shuji matsuda wrote:
> 政治的には、ドイツが切り離していないものの再発掘へ向かったという可能性も
> 否定できないと思います。そういう危ない話もEUのバックアップとユーロを背景
> にして可能になるわけです。

で、実際はそのユーロは国際基軸通貨としてのシェアをめぐって米ドルと激しく
競争していますから、ドイツの常任理事国入りという話になれば、ユーロ圏のフ
ランスはドイツの常任理事国入りを強く支持し、対抗上アメリカは米ドル防衛の
ために日本の常任理事国入りを支持することになります。

そこで、中国はそんな事態になる前に、常任理事国を増やすことそのものに反対
の立場をとるはずです。やはり日本に拒否権など与えたくない。与えれば、国連
での発言力が相対的に低下してしまうわけです。そうなる前に、芽を摘んでしま
いたい。もし武力を背景とした台湾の併合を考えているならなおさら国連の場で
軍事(米)と経済(日)両面からのプレッシャーをまともに受けることは面白く
ありません。

> 靖国を取り下げるようでは、常任理事国入りできないのではないか

はともかくとして、かりに靖国を取り下げたって、中国が自分の国益を考えれば
日本の常任理事国入りを支持できる道理がありません。むしろ、靖国は別個の問
題にしておいて、他方では日本が常任理事国として入ってくることができる環境
を作らせない方向に持って行くんじゃないでしょうか。

> 何が政治的に良いか悪いか、中国が判断できるのだったら、どうして安保理を拡大
> する必要があるのか(ない)。

必要があるとすれば、東アジアに中国の同盟国としての日本が誕生するときです
が、日中平和友好条約は軍事同盟条約じゃありませんから、いざというときには
へのつっぱりぐらいにしかならない。そんなときに靖国問題を言い募ってもしょ
うがないことぐらいは中国もよく知っています。(中国にとっては靖国問題など
所詮その程度の位置付けにすぎない)

さて、日本が「国連改革」を言い出したわけですが、おそらく中国は常任理事国
を増やすこと自体に反対の意思表明をしてくるか、それが叶わない場合でも、常
任理事国と拒否権保有国は切り離して考えるべきだという論理展開をしてくる
か、最後には拒否権そのものの廃止を提案して他の拒否権保有国を巻き込んで全
体の改革をつぶしにかかるという手もありますが、まあ、いろいろやってくるん
じゃないでしょうか。

おそらくロシアはユーロ圏寄りのポーズを見せつつ、そんな中国にもシンパシー
を見せ、これを対米カードとして使ってくるような気がします。


萩原@グリフィス大学