工繊大の塚本です.

2016年3月25日金曜日 4時57分20秒 UTC+9 Kyoko Yoshida:
> > > Grassmann積という対称テンソル積を外積と呼ぶ人もいれば
> > 対称テンソル積ではなく, 交代テンソル積.
> 
> え? Grassmann積の各成分⊿_{w_1},⊿_{w_2},⊿_{w_3},⊿_{w_4}は
> -⊿_{w_1},⊿_{w_2},-⊿_{w_3},⊿_{w_4}のように
> 符号が交互に入れ替わってなく,常に正になってるではありませんか?

「対称」「交代」の名称は, 定義式の一表現の「符号」の付き方で
定まっているのではありません.

ベクトル空間 V の元 n 個の組に対して, ベクトル空間 W の元を対応させる
多重線形な写像 f: V \times V \times \cdots \times V \to W が
対称なのは, \forall \sigma \in S_n (n 次対称群) に対して,
 f(v_{\sigma(1)}, v_{\sigma(2)}, \dots, v_{\sigma(n)})
 = f(v_1, v_2, \dots, v_n)  (\forall v_i \in V (1 \leq i \leq n))
となるときであり,
交代となるのは (標数が 2 でなければ),
 f(v_{\sigma(1)}, v_{\sigma(2)}, \dots, v_{\sigma(n)})
 = \sgn(\sigma) f(v_1, v_2, \dots, v_n)
となるときです.

山本さんの「行列解析の基礎」における Grassmann 積は
上の意味において交代的です.

> つまり,{b_1,b_2,…,b_n}がVの正規直交基底である時.
> g(BX):V→V^*を(g(BX))(b_j):=<X,b_j>∈F, j=1,2,…,n とする訳ですね。

記述に混乱が見られます.
内積があれば, V と V^* との同型 g: V \to V^* が,
 (g(v))(w) = (v, w) で与えられる,
という記述と上の記述の混乱とが区別できますか.

> この写像g(BX)が全射になる事は∀y∈Fに対して,y=0の時は,(V∋)v=0と採ればいいですね。

これも意味不明.

> この時,g(BX)(0)=g(BX)(Σ_{j=1..n}0b_j)=0Σ_{j=1..n}(g(BX))(b_j)
> =0Σ_{j=1..n}<X,b_j>=0. 

全く意味不明.

> y≠0なら∃j∈{1,2,…,n};<X,b_j>≠0で,<X,b_1>≠0とすると,
> y=y<X,b_1>^{-1}<X,b_1>+0<X,b_2>+0<X,b_3>+…+0<X,b_n>なので
> v=y<X,b_1>^{-1}b_1と採ればいいですね。
> この時,
> (g(BX))(v)=(g(BX))(y<X,b_1>^{-1}b_1)
> =y<X,b_1>^{-1}(g(BX))(b_1)
> =y<X,b_1>^{-1}<X,b_1>
> =y.

全く意味不明.

> 単射である事は
> 0≠y=y'∈F…(ラ)とすると,<X,b_1>≠0なら,
> g(BX)^{-1}(y)=g(BX)^{-1}(y<X,b_1>^{-1}<X,b_1>)
> =y<X,b_1>^{-1}b_1.
> 同様に,
> g(BX)^{-1}(y')=y'<X,b_1>^{-1}b_1
> を得る。
> この時,y<X,b_1>^{-1}b_1=y'<X,b_1>^{-1}b_1となる
> (∵もし,≠なら,(y-y')<X,b_1>^{-1}b_1≠0で,今b_1≠0なので,
> (F∋)(y-y')<X,b_1>^{-1}≠0で,
> 体Fは整域且つ<X,b_1>^{-1}≠0なので,y≠y'で(ラ)に矛盾)。
> 故に,g(BX)は単射で結果としてg(BX)は全単射,即ち,ベクトル同型。

全く意味不明.

> ご紹介頂いた様にg(BX):V→V^*を(g(BX))(b_j):=<X,b_j>∈F, j=1,2,…,n とすれば,
> このg(BX)はVからV^*へのベクトル同型となるのですね。

意味不明です.

> テンソル積の冪はV^{(×)p}と表記するのですね。

偶に見かけます.

> Gai(u_1,u_2,…,u_p):=(×)_{j=1..p}u_j (p≦n:=dimV)は

わざわざ別の記号を用意しなくても,
 u_1 \wedge u_2 \wedge \cdots \wedge u_p
で良いと思いますが, それは
 u_1 \otimes u_2 \otimes \cdots \otimes u_p
とは違います.

> もし,V:=F^nなら,
> Gai(,,…,) : (F^n)^p  → F^{n^p} というテンソル積になるのですね。

 (F^n)^p \ni (u_1, u_2, \dots, u_p)
 \mapsto u_1 \wedge u_2 \wedge \cdots \wedge u_p
 \in Λ^p (F^n) \cong F^{ n \choose p } 
ですが, Λ^p (F^n) \subset (F^n)^{\otimes p} \cong F^{n^p}
という意味ではそうです.

