工繊大の塚本です.

In article <k10s6k$6kc$1@dont-email.me>
"Kyoko Yoshida" <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> In article <120819004800.M0106858@ras2.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > 実数変数の指数関数の微分はどのように求めましたか.
> 
> xを実変数とする時,y=exp(x)とすると,
> x=ln(y)でd/dy ln(y)=1/y=1/exp(x)なので逆関数の微分の公式から
> dy/dx=1/(dx/dy)=1/(1/exp(x))=exp(x)です。

おやおや. それでは指数関数の前に対数関数が定義されているのですか.
では, 対数関数の微分はどのように求めましたか.

> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_2913__11.jpg
> でしたね。

今度は下から2番目の式の最後が間違っているでしょう.
そこは < 1 としておかないと, 最後の式が < 2 になりません.

> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_283__19.jpg
> でいいのですね。

正確に言えば Riemann 面をどう理解するかの話が残っていますが.

> 取り敢えず,
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_29__04.jpg
> は破棄して,
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_29__05.jpg
> と訂正致しました。

そのこと自体は結構です.

> そうでした。fが零点を持つ範囲を求めたいのですが
> {s∈C;s∈f^-1(0)}=C\setminus[1,∞)ではほぼ全域がfの零点になってしまいますね。
> えーっ。結局,{s∈C;s∈f^-1(0)}の右辺は何と書けるのでしょうか?

それが書けたら Riemann 予想が解決します.
分かるのは s が整数の時, f(s) がどのような値を取るか, です.

> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_2823__02.jpg
> でいいのですね。

あなたの書くものは文章になっていないので,
 f は C の内部には孤立特異点しかないということが
表現されているのかどうか判断できません.

> > [Prop199.9946] は認めてしまうのですか.
> 
> はい
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop199_9946__00.pdf
> では如何でしょうか?

あまり洗練されているとは言えませんが, 本質的には
良いでしょう. 但し, 最後を u^{Re(s) - \lfloor Re(s) \rfloor} 
にしたままでは, 0 \leq Re(s) - \lfloor Re(s) \rfloor < 1
なのですから, 不十分でしょう.
 
> > それなら [Prop205.29923] はほぼ無問題ですが,
> > \epsilon は \epsilon > 0 でないといけませんし,
> 
> えっ? (iv)は間違いなのでしょうか?

はい.

> > (ii) は間違いです.
> 
> えっ? Re(s)≦0の場合は∫_0^∞x^{s-1}/(exp(x)^1)dxは
> どう対処すればいいのでしょうか?

 \Gamma(s) がそのように積分表示されるは Re(s) > 0 のときだけです.
 Re(s) \leq 0 のときはそこから解析接続したものを考えます.
 
> > だからそれは間違っています.
> 
> もしかして(ii)は成立しないのでしょうか?

成立しません.

> うーん、そうしますとf^-1(0)はどのような集合になるのでしょうか?

  \int_C u^{s-1}/(\exp(u) - 1) du
   = (\exp(2 \pi i s) - 1) \Gamma(s) \zeta(s)

の零点が分かれば, Riemann 予想が解けてしまいます.
 
> > 重要な問題点だけ指摘しておくと,
> > \phi(s) = \int_{C_\epsilon} u^{s-1}/(\exp(u) - 1) du
> > は複素数平面全体で正則な関数です.
> > \phi(s) について
> > 示すべきは, 2 以上の正整数 s において \phi(s) = 0 と
> > なることであり, それ以上のことは必要ありません.
> 
> そうしますと
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_2925__02.jpg
> が正しい題意だったのですね。

 \zeta(s) は Re(s) = 1/2 の上に無限個の零点を持つので,
 \phi(s) も Re(s) = 1/2 の上に無限個の零点を持ちます.
 "only" の使い方が間違っています.

> > \zeta(s) の s = 1 での留数を知るには \phi(1) も
> > 計算しておくと良いでしょう.
> 
> ええっとそれは,
> ζ関数はζ(s)=1/((exp(2πis)-1)Γ(s)) ∫_C u^{s-1}/(exp(u)-1) duとも表せて
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop199_965__03.jpg
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop192_103__02.jpg
> からRes_{s=1}ζ(s)=φ(s)となるからなのですね。

その式は, 左辺が定数, 右辺が s の関数だから,
間違っていると気付かないとおかしい. 正確には

  \lim_{s \to 1} (s - 1) \zeta(s)
   = \lim_{s \to 1} ((s - 1)/((\exp(2 \pi i s) - 1) \Gamma(s))) \phi(s)
   = 1/(2 \pi i \Gamma(1)) \phi(1)
   = \phi(s)/(2 \pi i).

> > φ(1)の値が分かれば
> 
> Res_{s=1}ζ(s)=1と分かっているので逆を辿って,φ(1)=1だと直ぐに推測できますが,

ですから \phi(1) = 2 \pi i です.

> 実際にφ(1)を計算するとなると
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_29__06.jpg
> を利用する事になりましょうが,
> ∫x^{s-1}/(exp(x)-1)dxや∫_0^{2π}εexp(iθ)/(exp(εexp(iθ))-1)dθの積分は
> どうすれば求めれるのでしょうか?

何度も申し上げたように, そうではありません.
 s が整数なら, u^{s-1}/(\exp(u) - 1) は u = 0 の近傍では
 u = 0 のみを孤立特異点とし, u = 0 を除いたところで一価
正則な関数ですから, C_\epsilon の実軸の部分が打ち消し合う
ことも考えに入れれば, u = 0 での留数だけの計算に帰着します.

> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_292__34.jpg
> とお陰様で漸く解決できました。

二行目・三行目では \sum は \int の外側に置くべきです.
四行目に移行するときに, \sum を \int の中に入れて良い
ことも述べるべきです.

> すみません。一般論から∫_C u^{s-1}/(exp(u)-1)duが正則である
> とは具体的にどういう意味でしょうか?

被積分関数が複素パラメータ s を含んでいて,
その s について正則であるとき,
線積分したものも s について正則になる,
という型の定理です.

> > まあ, 無限曲線上での積分ですから, 簡単ではないです.
> 
> つまり,∫_C u^{s-1}/(exp(u)-1)duを積分することは容易ではないので,
> ((exp(2πis)-1)Γ(s)ζ(s)=)∫_C u^{s-1}/(exp(u)-1)duの零点を求めるのは
> 用意ではないという事ですね。

いえ, 上の型の定理をきちんと示すのが容易ではない
ということです.

> > ! 必要なのは, Re(s) > 1 のとき,
> > ! \lim_{\epsilon \to +0} \int_{C_\epsilon} u^{s-1}/(\exp(u) - 1) du
> > !  = (\exp(2 \pi i s) - 1) \int_0^\infty x^{s-1}/(\exp(x) - 1) dx
> > ! が成立する,
> > ことを示せるわけですが,
> 
> これはどのようにして示すのでしょうか?

これを

  \lim_{\epsilon \to 0}
    i \int_0^{2 \pi}
        (\epsilon\exp(i\theta))^s/(\exp(\epsilon\exp(i\theta))-1) d\theta
   = 0

から示そうとして, 

  |(\epsilon\exp(i\theta))^s/(\exp(\epsilon\exp(i\theta))-1)|
   = \epsilon^{Re(s)} \exp(-Im(s)\theta)/|\exp(\epsilon\exp(i\theta))-1|
   \leq \exp(2\pi|s|)
        \times ((\epsilon/|\exp(\epsilon\exp(i\theta))-1|) \epsilon^{Re(s)-1}
   < 2 \exp(2\pi|s|) \epsilon^{Re(s)-1}

という不等式を議論していたではありませんか.
 
> > それを示さないと,
> > \int_{C_\epsilon} u^{s-1}/(\exp(u) - 1) du
> >  = (\exp(2 \pi i s) - 1) \Gamma(s) \zeta(s)
> > が示せないではありませんか.
> 
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_292__35.pdf
> でもいけますよね。

それは要するに,

  \lim_{\epsilon \to 0}
    i \int_0^{2 \pi}
        (\epsilon\exp(i\theta))^s/(\exp(\epsilon\exp(i\theta))-1) d\theta
   = 0

を示そうということでしょう.

  \epsilon/|\exp(\epsilon\exp(i\theta))-1| < 2

の議論が抜けているから完結していません.
 3 page の議論は間違っていますよ.

  \exp(\epsilon\exp(i\theta))-1
   = \exp(\epsilon\cos\theta + i\epsilon\sin\theta)-1
   = \exp(\epsilon\cos\theta)
     \times (\cos(\epsilon\sin\theta) + i\sin(\epsilon\sin\theta))
     - 1
   = (\exp(\epsilon\cos\theta) \cos(\epsilon\sin\theta) - 1)
      + i \exp(\epsilon\cos\theta) \sin(\epsilon\sin\theta)

というのは良いですか. 分母は \epsilon \to 0 で 0 に近づくので,
分子の \epsilon を 1 つ合わせてやらないと, 有限になりません.

> ええっと、
> ∫_{C_\epsilon}u^{s-1}/(exp(u)-1) du=(exp(2π i s)-1)Γ(s)ζ(s)
> 
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_284__00.jpg
> が示せれば

そこが先ず問題.

> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_285__04.jpg
> が示せて,

これは予め示しておく.

> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_29__06.jpg
> が示せるわけなのですね。

順序としてはこれを用いて
<http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_284__00.jpg>
を示すことになります.

> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_2821__00.jpg
> が正しい題意なのですね。
> 一体,どのようにして証明できるのでしょうか?

全て, \exp(u) - 1 = u g(u), g(0) = 1 となる u = 0 での
正則関数 g(u) の存在から自明.

> > \exp(u) - 1 = u g(u), g(0) = 1 となる u = 0 での正則関数
> > g(u) が存在するのですから,
> 
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop199_967__00.jpg
> からそう言えますね。

だから, 何度も何度も言いましたが, g(u) の存在がわかってから,
 g(0) = d(\exp(u) - 1)/du|_{u=0} から
 ((\exp(u) - 1)/u)|_{u=0} = g(0) = d(\exp(u) - 1)/du|_{u=0}
でもあることが分かるので,
 \lim_{u \to 0} (d/du)(\exp(u) - 1)/(d/du)(u) を計算しても
意味ありません.

> > u^{s-1}/(\exp(u) - 1)
> > = u^{s-2} (1/g(u)) であり, 1/g(u) は u = 0 での正則関数です.
> > 1/g(u) のベキ級数展開から, u^{s-1}/(\exp(u) - 1) の
> > ローラン級数展開は直ちに得られます. 当然, 留数も計算されます.
> 
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_29__07.pdf
> とお陰さまで2πiまで辿り着けました。

 [Prop199.968] が丸っきり駄目です.

 s が整数でなければ u = 0 は分岐点になるので,
 u = 0 のまわりで u^{s-1}/(\exp(u)-1) は一価正則では
なくなります.

 s が 2 以上の自然数であれば, u^{s-1}/(\exp(u)-1) は
 u = 0 で正則ですから, u = 0 は極ではなく, 留数は 0 です.

 s が 1 であれば, 1/(\exp(u) - 1) は u = 0 を
一位の極としますから, そこでの留数は
 \lim_{u \to 0} u/(\exp(u) - 1) で計算できますが,
 s が非正の整数であれば, 1/(\exp(u) - 1) は u = 0 を
一位より大きな位数の極としますから, そこでの留数は
 \lim_{u \to 0} u \times u^{s-1}/(\exp(u) - 1)
では計算できません.

 \lim_{u \to 0} u^{s-1} を 1^{s-1} としているのは
何の勘違いでしょうか.

> それでこれからどうやって
> -∫_ε^∞x^{s-1}/(exp(x)-1)dx
> +i∫_0^{2π}(εexp(iθ))^s/(exp(εexp(iθ))-1)dθ
> +exp(2πis)∫_ε^∞x^{s-1}/(exp(x)-1)dx 
> に進めるのでしょうか?

 s は整数ですから, 第1項と第3項は cancel します.
第2項を求めた留数から計算します.

> > s が整数でない場合は, 留数計算では計算出来ない
> > というだけの話です. だから, 整数でない場合は扱いません.
> 
> え゛!?  すると
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/prop205_29__08.jpg
> が正しい題意だったのですか???? 

その3項の和にかけることは s が整数でなくても成立しますよ.
-- 
塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp