工繊大の塚本です.

In article <0d95d7bd-7275-4d4c-8ba7-293fac7afdfc@j32g2000prh.googlegroups.com>
KyokoYoshida <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> 分かってきました。

分かってませんね.

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/def_of_zeta_0945.jpg
> がζ関数の定義なのですね。

だから, f(s) = \sum_{n=1}^\infty 1/n^s という表示は
 Re(s) > 1 でしか意味がありません.

> (ここでΣ_{n=1}^∞1/n^sは{s∈C;Re(s)>1}でどうして一様収束と分かるのでしょうか?)

 Re(s) > 1 で広義一様収束です.
 Re(s) \geq s_0 > 1 の閉領域において,
 |1/n^s| \leq 1/n^{s_0} であり,
 \sum_{n=1}^\infty 1/n^{s_0} は \int_1^\infty 1/x^{s_0} dx との
比較によって収束する級数であることが分かりますので,
 Weierstrass の優級数判定法で,
 \sum_{n=1}^\infty 1/n^s は Re(s) \geq s_0 で一様収束します.
 s_0 > 1 は任意に取れますから,
 \sum_{n=1}^\infty 1/n^s は Re(s) > 1 で広義一様収束です.

> dΣ_{n=1}^∞1/n^s/ds=Σ_{n=1}^∞d1/n^s/ds
> =Σ_{n=1}^∞-ln(n)/n^s
> という具合に微分できますね。

正則関数の場合, 各項が正則関数の関数項級数が
広義一様収束すれば, その和も正則関数になります.
無論, 項別微分した級数が広義一様収束することからも
 \sum_{n=1}^\infty 1/n^s が正則関数になることを
示せますが, その必要はありません.

> Re(s)>1以外ではζ関数はどのような形をしているか分からないのですね?

だから, Re(s) > 1 では \sum_{n=1}^\infty 1/n^s に
一致する「積分公式」が必要となるのです.

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/figure1141020.jpg
> のように領域D内にあってs=1を囲む反時計周りの単純閉曲線を
> cと採るのだと思います。

違います. 積分公式の書いてあった本を読み直して御覧なさい.

> gamma関数とはΓ(s):=∫_[0..∞]exp(-x)x^{s-1}dxで

その表式は Re(s) > 0 でのみ意味があります.

> Γ(s+1)=∫_[0..∞]exp(-x)x^sdx=[-exp(-x)x^s]_0^∞+s∫_[0..∞]exp(-x)x^{s-1}
> dx=sΓ(s)なので
> Γ(s)=Γ(s+1)/s

積分による表式からは, Re(s) > 0 でのみ成立が示されます.

> ここから部分積分法を繰り返し使うと

確かに部分積分法ですが,
どんな Re(s) > 0 を満たす s についても
 \int_0^\infty e^{-x} x^s dx
  = s \int_0^\infty e^{-s} x^{s-1} dx ですから,

> Γ(s)=Γ(s+n+1)/[s(s+1)(s+2)…(s+n)]となるようなのですが
> どのように部分積分法を使うのでしょうか?

以下では, \int_0^\infty e^{-x} x^{s+n} dx
 = (s+n) \int_0^\infty e^{-x} x^{s+n-1} dx 等の成立を
順次使うことにより,

 \int_0^\infty e^{-x} x^{s+n} dx
 = (s+n) \int_0^\infty e^{-x} x^{s+n-1} dx
 = (s+n)((s+n-1) \int_0^\infty e^{-x} x^{s+n-2} dx)
 = (s+n)(s+n-1) \cdots (s+1) s \int_0^infty e^{-x} x^{s-1} dx

つまり,

 \int_0^infty e^{-x} x^{s-1} dx
 = 1/[(s+n)(s+n-1) \cdots (s+1) s] \int_0^\infty e^{-x} x^{s+n} dx

が Re(s) > 0 を満たす s について成立することが分かります.

そこで, Re(s) > - n なる s について,

 \Gamma(s)
  = 1/[(s+n-1) \cdots (s+1) s] \int_0^\infty e^{-x} x^{s+n-1} dx

により \Gamma(s) を定義すれば, Re(s) > 0 では
 \Gamma(s) = \int_0^\infty e^{-x} x^{s-1} dx
を満たします.

任意の複素数 s について,
 Re(s) > - n となる自然数 n の取り方によらず,
上の表示式から同じ \Gamma(s) が定義されることも
分かりますから, \Gamma(s) は
 \Re(s) > 0 で \int_0^\infty e^{-x} x^{s-1} dx により
定義される正則関数(何故正則関数であるかは御調べ下さい)を
全複素平面に有理型関数として解析接続した関数であることが
分かります.

> Γ(s)=Γ(s+n+1)/[s(s+1)(s+2)…(s+n)]よりs=0,-1,-2,…の時はΓ(s)=∞になるので
> Γはs=0,-1,-2,…で極を持つのですね。
> 所で極はLaurent展開してから求めるものだとばかり思ってましたが
> このケースの場合だとΓ(s+n+1)の具体的な形が分からないと
> Γ(s+n+1)/[s(s+1)(s+2)…(s+n)]がs=0,-1,-2,…で
> 1位かどうかは分からないと思うですが。
> いかがでしょうか?

 s = - m のまわりでの挙動は, m < n として

 \Gamma(s)
  = 1/[(s+n-1) \cdots (s+m) \cdots (s+1) s]
    \times \int_0^\infty e^{-x} x^{s+n-1} dx
  = 1/(s+m) g(s)

と書くことで分かります. ここで,

 g(s)
  = 1/[(s+n-1) \cdots (s+m+1)(s+m-1) \cdots (s+1) s]
    \times \int_0^\infty e^{-x} x^{s+n-1} dx

は s = - m のまわりで正則で, g(-m) は 0 ではありません.
実際,

 g(-m)
  = 1/[(-m+n-1) \cdots 1 (-1) \cdots (-m+1)(-m)]
    \times (n-m-1)!
  = (-1)^m m!

です. s = - m のまわりでの g の Taylor 展開を

 g(s) = g(-m) + a_1 (s + m) + a_2 (s + m)^2 + \cdots

とすれば, \Gamma の Laurent 展開が,

 \Gamma(s) = g(-m)/(s + m) + a_1 + a_2 (s + m) + \codts

で与えられるので, s = - m は \Gamma の 1 位の極です.

> Γ(s):=∫_[0..∞]exp(-x)x^{s-1}dxよりexp(-x)x^{s-1}は
> 区間[0,∞)の範囲では第一象限にある曲線なので
> 零点を持たないですね。

それは s が実数のときだけの話です.
 \Gamma が零点を持たないことは,
 1/\Gamma の無限乗積表示から証明されます.
詳しくは特殊関数の本を調べて下さい.

> うーん、つまりΓはs=0,-1,-2,…以外では正則である事を言えばいいのですよね。
> ∫_[0..∞]exp(-x)x^{s-1}dxはどうすればxで微分できますでしょうか?

 x で微分できることではなく,
 s で微分できることを示すのです.
それには \int の中身を微分したもの,
 e^{-x} x^{s-1} \log x が Re(s) > 0 で
広義一様に可積分であることを示せば良い.

> In article <110125193342.M0112402@ras1.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes: 
> > 1/((e^{2 \pi i s} - 1) \Gamma(s)) は s = 1, 2, 3, \dots でのみ
> > 1 位の極を持つ, 全複素数平面上の有理型関数であることが
> > 分かりますか.
> 
> すいません。分かりません。
> 上述のように部分積分法を繰り返し使って
> 1/((exp(2πis) - 1)∫_[0..∞]exp(-x)x^{s-1}dx=Γ(s+n+1)/[s(s-1)(s-2)…(s-n)]
> と変形できるのでしょうか?

何だか間違っていますが, 違います.
 e^{2 \pi i s} - 1 は各整数 s で 1 位の零点を持ちます.
 \Gamma(s) は非正整数 s = 0, -1, -2, \dots で 1 位の極を持ちます.
その積は自然数 s = 1, 2, 3, \dots で 1 位の零点を持ちます.
その逆数は自然数 s = 1, 2, 3, \dots で 1 位の極を持ちます.
 
> > s = 1, 2, 3, \dots での \int_c z^{s-1}/(e^z - 1) dz の値は
> > 分かりますか.
> 
> すいません。どのようにして積分するのでしょうか?

 s が自然数であれば, z^{s-1}/(e^z - 1) は z = 0 以外では
一価正則な関数になります. 積分路 c での積分は
 z = 0 でのこの関数の留数から計算できます.
-- 
塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp