工繊大の塚本です.

In article <k66ef4$4vb$1@dont-email.me>
"Kyoko Yoshida" <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> 複素多様体を数ベクトル空間として見た時に,
> スカラー倍で違いが生じてしまうのですね。

複素数体上の数ベクトル空間は一つの複素多様体ですが,
任意の複素多様体を数ベクトル空間と見ることが出来る
わけではありません.
何を以って複素多様体の複素構造というか, は別のお話.

> つまり,C^nはCのスカラー倍について閉じているが,
> R^nはCのスカラー倍について閉じていないという事ですね。

そういう理解で今は良いでしょう.

> atlasを確実にchartの集まりとしました
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_of_C_alpha_class_differntiable_manifold__00.pdf
> これで今度こそ大丈夫かと思います。 

 "complex topological manifold" などという言葉はありません.
 C^n で考えても R^{2n} で考えても「位相同型写像」に
変わりはありませんから.

 [Def 684] は (ii) の部分が駄目です.
複素多様体というのは atlas について定まる概念ですから,
 atlas A に属する任意の charts (U_1, V_1, f_1: U_1 \to V_1),
 (U_2, V_2, f_2: U_2 \to V_2) について, U_1 \cap U_2 \neq \emptyset
であれば, (f_1)\circ(f_2)^{-1}: f_2(U_1 \cap U_2) \to f_1(U_1 cap U_2)
が biholomorphic である, というのが条件です.
この性質を満たす altas A の各要素 (U, V, f: U \to V) が
 holomorphic な chart である, というのは良いでしょう.
# 最初の atlas A に属さない chart について
# それが holomorphic な chart かどうかを議論する
# こともあるわけですが.

 [Def 685] でも, atlas A に属する charts について,
という書き方になっていないと意味がありません.
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塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp