工繊大の塚本です.

2016年3月19日土曜日 11時56分50秒 UTC+9 Kyoko Yoshida:
> > ベクトル空間の外積を交代なテンソル積と考えるときに
> > 外積を交対積と呼ぶこともまああるでしょう.
> 
> Grassmann積という対称テンソル積を外積と呼ぶ人もいれば

対称テンソル積ではなく, 交代テンソル積.

> 交代積を外積と呼ぶ人もいるのですね。

私はどちらでも構いません.

> > ベクトル空間 V に内積が入っていて,
> > V とその双対ベクトル空間 V^* とを同一視できるとき,
> 
> ええと,これはFベクトル空間Vの順序を込めた基底をB:=(b_1,b_2,…,b_n)^T
> (n:=dimV)と表して
> ({b_1,b_2,…,b_n}はVの基底),

基底なら, ベクトルをヨコに並べることが多いでしょう.

> g:V→V^*;V∋∀(x_1,x_2,…,x_n)B:=XB → g(XB):V→Fを

基底をヨコに並べておけば X はタテベクトルになって,
普通の数ベクトルの表示になります.
そのときは BX \in V ですね.
ともあれ,

> (g(XB))(b_1):=x_1,(g(XB))(b_2):=x_2,…,(g(XB))(b_n):=x_nを満たす
> F線形形式(線形汎写像)とすると

 V の基底 b_1, b_2, \dots, b_n に対して,
 V^* には双対基底 b^*_1, b^*_2, \dots, b^*_n が
 b^*_i(b_j) = \delta_{ij}
により定まりますが,
 b^*_i と b_i とは普通同一視されません.
 V の内積について b_1, b_2, \dots, b_n が正規直交基底であれば,
 x \mapsto (b_i, x) を b_i と同一視して,
 V と V^* の同一視が可能になります.

> このgは線形同型(この時gは自然な同型若しくは標準的同型と呼ばれる)となるのですね。

 V と V^* には「自然な同型」「標準的な同型」はありません.
貴方の g は無理やり V に b_1, b_2, \dots, b_n が正規直交基底となる
内積を導入したことに対応します.

> > V \otimes V と V \otimes V^* を同一視することができます.
> > V = R^3 なら, u \in R^3 に対して {}^t u \in (R^3)^* が対応しますから,
> > u \otimes v には u \otimes {}^t v が, また, u {}^t v という行列が
> > 対応します.
> 
> この場合は基底BはB:=(I_{11},I_{21},…,I_{33})
> (但し,{I_{11},I_{21},…,I_{33}}はR^3(×)R^3の基底I_{ij}=e_i(×)e_j)を採ると,

なるべく V にも V \otimes V にも基底を入れない話をしているのですが,
 V が数ベクトル空間 R^3 で, 標準基底 e_1, e_2, e_3 が正規直交基底となる
内積が入った場合を考えるとするなら,
 u = u_1 e_1 + u_2 e_2 + u_3 e_3,
 v = v_1 e_1 + v_2 e_2 + v_3 e_3 に対して,

> g:R^3(×)R^3→R^3(×)(R^3)^*;
> R^3(×)R^3∋∀XB→g(XB)=u {}^t v∈R^3(×)(R^3)^*

 XB ではなく, u \otimes v に対してです.

> 但し,{}^t(u_1,u_2,u_3):=u,{}^t(v_1,v_2,v_3):=v,
> X:=
> u_1v_1,u_1v_2,u_1v_3
> u_2v_1,u_2v_2,u_2v_3
> u_3v_1,u_3v_2,u_3v_3
> ∈R^{3×3}.

 u \otimes v = \sum_{i, j=1}^n u_i v_j e_i \otimes e_j
であるのは良い.

> XB=
> u_1v_1,u_1v_2,u_1v_3
> u_2v_1,u_2v_2,u_2v_3
> u_3v_1,u_3v_2,u_3v_3
> 
> と書けるのですね。

それに対応する行列が
 \pmatrix{
  u_1 v_1& u_1 v_2& u_1 v_3\cr
  u_2 v_1& u_2 v_2& u_2 v_3\cr
  u_3 v_1& u_3 v_2& u_3 v_3\cr
 }
であるのも良い.

