Re: ΦがC^級,全単射なO→O'な写像の時,EがLebesgue可測ならΦ(E)もLebesgue可測である
工繊大の塚本です.
In article <b3969627-3169-43be-a3c4-07e70fe4f467@j12g2000vbl.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> うーんとユークリッド空間内のOからO'への全単射だから
> Φはcompact性保存という意味でしょうか??
Hausdorff 位相空間から Hausdorff 位相空間への連続写像は
compact 集合を compact 集合に写像します. 開写像になる
ことを示すにはユークリッド空間の開集合からユークリッド
空間の開集合への全単射連続写像であることが使われます.
位相同型であることを言うには,
ユークリッド空間の開集合からユークリッド空間への
単射連続写像による, 開集合に含まれる球面の像が
ユークリッド空間を二つの領域に分ける, という
ユークリッド空間の位相的な性質が効きます.
その証明には大道具が必要となります.
それに対して, 連続写像による compact 集合の像が
compact 集合になることは, 容易に証明できます.
> という事はΦはcompact性保存だけからEがLebesgue可測なら
> Φ(E)もLebesgue可測が言えるという事ですね。
連続写像であるので compact 集合は compact 集合に写像され,
従って, F_σ 集合が F_σ 集合に写像され, 更に,
C^1 級写像であるので測度零の集合が測度零の集合に写像される
のです. これらを用いて E が Lebesgue 可測集合であることから
Φ(E) が Lebesgue 可測集合になることを示しなさい, というのが
問題の趣旨です.
> Φは連続&全単射だがΦ^-1は連続だが分からないのですよね。
直ぐには分かりません.
> その場合,Φは位相的性質を保存すると思ってましたら,
> そのような事は都合のいい事は言えないのですね。
> Φが連続&全単射から取り合えず言える事はcompact性が保存される事だけなのですね。
それは易しい.
> でも問8の(a)
> http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/reference_first.jpg
> では線形写像に対して,compact性が保存されると言ってますが,
> ここではΦは線形写像とは限らないので,飽くまでこの問8を参考にして,
> compact性の保存性を言わねばならないのですよね。
その証明には線形写像が連続写像であるということだけが
使われます.
> Φの位相同型の証明はもはや難しいので,
> 位相同型では測度0の保存はできないのでしたね。
ごっちゃになっているようですが,
一つには位相同型であることの証明は容易ではなく,
もう一つには位相同型であるだけでは測度零の集合の
像が測度零になるとはいえないので, C^1 であることを
使わないといけないわけです. ですから,
> Φのcompact性保存からΦのF_σ集合の保存性が言え,
これと,
> それから測度の0の保存性も言えるのですね。
これは, 別のことです.
> これ「Φが有界集合BでC^1級全単射ならΦはBで測度0を保存する」も
> 問8と同様の議論で示せるのですね。
そういうことです.
> なるほど。微積分の基本定理は「∫_a^b f(x)dx=F(b)-F(a)」なので
> F(1)=Φ(x + 1(y - x)),F(0)=Φ(x + 0(y - x))と見立てると
> Φ(1)-Φ(0)=Φ(x + 1(y - x))-Φ(x + 0(y - x))
> =∫_0^1 Φ(x + t(y - x))d/dt dtとなるのですね。
d/dt が後に来てはおかしい.
> In article
> > DΦ(x + t(y - x)) は Φ の x + t(y - x) における
> > 微分です.
>
> という事は x:=t^(x_1,x_2,…,x_d),y:=t^(y_1,y_2,…,y_d) (但し,tは転置を表す)
> とおくと,
> DΦ(x + t(y - x))=
> ∂Φ(x_1+t(y_1-x_1))/∂x_1,∂Φ(x_2+t(y_2-x_2))/∂x_1,
> …,∂Φ(x_d+t(y_d-x_d)/∂x_1
> ∂Φ(x_1+t(y_1-x_1))/∂x_2,∂Φ(x_2+t(y_2-x_2))/∂x_2,
> …,∂Φ(x_d+t(y_d-x_d)/∂x_2
> :
> ∂Φ(x_1+t(y_1-x_1))/∂x_d,∂Φ(x_2+t(y_2-x_2))/∂x_d,
> …,∂Φ(x_d+t(y_d-x_d)/∂x_d
> というd×d行列ですよね。
やはり, お分かりではない.
Φ = (Φ_1, Φ_2, ... , Φ_d)
= (Φ_1(x_1, x_2, ... , x_d), Φ_2(x_1, x_2, ... , x_d),
... , Φ_d(x_1, x_2, ... , x_d))
に対して,
DΦ = (DΦ)(x_1, x_2, ... , x_d)
は, (i, j)-成分が
∂Φ_i/∂x_j = (∂Φ_i/∂x_j)(x_1, x_2, ... , x_d)
という Φ_i の x_j による偏導関数になっている
d×d 行列で, (DΦ)(x + t(y - x)) はその
x + t(y - x) = (x_1 + t(y_1 - x_1), x_2 + t(y_2 - x_2),
... , x_d + t(y_d - x_d))
における値, 即ち,
(∂Φ_i/∂x_j)(x_1 + t(y_1 - x_1), x_2 + t(y_2 - x_2),
... , x_d + t(y_d - x_d))
を (i, j)-成分とする d×d 行列です.
> > E の凸閉での最大値になります.
>
> 凸閉とは凹んだ部分が無い閉領域ですよね。
ここで言っているのは, x, y が共に E の点であっても,
E が凸図形でなければ, t ∈ [0, 1] の全ての t について
x + t(y - x) が E の点であるとは限らないので,
E に x, y ∈ E についての x + t(y - x) (t ∈ [0, 1])
という点全てを付け加えた集合(それが E の凸閉です)を
考えて, その上での最大値を取らないといけない, と
いうことです.
> > その意味では
> > 単に有界閉領域というだけではなく, 閉円板で
> > 考えておく方が良いでしょう. 証明としては,
> > 閉円板に含まれる測度零の集合の像が測度零で
> > あることが言えれば, 任意の測度零の集合の像が
> > 測度零であることは, 分けて考えて証明できるので,
> > 十分です.
>
> ただの有界閉領域で考えてはダメなのでしょうか?
> 凹閉の場合とはどうなるのでしょうか?
凹閉などというものはありません.
閉円板は凸ですので, 分かり易くなります.
> (a)ではE=A∪Z (但しAはF_σ集合,Z⊂B,Bは測度0の集合)と表せる。
> (i) B=φの場合,つまり,EがF_σ集合の場合,
> (ii) B≠φで有界閉集合の場合,
> (iii) B≠φで非有界閉集合の場合
> と場合分けしましたよね。
(a) での場合分けは, E が F_σ 集合の場合,
E が有界な可測集合の場合, E が有界とは限らない可測集合の
場合です. 「閉集合」という仮定はありません.
> それとBが有界開集合や非有界開集合の場合は考えなくていいのでしょうか?
閉集合でなければ開集合というわけでもないですね.
> 「f:(0,1)→(0,1)でf(C)>0 (但し,CはCantor集合)なる位相同型写像fが
> 存在するのですね」と言いたかったのでした。
m(f(C)) > 0 ですね.
> えっ? z_kでの微分なのですか?
貴方は「一変数関数 y = f(x) の x = 0 での微分」という
文章を読んでも同じようにびっくりされますか.
> z_kは定ベクトルですよね。定ベクトルでの微分とはどういう意味でしょうか?
微分というのは, (全)微分可能な点, 各点ごとに定まっているものです.
> 「 (DΦ(z_k + t(x - z_k)) - DΦ(z_k)) は
> t の関数を成分とする行列ですが,
> (x - z_k) は定ベクトルですから」
> と仰ってますよね。
それで?
> 例えば、写像fがf(t(x,y))=t(x^2+y,2x-y^3,x+y)というR^2→R^3
> なら(ここでのtは転置の意味) fの導関数Dfは
> ∂(x^2+y)/∂x ∂(x^2+y)/∂y
> ∂(2x-y^3)/∂x ∂(2x-y^3)/∂y
> ∂(x+y)/∂x ∂(x+y)/∂y
> =
> 2x 1
> 2 -3y^2
> 1 1
> という3×2行列になるのですよね。
それで?
関数と関数の値との区別, 微分と導関数との区別,
が出来ますか?
> D^{n-1}f)(a,b)((h,k), ... , (h,k))で
> D^{n-1}f)(a,b)は(a,b)でのfのn-1階全微分に(a,b)を代入したものですよね。
違います. (D^{n-1}f)(a, b) は (a, b) での f の n-1 階の微分です.
それは多重( n-1 重)線形写像 R^2×R^2×…×R^2 → R になっています.
> よって(h,k), ... , (h,k)))は2行k列の行列の意味でしょうか?
R^2 のベクトル (h, k) を n-1 個並べたものです.
> 剰余項R_nはR_n=1/n!D^nf(a+θh,b+θk) (但し,0<θ<1)なるのですね。
剰余項はそれでは駄目です.
> 3次では
> f(a+h,b+k,c+j) = f(a,b,c)+Df(a,b,c)(h,k,j) + 1/2!(D^2f)(a,b,c)
> ((h,k,j), (h,k,j))+
> …
> + 1/(n-1)!(D^{n-1}f)(a,b,c)((h,k,j), ... , (h,k,j)) + R_n
> ((h,k,j), ... , (h,k,j))は3行j列の行列で
3行 n-1列の行列等と考えても構いませんが,
(D^{n-1}f) が分かっていなければ, 役に立ちません.
> 剰余項R_nはR_n=1/n!D^nf(a+θh,b+θk,c+jθ) (但し,0<θ<1)となるのですね。
それでは駄目です.
> > bijection Φ が C^1 級であれば, m(Φ(E)) = ∫_E |det Φ'(x)| dx
> > は成立します.
>
> bijection Φ が C^1 級であれば, m(Φ(E))=∫_E |det Φ'(x)| dxが成立
> は当然と仰っているのでしょうか?
多くの教科書では Φ^{-1} も C^1 級という条件を付けて
(つまり, DΦ が可逆であるという条件を付けて,)
証明してあるのですが, bijection Φ が C^1 級だけで,
実は証明されます.
> なので証明は要らないと仰ってるのでしょうか?
証明は易しくありません.
> 「位相数学入門」中岡稔著
> http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/differntial_20090507.jpg
> にこのように載っているのですが私の読み方が甘いのかもしれません。
そこに書いてあるのは, 線形写像 λ: R^n → R^m が存在して,
lim_{h→0} ||f(a + h) - f(a) - λ(h)||/||h|| = 0 (h ∈ R^n)
となるなら f は a において微分可能, です.
λ(h) が読めませんか.
λ = g(a) とすれば, (そう λ は f の a での微分です)
lim_{h→0} ||f(a + h) - f(a) - (g(a))(h)||/||h|| = 0 (h ∈ R^n)
であり, R^n のある領域 D の各点 x で微分可能であれば,
各 x において,
lim_{h→0} ||f(x + h) - f(x) - (g(x))(h)||/||h|| = 0 (h ∈ R^n)
です. (g(x))(h) と書くより g(x) h の方が見易いでしょう.
> > E は有界集合なので, その閉包上では一様連続です.
>
> これは「R^d上でf_n→fでR^d⊃E上(但し,Eは有界)でf_n→f:連続ならば
> f_n→fはCl(E)上で一様連続(但し,Cl(E)はEの 閉包)」
> という命題があるのでしょうか?
私の言っているのは, 連続関数はユークリッド空間の
有界閉集合(つまり compact 集合)上では一様連続である,
という簡単な事実です.
> > |x - z_k| が十分に小さければ ||det(Φ'(x))| - |det(Φ'(z_k))|| も
> > 十分に小さくなります.
>
> lim_{ε→0}Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))| χ_{Q_k}(x)
> =lim_{x→z_k}Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))| χ_{Q_k}(x)で
分かっておられないようですが, ε→0 のとき
diam Q_k < ε ですから, x ∈ Q_k と Q_k の中心 z_k
との距離 |x - z_k| < ε が小さくなります.
しかし, それを lim_{x→z_k} のような式で表すのは誤りです.
> この時,
> ∃k_0∈N; x→z_{k_0} (as ε→0)なのですね。
> その時,k_0以外のkではx→z_{k_0}になるに連れて,χ_{Q_k}(x)→0になっていくので
> (∵k_0以外ではxはz_kから離れて,Q_kが飛び出てしまう)
> lim_{x→z_k}Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))| χ_{Q_k}(x)
> =|det(Φ'(z_{k_0})|になるかと思うのですが…。
> どうしてlim_{x→z_k}Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))| χ_{Q_k}(x)
> =|det(Φ'(x)|なのでしょうか?
ですから, lim_{x→z_k} などと書くから分からなくなるのです.
text にある状況から, Q_k を disjoint open cubes として,
diam(Q_k) < ε, m(E\∪_{k=1}^∞ Q_k) = 0 と
なっているとします. 今必要なのは, 任意の正数 δ に対して,
十分 ε が小さければ,
sup_{x ∈ ∪_{k=1}^∞ Q_k} ||det(Φ'(x))|
- Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))| χ_{Q_k}(x)|
< δ
となること, です.
x ∈ ∪_{k=1}^∞ Q_k について,
x ∈ Q_k となる k は唯一つですから, それを k_0 とすれば,
Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))| χ_{Q_k}(x) = |det(Φ'(z_{k_0}))|
です. x ∈ Q_{k_0} なら |x - z_{k_0}| < ε であり,
|det(Φ'(x))| の一様連続性から, ε を
||det(Φ'(x))| - |det(Φ'(z_{k_0}))|| < δ
となるようにとれば, どの x ∈ ∪_{k=1}^∞ Q_k についても
||det(Φ'(x))| - Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))| χ_{Q_k}(x)| < δ
となり, 上が示せるわけです.
> でもその無限和Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))|はどうして有界と分かるのでしょうか?
それは貴方の,
> > > そして,0<∀ε∈Rに対して, |Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))|
> > > χ_{Q_k}(x)|<∃K∈R…②.で Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))|
> > > χ_{Q_k}(x)∈L^1…③なら
という書き方が悪い. 私は
> > そして,0<∀ε∈Rに対して,
> > |Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))| χ_{Q_k}(x)|<∃K∈R…②.で
> > Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))| χ_{Q_k}(x)∈L^1…③なら
と引用した筈です. 有界なのは
Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k)| χ_{Q_k}(x)
です.
> Eが有界開集合で|det(Φ'(x))|は連続関数なら,|det(Φ'(x))|はE上で有界ですよね。
単に, |det(Φ'(x))| が有界開集合 E 上での連続関数で
あるだけなら, |det(Φ'(x))| は E 上で有界であるとは
限りません.
> すいません。ここでどうして,閉包の議論が出てくるのでしょうか?
閉包上でも |det(Φ'(x))| が存在して連続関数であることが必要です.
> ええっ?無限和Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))|の各項だけしか
> 有限と分かっていないのですが。
無限和 Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))| χ_{Q_k}(x) の
話ですから.
> すいません。ここでもどうして閉包を気にせねばならないのでしょうか?
閉包上での |det(Φ'(x))| の存在と連続性が必要です.
--
塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp
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