旅に出るなら出る前に自分自身でちゃんと告白して来いって。結果は勿論変わりませんけど, 暦も全力で受け止めるでしょう。
「お前みたいにパチモンの吸血鬼に『魅了』は使えにゃいにゃ」主人公体質の納得いく解釈だったのになあ(^^;;; 一発で否定されちゃった。「大体『魅了』ってのは, そんにゃ惚れ薬みたいにゃ能力じゃにゃいにゃ。自意識を消失, ただの操り人形を作る能力にゃ。例えば人間, おまえの周りのおんにゃの子は, お前の言う事に絶対服従するか? にゃにひとつ逆らう事にゃく, お前の言う通りに動く奴が居るか?」「……そんな奴は一人も居ないな」むしろ積極的に逆らいまくるような娘も居るしね(^^;;; ひたぎに到っては信頼すらまだ確立途中って感じですし。確かにこの意味では, 誰も『魅了』なんてされちゃいませんな。「僕は誇って良いんだな? 羽川に好きになって貰えたことを」でもこれ, かなり哀しい台詞ですね。翼に置き換えれば, 暦に好きになって貰えないことを, 翼を好きになってあげられないことを, となるんだもん。避けられない, 受け止めなければならない事ですけどね……
CM: 猫物語・黒, 究極の化本(なんか色々収録されているよーですが!?), 化#5, 化#5……#6を入れる予定だったんでしょうね。
「もう1つあるんだにゃ。吸血鬼に頼らず, オレを迅速に引っ込める策」それは暦が消えること。暦を自分が殺したなんてなればそれが翼のストレス……というレベルでは最早ありませんな, 翼の傷にならない筈が無いでしょうから, 暦が死ぬ事というのではなく消える事, 最初から居なかったことになる事, なのではないですかね……そんな都合の良い能力があるのかどうかと考えると怪しいものですが。とにかくこの猫, 自分のエナジードレインの能力をちゃんと把握していましたね。前回暦が自転車から転がり落ちた時も, わざとだった可能性が一気に高まりました。だとしても害意ではなく悪戯程度, 更には暦に抱き付きたいという願望の発露だったんでしょうけど。
エナジードレインに留まらず, 猫舌一嘗め大出血。頚動脈切れてませんか(汗)? 今の暦は吸血鬼1%だった筈……。「羽川のために死ねるのなら……」翼に対しても忍に対しても, 前回も口に出していたように, ずっと思っていた事ですよね。命を賭けてでも尽くしたい相手。でもそれは本当に相手を想う心の究極の形なのか? 「羽川が僕を殺せば, 戦場ヶ原は確実に羽川を殺す!」例え怪異だったとしても, ひたぎならあらゆる手段を駆使して怪異にすら対抗してしまいそうです。ただ, ひたぎだけじゃないよね? そこまで思い詰めるのはひたぎだけだとしても, 真宵も駿河も撫子も, 忍もファイアーシスターズも, 何より翼自身も, 絶対に翼を赦さないでしょう。翼が翼を赦さない, ということは, ブラックもブラックを赦さないということに繋がりますね。つまり心中?
「それとも誰かに助けでも求めてみるかにゃ? 今まで散々色んにゃ奴を助けて来たお前にゃ, 誰かが助けてくれるかもしれにゃいにゃ」「助けなんて, 無理だ……だって人は, 勝手に助かる, だけだから……」「それはお前の意見じゃにゃいだろう? それはただの言葉で, お前の気持ちじゃにゃい」人は勝手に助かるのであって, 自分はただ手助けをしただけに過ぎない……でもそれを, 助かった人は『助けられた』と言うんだよね。手助けも助け。定義の問題。「そりゃあ人は一人で勝手に助けるだけだけれど, 助ける側にそんにゃ事情が関係あるのかにゃ? お前を助けたいと思っている奴が, 一体どれだけ居ると思っている? それをお前は一人残らず, 拒否するのかにゃ?」自分の存在価値を否定するのは, 自分を想う人の心を否定することなんですね。自分が人を助けるためには, 自分が人から助けられることを, 認めなければならない。
そして暦が呼んだのは忍。命を賭けてでも尽くしたいと思っていた相手だからこそ, 命を助けて欲しいと願った。本当に特別な人なんですね。ひたぎに対する気持ちとはまったく別で……これほとんど一心同体の関係だよね。結局最後まで台詞が一言も無かった忍だけど, 多分暦のことを『命を賭けてでも尽くしたい相手』と思っているような気がします。消えていたのは, 尽くされたいと暦が思っているのかどうか判らなくなったから, ね。しかし忍, 本当に強いですな。一撃でブラック羽川を吹き飛ばしKOし速攻でドレインし返してしまいました。これで本来の力をほとんど失った『人間もどき』なんでしょ? 夜の駿河(鄙猥な意味ではない)より絶対強いよね。
そしてブラック羽川もブラック羽川で, 暦が忍を呼べる状況を作っていたと。忍が暦の影に潜んでいる事も最初から把握していたって事ですね。それはつまり, 『嘘を吐くような知能は無い』という台詞もまた, ブラック羽川の嘘だったという事ですよ。そりゃ『嘘を吐いた事が無いと嘘を吐いていた』翼と同一人物ですもんね。しっかり考えていたんでしょう, どうすれば御主人も御主人の想い人も助けられるのかって。猫が出て来るような状況に慣れられたりしてはいけないけれど, だからと言って翼本人であり意思も持つ猫が情を持たない筈はありませんもん。……それに, これは連休と同じ解決なんだから, ブラック羽川は引っ込んだだけであって消えた訳ではないよね?
翌朝, またまた寝不足で叩き起こされた暦。でも登校前に学習宿(違)へ行ったんですから……確か結構遠かったよね?……どのみち早起きするつもりだったか, 早起きさせられたのを良い事に, って感じなんでしょうね。忍をメメに預け直すつもりだったけど, でもそこは既に不在の空間。ということは, 忍を独りきりになんてしないでしょうから, 暦は忍を自分のすぐ隣にずっと連れて生きて行くことを決意することになったんでしょうね。そしてそれは遅かれ早かれ, いずれそうなる事だったんですし。
朝の翼。この様子だと, 気持ちの整理は別にして, 全部憶えているでしょうね。「いつかは聞かなくてはならない事だろうけど」翼にとっては, いつかは言わなくてはならない事だろうけど。
なんか順番入れ違っていますが, 朝のひたぎ。「今度のデートは阿良々木君がプランニングしなさい。変な所に連れて行ったら皮を剥ぐわよ」台詞が最後までひたぎだなあ! ところで暦, 自転車片付けれ。
放課後, 高校生4人組で改めて学習宿(だから違)へ行ったけど……これでここは完全に無人になった訳ですから, もう朽ちるだけなんでしょうね。怪異の吹き溜りも当分は生じないでしょうし(外部から何かされたら別でしょうが)。メメを揃って御人好しと評する4人……阿良々木君には言われたくないなあ, って台詞が聞こえて来るようです。
高速道路らしき高架が派手に空を覆う道……横浜? 前回埼玉と千葉が出て来ていましたけど, 本当にここはどこなんですか(^^;;; 「明日はいよいよ文化祭だ。僕達のクラスの出し物は, 『お化け屋敷』」あー, 準備中のひたぎ, 楽しそうでしたねー(^^;;;
ED: TV放映第2話以来のまともなスタッフロール!?
総合評価……☆☆☆☆☆(既に既刊何冊か買っている通り, これでしっかり西尾維新にハマりましたですよ。日本語って, 面白い! それにしても, 映像表現が難しかったであろう本作が(当初はまさに『メディアミックス化できない小説』として書かれていたらしいですし), 『映像』表現に喧嘩売っているような作風を得意とする新房監督+シャフトという絶好の制作会社に出会えた事は, 奇跡と呼ぶのが適切だと思えるくらいの相性の良さでした。スケジュール問題も色々在りましたけど, BD/DVDの売れ行きは御存知の通りで, 最終巻でもまた記録更新して欲しいですね。制作関係の皆様方, お疲れ様でした。今はただその身体を休めて, それでは傷物語・偽物語を宜しくお願いします)
![[写真: 化物語フィギュア]](/photo/201006/26/1880_3616x2712.jpg)
![[写真: 自立するFani通2009(下)]](/photo/201006/27/1885_3616x2712.jpg)
![[写真: M.O.M.発行準備組合さんスペース]](/photo/201006/27/1886_2712x3616.jpg)