佐々木将人@函館 です。

>From:"Kouichi Niimi" <niimi@gld.mmtr.or.jp>
>Date:2003/11/26 22:34:16 JST
>Message-ID:<bq2a4n$rb5$1@caraway.media.kyoto-u.ac.jp>
>
>さて、この場合、「新ウール」製品を「ウール」製品と表示して販
>売していた販売店を訴えることはできるでしょうか? またその際、
>どういった法に抵触しているのでしょうか?
>
>もちろん、セータですから着られることにかわりはありませんが、
>人によっては酷いことになったりすることもある、という前提で
>です。

基本線に帰って
「相手に損害賠償を請求するためには
 それなりの法律上の根拠が必要である」
というところで
不法行為責任なら販売店の故意過失を論じなきゃならないし
過失というならどんな注意義務があるのかを論じなければならないでしょう。
特別法によるなら特別法の規定の存在と
その規定の要求する要件の存在を示さないとならない。

で、アレルギーについては
今のところ
「それは個人の特殊な事情であって
 通常起こり得る損害にはカウントしない」
というのが判例の流れと言っていいでしょう。
(医者の場合を除く)
それはそばアレルギーという病気が広く知れ渡っている現在であっても
そば製品は売られているという事実で
世間的にも受け入れられていると言っていいです。

もっとも
最近では「アレルギーが起こるので……」って書いてあるじゃないか?
って指摘があるかもしれません。

だけどこれは食品衛生法施行規則でそう書けってことになったからなんですな。
(詳細は厚生労働省の
  http://www.mhlw.go.jp/topics/0103/tp0329-2b.html 
 をどうぞ)

そして当然のことながら
行政法規違反は直ちに民事損害賠償責任を発生させる訳じゃないので……。
(不法行為責任の中の違法性の要件については推定されるでしょうけど。)

食品衛生法施行規則が適用にならないセーターの場合には
人によってはアレルギーになるかもしれないくらいの認識では
「そういうことを表示しなければならない義務」が発生しませんし
不法行為責任の追及は無理ってことになります。
たぶんですが
「私はこういうアレルギーがあるんだけどこれは大丈夫?」
と聞いてみて
「大丈夫ですよ」
ってやりとりがあったために購入にいたったということが証明できれば
これは損害賠償の対象になると思いますが、
そうでなければ……。

別の投稿で書いたけど
「コピーコントロールCD」がCDプレイヤーを壊した場合だと
「CDを入れて演奏したぐらいじゃ壊れない」はずなので
壊れたこととの因果関係が認められれば
損害賠償責任が認められるだろうということに比べれば
アレルギーになったという理由での損害賠償の方が困難だと思います。

そういう次第なので
だいぶん事情が異なってしまう以上

># 蛇足ですが、CCCDが酷い場合はプレーヤを故障させること
># もあるというのをたとえています。

例示に必要な事象の共通性があまりないように思います。

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cal@nn.iij4u.or.jp  佐々木将人
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