> > # V \otimes V^* は Hom(V, V) と同型です.
> 
> これについては,B:=(b_1,b_2,…,b_n),D:=(d_1,d_2,…,d_n)
> (n:=dimV,{b_1,b_2,…,b_n}と{d_1,d_2,…,d_n}は夫々VとV^*の基底)と置くと,
> g:V(×)V^*→Hom(V,V);V(×)V^*∋∀Σ_{k=1..n}x_kb_k (×)Σ_{k=1..n}y_kd_k
> := BX (×) DY  (但し,x_k,y_k∈F,k=1,2,…,n,
> X:={}^t(x_1,x_2,…,x_n),Y:={}^t(y_1,y_2,…,y_n))
> →g(BX (×)DY)∈Hom(V,V)となりますね。
> このベクトル準同型写像g(BX (×)DY)は∀w∈Vを何に写す様な写像なのでしょうか?

 g(b_i \otimes d_j)(w) = (d_j(w)) b_i
です.

> とりあえずこのg(BX (×)DY)がV(×)V^*とHom(V,V)とのベクトル同型写像になるのですね。

 V \otimes V^* は BX \otimes DY の形の元の一次結合全体であり,
 \sum_{i, j=1}^n c_{ij} b_i \otimes d_j の形の元全体であることには注意しましょう.

> > u_1, u_2, \dots, u_p に対して,
> > その外積 u_1 \wedge u_2 \wedge \cdots \wedge u_p を交代テンソルとして
> > 考えることは,
> > \sum_{\sigma \in S_p} \sgn(p) u_{\sigma(1)} \otimes u_{\sigma(2)} \otimes
> 
> \sgn(\sigma)ではなく\sgn(p)なのですか。

おっと, \sgn(\sigma) です.

> > \cdots \otimes u_{\sigma(p)} を対応させることですから,
> 
> グラスマン積の記号∧と区別する為に,Exp(,,...,)という記号を使わせていただきますと,

何故区別する必要があるのでしょうか.
 Exp は通常別の意味で使われますから, 使ってはいけません.

> Ext(,,...,):V^p→F

 Ext は通常別の意味で使われますから, 使ってはいけません.
なお, いま V^p の元, 即ち, V の元 p 個の組 (u_1, u_2, \dots, u_p) に
対応させようとしているのは, F の元ではなくて,
 V の p 個のテンソル積 V \otimes V \otimes \cdots \otimes V = V^{\otimes p}
の元です.

> ;V^p∋∀(u_1,u_2,…,u_p)
> →Ext(u_1,u_2,…,u_p):=Σ_{σ∈Sym(p)}sgn(σ) u_σ(1) (×) u_σ(2) (×) …
> (×) u_σ(p)
> という事ですね。

これは良いですが,

> そして,
> u_σ(1) (×) u_σ(2) (×) … (×) u_σ(p):V^p→F
> はV上のp階テンソルを意味してるのですね。

 u_{\sigma(1)} \otimes u_{\sigma(2)} \otimes \cdots \otimes u_{\sigma(p)}
は V のテンソル積 p 乗 V^{\otimes p} の元です.

> > u \wedge v = u \otimes v - v \otimes u であり,
> > = u {}^t v - v {}^t u を作ることです.
> 
> Ext(,)=u(×)v-v(×)uという事ですね。

違いますよ.

> この時,a,b∈Vに対して(VはF線形空間),
> Ext(a,b)=(u(×)v)(a,b)-(v(×)u)(a,b)
> =(ua)(×)(vb)-(va)(×)(ub)
> ∈F
> と計算されるのですね。

違いますよ.
 a \wedge b = a \otimes b - b \otimes a であると言っているだけです.

