工繊大の塚本です.

In article <1c469cdb-ddc8-4ce4-9898-74f50be8c028@f33g2000vbf.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> In article <090401175256.M0107885@cs1.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > π(H) = { 0 } なら, H ⊂ A_4 ですが,
> 
> ん?これはどうしてでしょうか?
> 0∈π(A_4)(∵π(A_4)はS_4/A_4の部分群)である事は分かりますが,
> これからH⊂A_4とは必ずしも言えませんよね。

 π: S_4 → S_4/A_4 = Z_2 は Ker π = A_4 となる
準同型写像です. π(H) = { 0 } なら, H ⊂ Ker π = A_4
です.

> > π(H) = { 0, 1 } なら, H の中には A_4 に入らない元 x が
> > ありますが,
> 
> これもどうしてそのようなxがあると分かるのでしょうか?
> π(A_4)={0}だからでしょうか? π(A_4)={0}といえる理由も分かりませんが。

 G の正規部分群 K があるときに, G から商群 G/K への
準同型写像 π: G → G/K というのがどう定義されるか,
お分かりでしょうか.

 G/K は, g, g' ∈ G について,
 g 〜 g' ⇔ g = g'k  (∃ k ∈ K) で定めた同値関係
についての類 [g] = { g' ∈ G | g' 〜 g } の全体の
なす群ですが, π(g) = [g] と定めるわけです.

今, S_4/A_4 は Z_2 と同型なので, その単位元を 0 と
していますが, S_4 の id について, 0 = [id] です.
 A_4 の元 k は勿論 id 〜 id・k = k より k ∈ [id]
であるし, π(k) = [k] = [id] です. 逆に g ∈ [id] と
なるのは g ∈ A_4 であることも明らかです. つまり,
 S_4 の部分集合として, Ker π = [id] = A_4 です.

一方, π(x) = 1 ≠ 0 = [id] というのは, [x] ≠ [id]
ですから, S_4 の部分集合として [x] ∩ [id] = φ (空集合)
ということで, x は [id] = A_4 には入らない, ということです.

これらのことは一番の基本事項ですから, 商群の話から
もう一度学び直して下さい.
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塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp