佐々木将人@函館 です。

丸付き数字は使わないように!
(以前にも注意したけど。)

>From:Keizo Matsumura <kmatsu@nr.titech.ac.jp>
>Date:2003/10/31 19:21:05 JST
>Message-ID:<3FA23791.6CEABA54@nr.titech.ac.jp>
>
>可分債権の場合、各区分所有者が、その持分に応じて債権を有している。
>管理費請求権は、各区分所有者の持分に応じて各区分所有者に分割帰属してい
>る。
>
>下は、これに関する判例である。

示された判例見たけど
全てもとが「不法行為に基づく損害賠償債権」であって
「不可分債権が損害賠償(金銭)債権に転化すると可分債権となる」のは
いくらでもある以上
これらの判例を根拠に管理費請求権が可分債権で分割帰属するとは
全然言えませんよ。

とはいえ管理費債権の債権の性質が不可分債権なのか
また誰が権利主体になるかについては
確かに判例はなさそうなので
まあその辺を争ってみるというのはありなのでしょう。

「区分所有建物管理問題研究会編 
 区分所有建物の管理と法律
 昭和56年」
でもp149で管理費支払請求訴訟の当事者について論じているけど
大学教授の他法務省民事局参事官や局付検事まで参加しているのに
どうにも歯切れが悪い……。
一番明快なのは星野英一先生だけど
星野先生は組合の規定の準用でいくと
「争いの元となった組合員vs他全員」になるけど
「しかし、私は、民事訴訟法46条にあたり、
 組合を当事者にしてよいと考えております。
 ここは権利能力なき社団的に考えてよいのではないでしょうか。」
としています。

私も個人的にはこの線に賛成で
管理費債権が可分債権だって主張自体怪しいと思っていますが
(権利能力なき社団って言うなら共有の線だし
 共有なら可分債権じゃないわな。普通。
 また実際上も「各区分所有者に分割して払わないと債務不履行」というのは
 変でしょう。
 それでいいならそもそも管理費なる概念を設ける必要はないもん。
 管理に要した具体的な費用を個別に割り振ればいいだけでしょ。)
仮に可分債権としても権利能力なき社団名で
訴訟上請求できるものと解するのが相当だと思います。

なお、

>東京高判平成8月12月26日判時1599-79(百合ヶ丘ガーデンマンション事件)

この事案では原審が訴えを却下したのに対し
それを破棄して請求棄却判決を出しています。

不法行為に基づく損害賠償請求事案についてさえ

>権利能力なき社団の団体には、可分債権の請求権はないということである。
>各区分所有者が、分割帰属している管理費請求権を有するのである。

ということであっても
そのことを理由に当事者能力を否定することはできないばかりか
端的に請求権の根拠がないのだから請求棄却判決にすべきである
と論じているものです。

したがってこの判決が先例となる限り
「相手には当事者能力すらない」という主張では
その時点で負け戦確定です。

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