> > 3 次の交代行列全体は 3 次元のベクトル空間であり,
> 
> ∀S∈SS(F;3):={A∈F^{3×3};{}^tA=-A}に対しS=a_{21}I_{21}+a_{31}I_{31}+a_{23}I_{23}
> (a_{21},a_{32},a_{23}∈F)と書けるので
> ({I_{21},I_{32},I_{23}}がSS(F;3)の基底として採れますね) dimSS(F;3)=3ですね。 

 I_{21}
  = \pmatrix{
     0& -1&  0\cr
     1&  0&  0\cr
     0&  0&  0\cr
    }
 I_{31}
  = \pmatrix{
     0&  0& -1\cr
     0&  0&  0\cr
     1&  0&  0\cr
    }
 I_{23}
  = \pmatrix{
     0&  0&  0\cr
     0&  0&  1\cr
     0& -1&  0\cr
    }
であるなら, そうです.

> > 上の対応を保つ同型が存在します
> 
> ええと,。φ:∧_{k=1..2}F^3→SS(F;3)を

 Λ_{k=1..2}F^3 は意味不明です.

> ∧_{k=1..2}F^3∋∀a∧b(=Grs(a,b)) → φ(a∧b):=
> 0,a_1b_2-a_2b_1,-(a_3b_1-a_1b_3)
> -(a_1b_2-a_2b_1),0,a_2b_3-a_3b_2
> a_3b_1-a_1b_3,-(a_2b_3-a_3b_2),0
> ∈SS(F;3)
> と定義すればこのφはベクトル同型となるのですね。

 a = a_1 e_1 + a_2 e_2 + a_3 e_3,
 b = b_1 e_1 + b_2 e_2 + b_3 e_3 に対して,
 \phi(aΛb)
 = \phi(a \otimes b - b \otimes a)
 = \pmatrix{
   a_1 b_1& a_1 b_2& a_1 b_3\cr
   a_2 b_1& a_2 b_2& a_2 b_3\cr
   a_3 b_1& a_3 b_2& a_3 b_3\cr
   }
   -
   \pmatrix{
   b_1 a_1& b_1 a_2& b_1 a_3\cr
   b_2 a_1& b_2 a_2& b_2 a_3\cr
   b_3 a_1& b_3 a_2& b_3 a_3\cr
   }
 = \pmatrix{
                   0& a_1 b_2 - a_2 b_1& a_1 b_3 - a_3 b_1\cr
   a_2 b_1 - a_1 b_2&                 0& a_2 b_3 - a_3 b_2\cr
   a_3 b_1 - a_1 b_3& a_3 b_2 - a_3 b_2&                 0\cr
   }
ですから, そうです.

> > n = 3 の場合でなければ, 普通ベクトル積は考えません.
> 
> 3<nの場合には,Vct(v_1,v_2,…,v_{n-1})とは

だから, 普通考えません. 因みに,

> ベクトル空間C^n内のn-1 個のベクトルv_1,v_2,…,v_{n-1}が作るn-1次元立体Qに直交し,

 Q は複素 n-1 次元の部分空間内のものでしょうが, それは何?
それに直交するベクトルは複素1次元の部分空間内にありますが,

> Qの体積(n-1次元複素ルベーグ測度)にそのノルム ‖Vct(v_1,v_2,…,v_{n-1})‖に
> 等しくなるようなn次複素ベクトルの事です。

 n 次ではなく, 1次でしょうか.
その長さを決めても, 長さ 1 の複素数倍を除いてしかそれは決まりません.
 R^3 のときでも, その記述では1意に定まりませんよ.

> > 因みに, 「符号が」「交互」というのは,
> > 1-vector u と (n-1)-vector \alpha の外積 u \wedge \alpha が
> > 標準的な n-vector \omega の k 倍であるとき, 即ち,
> > u \wedge \alpha = k \omega のとき,
> 
> ええと, u∈F^1, α∈F^{n-1}, ω∈F^nで, Ext(u,α)=kωの時という意味でしょうか?

いいえ. u \in V = F^n, \alpha \in Λ^{n-1} V, \omega \in Λ^n V で,
 u \wedge \alpha = k \omega のときです.

