佐々木将人@函館 です。

>From:Keizo Matsumura <kmatsu@nr.titech.ac.jp>
>Date:2003/11/12 18:27:10 JST
>Message-ID:<3FB1FCEE.E093DCAB@nr.titech.ac.jp>
>
>金銭債権は、可分債権ではないのですか?金銭債権で可分債権になるものと不可
>分債権の
>ものがあるのでしょうか?

いくらでもありますよ。
詳細は民法の債権総論の教科書を御覧ください。
少なくとも「分けることができるから可分債権」って論法じゃあありません。

一応「性質上の不可分債権」と「意思表示による不可分債権」があります。
でも意思表示があれば
(第3者との関係では問題になるものの)
それが不可分債権になるのは争いのないところですし
たとえ金銭債権であっても
当事者間で「これは不可分債権だ」ってことで話がついていれば
それにケチをつける理由はありません。

性質上の不可分債権というのは
債権の性質に着目したものであって
金銭かどうかという債権の目的物に着目したものでは
必ずしもありません。
判例で有名なものには
「数人が1室を借りている場合の賃料債権は
 金銭債権ではあるけど不可分債権だ。
 なぜなら反対債権である「1室を貸す」は不可分だから。」
というものがあります。

>―――――――――――――――――――――――――――――――――――
>文献  「新しいマンション法」法務省民事局参事官室編、商事法務研究会、5
>5頁。
>    管理経費の請求権の帰属と取立権者
>  管理組合が権利能力のない社団の性格をもつときは、その人格なき社団に
>(法律的には、判例の考え方によれば、構成員に総有的に)帰属します。…その
>取立
>は、…法人格のない管理組合で管理者が置かれているときは、管理者が行うこと
>になり
>ます(新法26条)。
>―――――――――――――――――――――――――――――――――――
>法務省民事局参事官室(著者のうち3名は裁判官)が「管理組合が権利能力のな
>い社団の性格をもつときは、
>……その取立は、……法人格のない管理組合で管理者が置かれているときは、管
>理
>者が行うことになります(新法26条)。と、言っているのである。
>
>これについては、どう解釈すればよいのでしょうか?

前に書いた本の解説がそのままあてはまると思いますよ。
区分所有建物の管理と法律は昭和56年初版だから
その後の改正は反映されていないかもしれませんが
管理費滞納等の問題について「誰が」請求できるかという点について
「確かに明快さには欠けるけど」一応論じています。
一番明快な星野先生の解説の延長線にあるのは
「権利能力なき社団自体できる……だけど管理者にするのは
 明快でない部分を立法化しただけで
 権利能力なき社団自体ができなくなった訳ではない。」
ということだと私は想像していますし
権利能力なき社団が訴訟行為をするより
管理者が訴訟行為をする方が簡便で便利なのは言うまでもないでしょう。

そしてそういう制度ができたからといって
簡便じゃない不便なやり方が否定される訳ではありません。
(上の本では別の人が組合類似として原告対原告以外全員訴訟を想定しているけど
 仮にこれにのったとしても管理者制度の導入が
 こういう訴訟形態を否定したことには直ちにはなりません。)

>権利能力のない社団の名では、預貯金口座の開設ができません。理事長兼管理者
>の個人名口座
>しか作れません。権利能力のない社団へ入金する方法は、現金書留等にするしか
>ありません。

でも訴訟はできるでしょ?

ちなみに1つにまとめるために

>From:Keizo Matsumura <kmatsu@nr.titech.ac.jp>
>Date:2003/11/12 17:22:52 JST
>Message-ID:<3FB1EDDC.BF73DBC1@nr.titech.ac.jp>
>
>私は,建物区分所有法の管理者がいるので管理者(個人)Aに払いました。
>規約で理事長が管理者になると決められています。

債権者じゃない人に払ったって非債弁済で
払ったことにはならないじゃん。

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cal@nn.iij4u.or.jp  佐々木将人
(This address is for NetNews.)
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ルフィミア「兄さん、秋休み、終わっちゃったね?」
まさと  「それ青いブレザーでキュンキュンさせながら言わないと……。」