石原@ザ・ランスです。

ローレンツ変換(実際にはガリレイ変換)で考えてみました。
ある慣性系における電場を(Ex,Ey,Ez)、磁場を(Bx,By,Bz)とします。
今、Bx=0、By=B,Bz=0とします。
これに対して速度vで動いている別の慣性系における電場、磁場を
(Ex',Ey',Ez')、(Bx',By',Bz')とします。
このふたつの系の電磁場はローレンツ変換で結ばれるわけですが、
それをここに書くのは面倒だし、今の場合ガリレイ変換で充分なので、そのようにします。
ただしこれはローレンツ変換において
(v/c)^2=0とおいた近似であることは明確にしておきたいと思います。
さてその変換は次のとおりです。
  Ex'=Ex、Bx'=Bx=0
  Ey'=EyーvBz=Ey,  By'=By=B
  Ez'=Ez+vBy=Ez+vB、 Bz'=Bz=0
結局この場合両系で違うのはEのz成分だけです。

さてここで、以前に私が申しました
In article <cm43e3$5dv$1@news01.iij4u.or.jp>, ishihara@y.email.ne.jp says...
>>汐崎さんの「東京タワー(でもなんでも)」は、
>長方形回路の対辺が地球自転の速度で遠ざかる(または近づく)
>というとてつもない場合を計算してるんです。

これは、地球と一緒に自転している系(これをK1とします)の東京タワーと
自転していない(したがってK1からは自転速度で遠ざかる)系(これをK2とします)
のそれとの間のEzの違い、つまり
    Ez'−Ez=vB
に帰着できるわけです。

さてそれでは、この「起電力」はどちらの系で起こってるんだろう?

磁場がK1に対して静止してるなら、K2の側で起こってるはずだし、
磁場がK2に対して静止してるなら、K1の側で起こってるはず。

という考え方もあるだろうけど、これではどちらとも言える。
それに「相対性」というくらいだから、どちらの系も同等なはずで、
どちらと決めることはできない。

ひとつはっきりしてるのは、K1から見たらK2のタワーが動いていて、
K2からみたらK1のタワーが動いている。
このように、各々の系から見て「動いてるほうのタワー」で起電力が発生してると
考えるなら、どちらの系も対等だろう。
これはつまり、どちらの系に対しても磁場は静止していると考えることになります。
ただそれに対して動いてるタワーはどちらかという問題に帰着する。
実際、上の変換ではB'=Bなんだから、両系の磁場は全く対等だろう。
(ちゃんとローレンツ変換やるとちょっと違いが出てくるけど、「両系に対して静止」
ということは変わらないはず)。

ということで、(地球磁場が軸対称としたとき)、東京タワーに発生する起電力
というのは、東京タワーに対して動いてる系から見たときにのみ存在するので、
タワーに対して静止している系では発生しない。
つまり地球磁場が自転しているかどうかを検証することはできない。

随分回り道したけど、
今はこれが一番納得の行く解釈と私は思います。

軸対称で全然変化しない磁場にタワーを置いただけで起電力が発生するというのも
直感的にですが、納得できないし。

-- 
 石原 幸男
<Yukio Ishihara of theR.A.N.S.>
 ishihara@y.email.ne.jp
 http://www.nn.iij4u.or.jp/~therans/
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