> すいません。異なる行数のベクトルuとαの外積Ext(u,α)は
> どのように定義してあるのでしょうか?

 p-vector \alpha \in Λ^p V と
 q-vector \beta \in Λ^q V との外積
 \alpha \wedge \beta \in Λ^{p+q} V の話は
外積代数について書いてある本を探してください.
 \alpha = u_1 \wedge \cdots \wedge u_p,
 \beta = w_1 \wedge \cdots \wedge w_q と decomposable であれば,
 \alpha \wedge \beta
 = u_1 \wedge \cdots \wedge u_p \wedge w_1 \wedge \cdots \wedge w_q です.

> > \alpha(u) = k として, \alpha を V^* の元と考えて,
> > 更に, V と V^* とを同一視して, (n-1)個のベクトルの外積に
> > 一つのベクトルを対応させるということであれば,
> 
> 同一視させる...?
> つまり,仰ってる事はg:V→V^*をV(=F^1)∋∀u=ke_1→g(ke_1):=α ({e_1}はF^1の基底)で,

 F は R とか C とかだとして, V = F^n ですよ.

> α:V(=F^1)→F;F^1∋∀u=ke_1→α(u)=kとαを定義してやればα∈V^*(=(F^1)^*)となり,
> このgはベクトル同型写像になっているという内容でしょうか?

 \omega \in Λ^n F^n が与えられていれば (\omega \neq 0),
 \alpha \in Λ^{n-1} F^n を (F^n)^* の元と, また (内積があるとして)
 F^n の元と対応させて, Λ^{n-1} F^n と F^n との同型写像を考えても良い,
という内容です.

> >> 基底をとって考えるのでも, 順序を逆にする必要があるでしょう.
> 
> すみません。 ちょっと混乱してます。
> ここでの順序って具体的にどのように換えるのでしょうか?
> 
> 4次元以上のベクトル空間でのベクトル積についてググってみましたら,
> 最下行から+,-,+,…となってるようでしたので上述致しました。

そのとき, 成分はどう並べられていましたか.

> >> 4次の場合だと
> >> Vct(a,b,c):=diag((-1)^{4-1},(-1)^{3-1},(-1)^{2-1},(-1)^{1-1},)Grs(a,b,c)と 
> >> 
> >> 書けるのですね?
> > 山本さんの定義で a \wedge b \wedge c が
> > 順に \Delta_1, \Delta_2, \Delta_3, \Delta_4 の成分を持つとき,
> > (\times(a, b, c), d) = \det(a, b, c, d) とするには,
> > = \Delta_4 d_1 - \Delta_3 d_2 + \Delta_2 d_3 - \Delta_1 d4
> 
> 意味がよく分かりません。このdってなんでしょうか?

 d は d_1, d_2, d_3, d_4 を成分とする F^4 のベクトル.

> > ですから, \times(a, b, c) の成分は
> > 順に \Delta_4, - \Delta_3, \Delta_2, - \Delta_1 とする必要があります.
> > だから, 貴方の式は違います.
> 
> つまり,
> Vct(a,b,c)={}^t(-⊿_1,⊿_2,-⊿_3,⊿_4)ですね。

違いますよ,
 \pmatrix{
    \Delta_4\cr
  - \Delta_3\cr
    \Delta_2\cr
  - \Delta_1\cr
 }
です.

> 私のも
> diag((-1)^{4-1},(-1)^{3-1},(-1)^{2-1},(-1)^{1-1},)Grs(a,b,c)
> =diag((-1)^{4-1},(-1)^{3-1},(-1)^{2-1},(-1)^{1-1}){}^t(⊿_1,⊿_2,⊿_3,⊿_4)
> ={}^t(-⊿_1,⊿_2,-⊿_3,⊿_4)
> という風に一致するのですが。

だから, 並べている順番が違います.
貴方は (1, 2, 3, 4) と (4, 3, 2, 1) が同じだと思いますか.

> VとWはF上のベクトル空間で

異なるベクトル空間 V, W については
(テンソル積 V \otimes W は考えますが)
対称積とか交代積とかは考えません.
-- 
塚本千秋@基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp