工繊大の塚本です.

2015年12月26日土曜日 3時15分59秒 UTC+9 Kyoko Yoshida:
> 集合的にはΛ^2 C^3=C^3ですが,別々の線形写像と見るのですね。

ベクトル空間(線形空間)としても同形ですが,
別々の線形空間と見ます.

> D:=
> d_11,d_21~,d_31~
> d_21,d_22,d_32~
> d_31,d_32,d_33
> の時,

 D は正定値エルミート行列 A, B から 定められたものでした.
それを C^3 上の線形変換の表現行列ではなく,
 Λ^2 C^3 上の線形変換の表現行列と考えると,
 C(vΛw) = A(v)ΛB(w) + B(v)ΛA(w)
で定義される線形写像の表現行列であることを注意しました.
(但し, A, B を線形写像として考えるときの基底と,
 C の表現行列としての D を考えるときの基底には
注意が必要です.)
従って, 任意の正定値エルミート行列 A, B に対して
 D が正定値エルミート行列であることを証明するには,
任意の正定値エルミート線形変換 E, F に対して
 C(vΛw) = E(v)ΛF(w) + E(v)ΛF(w)
で定義される Λ^2 C^3 の線形変換が正定値エルミートであることを
証明すれば良い.
それには任意の x \in Λ^2 C^3, x \neq 0 に対して
 (C(x), x) > 0 を示せば良い.
ところが, C^3 のある正規直交基底 u_1, u_2, u_3 に対して,
 x = k u_2Λu_3 (k \neq 0) と表せますから,
 (C(u_2Λu_3), u_2Λu_3) > 0 を示せば良い.
ここまでは理解されましたか.

> (Dx,y)=(D(v∧w),v∧w) (但し,x,y,v,w∈C^3)

この計算を持ち出しているのはどうも誤解があるようです.

> =((u_1 u_2 u_3)^*[C]_{u_1,u_2,u_3}(v∧w),v∧w)
> (但し,[C]_{u_1,u_2,u_3}は写像Cの
> 正規直交基底{u_1:=e_2Λe_3,u_2:=e_1Λe_3,u_3:=e_1Λe_2}に於ける表現行列)
> =(C(α_1u_1+α_2u_2+α_3u_3),α_1u_1+α_2u_2+α_3u_3)
> =Σ[i,j=1..3]α_i\bar{α_j}(C(u_i),u_j)
> =Σ[i=1..3]|α_i|^2d_ii>0 (∵d_ii>0)
> となるのですよね。
> そこで,(C(u_i),u_j)=0 (i≠j)を言わねばならないのですが
> どうすれば言えるのでしょうか?

全く誤解されているようです.

 (C(u_2Λu_3), u_2Λu_3)
 = (E(u_2)ΛF(u_3) + F(u_2)ΛE(u_3), u_2Λu_3)
 = (E(u_2)ΛF(u_3), u_2Λu_3) + (F(u_2)ΛE(u_3), u_2Λu_3)
 = ((E(u_2), u_2)(F(u_3), u_3) - (E(u_2), u_3)(F(u_3), u_2))
   + ((F(u_2), u_2)(E(u_3), u_3) - (F(u_2), u_3)(E(u_3), u_2))
 = (e_{22} f_{33} - e_{23} f_{32}) + (f_{22} e_{33} - f_{23} e_{32})

となります. ここで, e_{ij} = (E(u_i), u_j), f_{ij} = (F(u_i), u_j)
はいずれも正定値エルミート行列の成分です.

一方, 貴方は, 正定値エルミート行列 A, B に対して,

 d_{11} = a_{22} b_{33} + a_{33} b_{22} - a_{23} b_{32} - a_{32} b_{23}

が正であることは示せたとおっしゃっていたのですから,
上の (C(u_2Λu_3), u_2Λu_3) も正であることは分かったことになります.
それで証明終わりです.
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塚本千秋@基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp