工繊大の塚本です.

In article <7a97440d-381b-4e1d-812c-138cc06ef196@o30g2000vbc.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> In article <090407185435.M0105550@cs1.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > lim を中に入れてはいけません.
> 
> え〜。そうしますとμ({a})=lim_{x→a-0} μ((x, a])が言えるのは
> 何故なのでしょうか?

 μ は測度ですから, lim_{x→a-0} μ((x, a])
 = μ(∩_{x < a} (x, a]) = μ({a}) となりますが,

In article <803732dd-c8ac-40cb-b776-dbe752df45d1@h28g2000yqd.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> μ((lim_{ε→0+}(a-ε),a])=F(a)-F(lim_{ε→0+}(a-ε))(∵μの定義)

 μ((lim_{ε→+0} (a - ε), a]) = μ((a, a]) = μ(φ) = 0
ですから, (*, a] の中に lim を入れてはいけませんし,
 F は一般に左連続でないので, lim_{ε→+0} F(a - ε) と
 F(lim_{ε→+0} (a - ε)) = F(a) とは同じであるとは
限りません. だから, そうして良い場合であることを確認せずに
 lim を中に入れてはいけません.

In article <7a97440d-381b-4e1d-812c-138cc06ef196@o30g2000vbc.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> ん? Cがsupportとなるという事は,∀E∈Mに対して,
> μ(E)=μ(C∩E)が成り立つという事ですよね。
> ええ〜,∀E∈Mに対して,μ(E)=μ(C∩E)が成立するとどうして分かるのでしょうか?

それは B = [0, 1]\C について, μ(B) = 0 となるからです.
何故かというと,

  B = (1/3, 2/3)
      ∪ (1/9, 2/9) ∪ (7/9, 8/9)
      ∪ (1/27, 2/27) ∪ (7/27, 8/27) ∪ (19/27, 20/27) ∪ (25/27, 26/27)
      ∪ …

と, C を定義する時に除かれていく各開区間について,

  μ((1/3, 2/3)) = 0,
  μ((1/9, 2/9)) = 0, μ((7/9, 8/9)) = 0,
  μ((1/27, 2/27)) = 0, μ((7/27, 8/27)) = 0, μ((19/27, 20/27)) = 0,
  μ((25/27, 26/27)) = 0, …

となるからです. Cantor-Lebesgue 関数は, これらの開区間の
閉包の上で定数でした.

> Cantor集合CはBorel集合である事は分かりますが
> どうやってμ(C) = 1が示せるのでしょうか?

 μ([0, 1]) = 1 と μ(B) = 0 から分かります.

> 今,F(x)=x (x<0の時),1+x(x≧0の時)。
> μはmにmutually singurlarでない事を言いたいんですよね。
> ええと,背理法で,もし,E ∈ M, μ(E)=μ(E∩A), m(E)=m(E∩B)なる
> 互いに素A,B∈Mがあったとすると,,,
> すいません。どんな矛盾が出てくるのでしょうか?

 μ(E) = m(E)      if 0 が E に含まれない.
 μ(E) = m(E) + 1  if 0 が E に含まれる.

からお考え下さい.

> 今,F(x):=Σ_{n=1}^∞ r_n I_{t_n}(x)でμ((a,b])=F(b)-F(a)
> となっているんですよね。
> ∀E∈Mに対して,μ(E)=μ(E∩A)なるA⊂Rを見つければいいんですよね。
> (3)に関する上記の議論でCantor集合Cがsupportになると仰ってますが
> それはFが連続の場合でしたよね。
> すいません。(5)では何がsupportになりますでしょうか?

だから, A = { t_1, t_2, ... , t_n, ... } が support だと
言ったじゃないですか……ああ, でもこれは正確ではありません.
 support は A の閉包ですね.

> 必ずμにはsupportが存在するのはどうして分かるのでしょうか?

 supp μ = { x ∈ R | ∀ε> 0, μ((x - ε, x + ε)) > 0 }
で定義できます. これは閉集合です.

> とりあえずAはμのsupportだからμ(E)=μ(A∩E)と書け,

御免なさい. { t_i } が有限なら A は support ですが,
可算無限のとき, A は support ではありません.

 support ではなく, A = { t_i } という集合の方が大事ですね.

> m(A)=0ならB:=R\Aと採れば確かにAとBは互いに素で
> m(B∩E)=m(R∩E\A)=m(R∩E)-m(A)=m(R∩E)-0=m(R∩E)=m(E)
> で確かにBはmのsupportになっていますね。

いや, それは m の support ではありません.

> でもm(A)≠0だったら何がmのsupportになるのでしょうか?

 m の support は R 全体ですね.

> In article <090407185435.M0105550@cs1.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > ですから, その A が μ の support だということです.
> > 逆に, μ(B) = 0 を示せば十分でしょう.
> 
> んん? すいません。μ(B)=0はどうすれば示せますでしょうか?

申し訳ない. 今, { t_i } は可算無限かも知れませんから,
これは間違いですね.

 μ(E) = Σ_{t_i ∈ E} r_i となることを, 先ず E が 
区間 (a, b] の時に示して, 任意の Borel 集合 E についても
成立していることを示します. そうすれば
 μ(E) = μ(E ∩ A) ですね. このとき, A = { t_i }
は可算集合ですから, m(A) = 0 で, B = R\A とすれば,
 m(E) = m(E ∩ B) は明らかです.

これで (5) が True であるのは良いですね.
-- 
塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp