At Fri, 14 Nov 2003 23:10:43 +0900,
in the message, <20031114231043cal@nn.iij4u.or.jp>,
cal@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote
>簡便じゃない不便なやり方が否定される訳ではありません。

民訴の本には書いてあるんじゃないですかねぇ?
組合が訴訟をする場合とか権利能力なき社団が訴訟をする場合とかに、誰が当
事者となるかは何通りかあるってことが。
たとえば組合の場合、
1.全員が当事者となる。
2.組合自体が当事者となる。
3.業務執行組合員が訴訟担当となる。
とか
(ちなみに以前ちらっと触れた「業務執行組合員を法令上の訴訟代理人とす
 る」という判例は大正時代のものでしかも傍論の様子なので、判例とは言い
 難いです。
 一応伊藤眞先生の著書には「有力説」ともあります。
 しかし、有力説と言えどもあまり説得的とは思えないです。)。

……いや、これは論点が多岐に渡るから通常の基本書ではそういうまとめ方を
しないか……。

>>権利能力のない社団の名では、預貯金口座の開設ができません。理事長兼管理者
>>の個人名口座
>>しか作れません。権利能力のない社団へ入金する方法は、現金書留等にするしか
>>ありません。

内田先生も言ってますけど、権利能力なき社団の権利関係の公示が問題になる
のは'事実上'不動産登記だけ。
銀行口座は権利能力なき社団名の肩書き付き名義が可能なので'事実上'、預
金口座の開設はできます。
だから「現金書留等にするしかない」というのは'事実に反して'誤りです
(ちなみに「直接渡す」というのもあるのだが……。
 なんで「現金書留等」じゃなきゃいかんのかね?
 ……「送金」のつもりなのかも知れないけど。)。

>債権者じゃない人に払ったって非債弁済で
>払ったことにはならないじゃん。

債権者じゃないとしても「弁済受領権限」があれば「払ったことに」なりま
す。

それはともかく、受領権限なき者に対する弁済は非債弁済とは言わないでしょ
う
(そういう用例は知りません。)。
普通、非債弁済と言えば'存在しない'債務の弁済のこと
(だから「非債」なわけだ。
 「債」とは他人に対して負っている何らかの義務とか負担のことで、そ
 ういうものがないのに弁済するから「非債弁済」。)。
広義には弁済期未到来の債務または自分の債務と勘違いした他人の債務の弁
済。
つまり、「(少なくとも現時点において)自分に弁済義務がない(債務自体の
不存在も含む。)債務の弁済」のこと。
そうすると、受領権限なき者に対する弁済であっても、「自分に弁済義務があ
る債務の弁済」である以上、「非債弁済」ではない
(管理者に対する債務はないという意味では「非債弁済」と言えなくもないけ
 ど、それならばそもそも、他の区分所有者に対する債務という'現に存在す
 る'債務についての履行じゃないのだから、非債弁済を論じるまでもなく当
 該債務の履行にはなるわけがない。)。

# ……「相殺したらチャラになるの?」って方がおかしいということを認識す
 るには有効だと思うけど、いかが?

-- 
SUZUKI Wataru
mailto:szk_wataru_2003@yahoo.co.jp