> テンソル(多重線形汎写像)ではなくテンソル積(多重線形写像)でした。
> しかも,p階のテンソル積という言い方はしなくて,V上のテンソル積p乗というのですね。

言葉遣いに多くの間違いが有りますが, 無視します.

> > > ベクトル空間C^n内のn-1 個のベクトルv_1,v_2,…,v_{n-1}が作る
> > > n-1次元立体Qに直交し,
> > Q は複素 n-1 次元の部分空間内のものでしょうが, それは何?
> 
> Vct(v_1,v_2,…,v_{n-1})が
> 右手系に並んでいるn-1個のベクトルv_1,v_2,…,v_{n-1}に直交していて,

貴方の右手には任意の自然数 n に対応するだけの指が有るのでしょうか.

> ‖Vct(v_1,v_2,…,v_{n-1})‖= (v_1,v_2,…,v_{n-1}が張る図形Qの超面積)
> になっているという事です。

一番簡単な n = 2 の場合を考えましょう.
 n-1 = 2 - 1 = 1 個のベクトル u \in C^2 が張る図形 Q とは何でしょうか.
{ t u | t \in R, 0 \leq t \leq 1 } という実1次元の図形であれば,
 u を含む複素 1 次元の C^2 の部分ベクトル空間 <u> \cong C^1 での
ルベーグ測度で測った値は 0 です.
{ t u | t \in C, |t| \leq 1 } でしょうか.
その場合, 貴方の期待しているものになりますか.

> C^3の場合では,Vct(a,b)とは2つのベクトルa,bに直交しているC^3内のベクトルで,
> ‖Vct(a,b)‖=(a,bの張る平行四辺形の面積)
> という関係が成り立ちますよね。

というわけで, a, b の張る平行四辺形の面積というのは意味不明です.

> > それに直交するベクトルは複素1次元の部分空間内にありますが,
> 
> え? それは複素n次元空間内にあるのでは。。?

 u_1, u_2, \dots, u_{n-1} という一次独立なベクトルによって
張られる複素 n-1 次元の C^n の部分ベクトル空間 V に対して,
それに直交するベクトルの全体 V^\perp は複素 1 次元の C^n の部分ベクトル空間
になります. (直交が, 内積によるものでも, エルミート内積によるものでも.) 

> a,b∈C^3の場合はVct(a,b)というベクトルはC^3の中にありますよね?
> 
> n=3の時はa,b∈C^3が右手系に並んでいる場合,Vct(a,b)=
> |a_2,a_3|
> |b_2,b_3|
> 
> -|a_1,a_3|
> |b_1,b_3|
> 
> |a_1,a_2|
> |b_1,b_2|
> 
> という風に3つの行列式を成分に持つ3次ベクトルとなりますよね。

それは貴方の挙げた条件からは定まりません.
 R^3 のときでも,
 R^3 の一次独立な 2 つのベクトル u_1, u_2 に直交し,
長さが u_1, u_2 で張られる平行四辺形
 { t_1 u_1 + t_2 u_2 | 0 \leq t_1 \leq 1, 0 \leq t_2 \leq 1 }
の面積に等しいベクトルは 2 つありました.
 u_1 \times u_2 は (u_1 \times u_2, w) = \det(u_1, u_2, w)
が任意のベクトル w \in R^3 に対して成立する方を取ることによって定められました.
右手系というのは, 空間に座標軸を設定するときは,
 u_1, u_2, u_1 \times u_2 が右手の親指, 人差し指, 中指と
同じ形になるようにするという約束事のことです.

> これに習うと,n=4の時は,a,b,c∈C^4が右手系の場合,
> Vct(a,b,c)=
> 
> -|a_2,a_3,a_4|
> |b_2,b_3,b_4|
> |c_2,c_3,c_4|
> 
> |a_1,a_3,a_4|
> |b_1,b_3,b_4|
> |c_1,c_3,c_4|
> 
> -|a_1,a_2,a_4|
> |b_1,b_2,b_4|
> |c_1,c_2,c_4|
> 
> |a_1,a_2,a_3|
> |b_1,b_2,b_3|
> |c_1,c_2,c_3|
> 
> という4つの行列式を成分に持つ4次ベクトルかなと予想しました。

正しい定義のヒントは既に与えました.

> これはn=4,p=3の時のGrassman積で各行列式の符号を-,+,-,+(交代的)から
> +,+,+,+(対称的?)にしたものですよね。

山本さんの Grassmann 積では並ぶ順序が違っていることは既に注意しましたし,
交代的・対称的の述語の使い方が間違っていることも既に述べました.

> それでベクトル積を交代積,Grassman積を対称積と呼んだのでした。

だから, 駄目です.

> 因みにn=7の時は,
> http://hooktail.sub.jp/vectoranalysis/SevenDCrossProd/
> のようになるのですよね。
> これはn=7,p=6の時のGrassman積に交代的な符号を付記したものと一致しますよね。

そこで述べられているのは, 2 つのベクトルの「外積(ベクトル積)」を
 R^7 = Im O (Octonion 八元数の虚部) に対しては考えることがある,
ということで, p = 6 の話ではありません.
一致もしません.
-- 
塚本千秋@基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp