Re: ζ(s),DL(s,χ),_{amodN(s)},ζ(s,x)の複素平面上での正則性・有理型性・解析接続可能性の証明
工繊大の塚本です.
In article <k1m0vg$31k$1@dont-email.me>
"Kyoko Yoshida" <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> In article <120827004132.M0110466@ras1.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > おやおや. それでは指数関数の前に対数関数が定義されているのですか.
> > では, 対数関数の微分はどのように求めましたか.
>
> y=ln(x)とすると
> dy/dx=lim_{h→0}(ln(x+h)-ln(x))/h=lim_{h→0}1/h ln(1+h/x)
> =lim_{h→0}1/x ln(1+h/x)^{x/h}=1/x lim_{h→0}ln(1/h/x)^{x/h}
> =1/x lim_{h/x\xE2^F^R\xB0}ln(1+h/x)^{x/h}=(1/x)ln(e) =1/x
> となると思います。
ま, そこで, \lim_{t \to 0} (1/t) \log(1+t) = 1 が示されて
いますが, e^x - 1 = t とおくことで, それから
\lim_{x \to 0} (e^x - 1)/x = \lim_{t \to 0} t/\log(1+t) = 1
は直ちに出てくるので, 当然, \lim_{x \to 0} (e^x - 1)/x = 1
は知っているべきことであり, 普通, 逆関数の微分法より前に
習うだろうと思います.
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_2993__13.jpg
> ならいいのですね。
{ s \in Z ; s \in f^{-1}(0) } というのは Z \cap f^{-1}(0)
のことですから, \mathbf{C} \setminus [1, \infty) にはなりません.
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_2823__03.jpg
> と訂正致しました。これで有限個の孤立特異点は全てC内部に入る事になります。
そのような書き方では, C の外部に孤立特異点がある場合の
扱いが窮屈ですね.
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop199_9946__01.jpg
> という風に訂正致しました。これなら如何でしょうか?
無用にくだくだしいですが, 間違ってはいないでしょう.
> >>> それなら [Prop205.29923] はほぼ無問題ですが,
> >>> \epsilon は \epsilon > 0 でないといけませんし,
> >> えっ? (iv)は間違いなのでしょうか?
> > はい.
>
> えっ
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_29923__01.jpg
> の何処が間違っているのでしょうか?
おっと, \epsilon > 0 に反応されたので, (iii) の方を
指しているものだとばかり思っていました. 間違っているのは
(iv) ではなく (iii) です. \epsilon \in [0, 1] とすれば,
\epsilon = 0 の場合を含みます.
> >>> (ii) は間違いです.
> >> えっ? Re(s)≦0の場合は∫_0^∞x^{s-1}/(exp(x)^1)dxは
> >> どう対処すればいいのでしょうか?
> > \Gamma(s) がそのように積分表示されるは Re(s) > 0 のときだけです.
私は Re(s) > 0 での \Gamma(s) = \int_0^\infty x^{s-1} \exp(-x) dx
について述べました.
> > Re(s) \leq 0 のときはそこから解析接続したものを考えます.
>
> 単に∫_0^∞x^{s-1}/(exp(x)^1)dxという積分値についての命題なら
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_29923__02.jpg
> と答えざる得ないのですね。
そこの式を見ると (\exp(x)^1) というのは (\exp(x) - 1) の
誤りなのですね.
> 参考としてお伺いしたいのですが
> Re(s)≦0の時,∫_0^∞x^{s-1}/(exp(x)-1)dxは計算不能なのでしょうか?
> または発散するのでしょうか?
Re(s) \leq 1 なら \int_0^\infty x^{s-1}/(\exp(x) - 1) dx は,
x = 0 の所での発散の所為で, 発散します.
> それともRe(s)≦0の時,∫_0^∞x^{s-1}/(exp(x)-1)dxの結果は
> 未だ知られていないのでしょうか?
Re(s) \leq 0 どころか, Re(s) \leq 1 で発散です.
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_2925__03.jpg
> なら宜しいでしょうか?
先ず \epsilon は任意の正数ではなく, 十分小さな任意の正数です.
(\epsilon < 2 \pi は必要です.)
それから \phi(s) の零点は「ここだけ」という形の主張は
出来ません. 「ここには」 \phi(s) の零点がある, の形の
主張にしましょう.
何故 1/2 が紛れ込んでいるのかは謎です.
> > 二行目・三行目では \sum は \int の外側に置くべきです.
> > 四行目に移行するときに, \sum を \int の中に入れて良い
> > ことも述べるべきです.
>
> えっ? ∫_0^∞exp(-x)x^{s-1}dxΣ_{n=1}^∞1/n^s=∫_0^∞Σ_{n=0}1/n^s
> exp(-t)t^s dt/tは通常の積分の性質ではないですか。
「通常の積分の性質」を使って
(\int_0^\infty x^{s-1} \exp(-x) dx)(\sum_{n=1}^\infty 1/n^s)
= \int_0^\infty (\sum_{n=1}^\infty 1/n^s) x^{s-1} \exp(-x) dx
と書き直してしまうと, 次のステップである,
n ごとに異なる変数変換 x/n = u が実行できません.
「通常の無限和の性質」を使って
(\int_0^\infty x^{s-1} \exp(-x) dx)(\sum_{n=1}^\infty 1/n^s)
= \sum_{n=1}^\infty (\int_0^\infty x^{s-1} \exp(-x) dx)/n^s
= \sum_{n=1}^\infty \int_0^\infty (x/n)^s \exp(-x) dx/x
と書き直せば,
= \sum_{n=1}^\infty \int_0^\infty u^s \exp(-nu) du/u
になります. そこで \sum を \int の中に入れることになります.
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_2835__00.jpg
> と上手くいきました。
はい.
> それと
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_292__36.jpg
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_292__37.jpg
> という手順で∫_C u^{s-1}/(exp(u)-1) du=(exp(2πis)-1)Γ(s)ζ(s)を
> 示すやり方は不味いでしょうか?
ところどころ式が間違っていることを除けば,
掛け算で等式を書いておこうが割り算で書いておこうが
分母が零にならない所では同じことですから,
そして零になるところを極として扱えば
有理形関数としては同じですから,
同じことです. 但し, 上でも注意したように,
n ごとに異なる変数変換を一つの積分の中で同時に行うことは
出来ません.
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_2915__03.jpg
> とお蔭様で上手くいきました。
はい.
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_29__06.jpg
> は一体何のようにして示せるのでしょうか?
複素線積分の計算式からそうなることは
既に納得したのではないのですか.
> 取り敢えず
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_2821__01.pdf
> という具合にu=0で微分可能という事は確認できそうですが,
s = 2 の場合の u/(\exp(u) - 1) が u = 0 での正則関数になる,
という話は, もう繰り返しません.
> 0^sや0^{s-1}は複素数の累乗の定義から0^s=exp(sln|0|+iarg(0))となり
> ln|0|部が定義されないで結局,0^sや0^{s-1}の値が何になるのか分かりません。
> どのように解釈したらいいのでしょうか?
だから, s が整数でない場合は多価関数 u^{s-1}/(\exp(u) - 1) を
u = 0 を含む領域では, 普通, 考えません.
しかし,
> それとRe(s)>2という条件は一体何処で使用すればいいでしょうか?
Re(s) > 2 であれば, \lim_{u \to 0} u^{s-1}/(\exp(u) - 1) = 0
となるので, u = 0 での u^{s-1}/(\exp(u) - 1) の値を 0 と定めれば,
どんな分枝で考えても u = 0 では連続になります.
気持ちが悪ければ, その部分は省いても良いでしょう.
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop199_968__00.jpg
> ぐらいしか分かりませんでした。
> [Prop199.968]は一体どのように対処したらいいのでしょうか?
s が整数でなければ, u^{s-1}/(\exp(u) - 1) は,
u = 0 のまわりでは, 一価になる分枝が取れませんから,
そんなもののローラン級数展開やら留数やらを考えることも
出来ません.
s が整数の時はそれで良い.
> > s が整数でなければ u = 0 は分岐点になるので,
> > u = 0 のまわりで u^{s-1}/(\exp(u)-1) は一価正則では
> > なくなります.
>
> 多価正則になるのですね。
ある点のまわりで,
というのは, ある点を含む領域を取ってということですが,
ある点のまわりでは一価になる分枝を選ぶことが出来て,
各分枝が正則なら, 多価正則ということになりますが,
u = 0 を含む領域では一価になる領域はありませんから,
u = 0 では多価正則というわけでもありません.
> lim_{u→0} u・u^{s-1}/(exp(u) - 1)はu・u^{s-1}/(exp(u) - 1)が
> 一位の極を持つ時にしか利用できませんでしたね。
>
> すると他にどのような方法で留数を求めれるのでしょうか?
ローラン級数展開を求める. -2 次以下の負ベキの項が分かるなら
それを引き去ったものに u を掛けて極限を取る.
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_29__09.jpg
u^{s-1}/(\exp(u) - 1) の u = 0 での留数は,
s = 1 の時 1 ですが, s が 1 より大きい整数の時は 0 です.
s が 0 以下の整数の時は,
u/(\exp(u) - 1) = \sum_{n=0}^\infty (B_n/n!) u^n
でしたから, s = 1 - n (n は自然数) とすれば,
留数は B_n/n! になります.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_29__10.jpg
だから, 答えは違っています.
> と行けましたが[Prop205.287]はどのようにして示せばいいのでしょうか?
間違っているものは示せません.
> え゛っ!? するとs∈C\setminusZの場合には
> どっどのようにして示せばいいのでしょうか?
3 項の和になることについては, 何も変えるところはありませんよ.
Re(s) > 1 では, その値が他の表示を持つことも,
s が整数であってもなくても同じです.
s が整数なら, その値を計算することが出来るというだけです.
--
塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
GnuPG Key ID = ECC8A735
GnuPG Key fingerprint = 9BE6 B9E9 55A5 A499 CD51 946E 9BDC 7870 ECC8 A735