Re: ζ(s),DL(s,χ),_{amodN(s)},ζ(s,x)の複素平面上での正則性・有理型性・解析接続可能性の証明
工繊大の塚本です.
In article <k28e28$g30$1@dont-email.me>
"Kyoko Yoshida" <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> では結局
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_2993__14.jpg
> で「f(Z)=」の右辺は何と書けるのでしょうか?
s が整数であるときの \int_C u^{s-1}/(\exp(u) - 1) du の値は
2 \pi i 倍の u^{s-1}/(\exp(u) - 1) の u = 0 での留数です.
u/(\exp(u) - 1) = \sum_{n=0}^\infty (B_n/n!) u^n
ですから,
u^{s-1}/(\exp(u) - 1) = u^{s-2} \sum_{n=0}^\infty (B_n/n!) u^n
であり, s が 2 以上の整数であれば,
u^{s-1}/(\exp(u) - 1) は u = 0 で正則ゆえ 0,
n を非負の整数として s = 1 - n なら 2 \pi i (B_n/n!)
になります.
> In article <120831172552.M0108743@ras1.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > Re(s) \leq 1 なら \int_0^\infty x^{s-1}/(\exp(x) - 1) dx は,
> > x = 0 の所での発散の所為で, 発散します.
>
> これはどうして発散と分かるのでしょうか?
充分小さな x > 0 に対して, |x^{s-1}/(\exp(x) - 1)| > (1/2) x^{Re(s) - 2}
であり,
> > Re(s) \leq 0 どころか, Re(s) \leq 1 で発散です.
Re(s) \leq 1 なら \int_0^1 x^{Re(s) - 2} dx は発散です.
> そうでしたか。すると
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop199_99465__00.jpg
> にて(ii)はどのように対処すればいいのでしょうか?
Re(s) > 1 なら問題ありません. 充分小さな x > 0 に対して,
|x^{s-1}/(\exp(x) - 1)| < 2 x^{Re(s) - 2} ですから.
> {1/2,2,3,4,…}以外についてはまだ知られてないのですね。
随分と勘違いをされているようです.
> > 何故 1/2 が紛れ込んでいるのかは謎です.
>
> 前々記事で「\zeta(s) は Re(s) = 1/2 上に無数の零点を持つ関数ですよ.」
> という事でしたので1/2を付け加えました。
Re(s) = 1/2 の上に無数の零点があることは分かっていますが,
s = 1/2 は零点ではありません.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_2917__00.jpg
|\exp(-u)| < 1 となるのはどういう時かわかっていますか.
u = 0 で成立しますか.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_292__38.jpg
> と上手くいきました。
実は u > 0 でも u \to 0 で \exp(-u) \to 1 ですから,
和 \sum_{n=1}^\infty \exp(-nu) は一様収束ではありません.
この話は以前に注意した筈です.
> 因みに
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_2917__00.jpg
> で「(C\setminus{0})×C」としているのは
> u=0の複素数乗は定義されないので「\setminus{0}」を付け加えました
> (u^s:=sln(u)=s(ln|u|+iarg(u))より,ln|0|は定義されない)。
無駄な一般化の前に, 必要になる部分についての事実を
確認しましょう.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_29__00.pdf
> 取り敢えず計算してみたのですが
> どうしても第3項目がexp(2πis)∫_ε^∞u^{s-1}/(exp(u)-1)duとなりません。
> 何処が間違っているのでしょうか?
u^{s-1} = \exp((s-1)\log u) であり,
\log u = \log |u| + i \arg u であり,
積分路の最初の部分では \arg u = 0 と定めていて,
u^{s-1} = \exp((s-1) \log |u|) であるのに対し,
積分路の最後の部分では \arg u = 2 \pi となるので,
u^{s-1} = \exp((s-1)(\log |u| + 2 \pi i))
= \exp((s-1) \log |u|) \exp(2 \pi i s)
となるというだけのことです.
途中の不思議な計算は無視しておきます.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_2821__02.jpg
> の(i)と(iii)がにっちもさっちもいきません。一体どうすればいいのでしょうか?
多価関数として u^s を考えると, Re(s) > 2 でも
s が実数でないと |u^s| を制御できないので,
(i) は撤回しておきます.
いずれ (i) は必要のないことでした.
(iii) は u^{s-1} が一価でないので当たり前です.
> > だから, s が整数でない場合は多価関数 u^{s-1}/(\exp(u) - 1) を
> > u = 0 を含む領域では, 普通, 考えません.
>
> そうだったのですか。sが有理数の時は0^sは考えられるとしても
> sが無理数の場合も0^sは考えないものなのでしょうか
> (つまり,s∈C\setminusQの時は0^sは定義されない)?
複素関数としてであれば, 普通, u^s の u = 0 での「値」は
s が非負の整数でなければ考えません.
> > Re(s) > 2 であれば, \lim_{u \to 0} u^{s-1}/(\exp(u) - 1) = 0
> > となるので,
これも撤回しておきます. s が実数でないと意味がありませんでした.
> > u = 0 での u^{s-1}/(\exp(u) - 1) の値を 0 と定めれば,
> > どんな分枝で考えても u = 0 では連続になります.
これも撤回しておきます. s が実数でないと意味がありませんでした.
> > そんなもののローラン級数展開やら留数やらを考えることも
> > 出来ません.
>
> え? それはどうしてなのでしょうか?
ローラン級数展開の存在は, 特異点の周りの円環領域で
その関数が一価正則であるときでないと保証されません.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop199_968__01.jpg
> でいいのですね。
上で述べたことをご参照ください.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_265__07.jpg
> というのがLaurent展開できる条件で,
ちょっと不正確ですが,
> 今u^{s-1}/(exp(u)-1)がu=0にて非正則である事を
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_2821__03.jpg
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_2821__04.jpg
> として示そうと試みたいのですがどのようにして
> u^{s-1}/(exp(u)-1)がu=0でs-2位の零点を持つが非正則と分かるのでしょうか?
s が 2 以上の整数であれば, u = 0 でも正則ですよ.
> 後, s∈C\setminusZの時,u^{s-1}/(exp(u)-1)がu=0にて非正則である事は
> このような証明で宜しいでしょうか?
それは証明になっていないでしょう.
u = 0 の周りで一価でないというだけで十分です.
> 取り敢えず
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop199_968__02.jpg
> でいいのですね。
上記を御参照下さい.
> > u^{s-1}/(\exp(u) - 1) の u = 0 での留数は,
> > s = 1 の時 1 ですが, s が 1 より大きい整数の時は 0 です.
> > s が 0 以下の整数の時は,
> > u/(\exp(u) - 1) = \sum_{n=0}^\infty (B_n/n!) u^n
> > でしたから, s = 1 - n (n は自然数) とすれば,
> > 留数は B_n/n! になります.
>
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop199_968__00.pdf
> とお蔭様で上手くいきました。美しいです。
お分かりになったのでしょうか.
> それではi∫_0^{2π}(εexp(iθ))^s/(exp(εexp(iθ))-1) dθの値は何になるのでしょうか?
Re(s) > 1 のとき, \epsilon \to 0 で \to 0 になることさえ
分かれば良いので, 具体的な値は必要ありません.
> Re(s)>1の時には-∫_ε^∞x^{s-1}/(exp(x)-1)dx
> +i∫_0^{2π}(εexp(iθ))^s/(exp(exp(iθ))-1)dθ+exp(2πis)∫_ε^∞x^{s-1}/(exp(x)-1)dx
>
> は(exp(2πis)-1)∫_0^∞u^{s-1}/(exp(u)-1)duと表示されるのですね。
そうです.
> > s が整数であってもなくても同じです.
> > s が整数なら, その値を計算することが出来るというだけです.
>
> その計算は∫_C u^{s-1}/(exp(u)-1)du=(exp(2πis)-1)Γ(s)ζ(s)を用いてでしょうか?
いいえ, u^{s-1}/(\exp(u) - 1) の留数を用いてです.
それから \zeta(s) の s が非正の整数の時の値が計算できるでしょう.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_2993__02.jpg
> となったのですがこの先どうすればいいのでしょうか?
何がしたいのですか.
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塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp
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