石原@ザ・ランスです。

In article <Tpohd.12$5s1.3@news7.dion.ne.jp>, dh.shiozaki@s3.dion.ne.jp says...
>> 汐崎さんの「東京タワー(でもなんでも)」は、
>> 長方形回路の対辺が地球自転の速度で遠ざかる(または近づく)
>> というとてつもない場合を計算してるんです。
>> これもたしかに断面積が変化するんだけど、おかしな設定と思いませんか?
>
>長方形回路は、想定していないのですが、

「想定してない」と言っても無駄なんです。
> ですから、v(emf) = BLV = 3x10^-5[T] * 1[m] * 464 [m/sec] = 14[mV]
この LV てのはまさに、長さ L の長方形の対辺が速度 V で遠ざかる(近づく)ときの
面積の変化率ですよね。汐崎さんはまさにこれを計算しているわけです。

>ただ、実際に測定しようとすると、測定系とで、
>何らかのループにはなると思います。

だから、その「何らかのループ」が重要なんです。そのループを考えないで
起電力を言っても、「実際に測定できない」なら意味がない。

もっとも、「ローレンツ力」というご指摘で調べてみたら、
砂川「理論電磁気学」pp26 に次のものがありました。

    φ=∫(<v>×<B>)・d<r>

ここで<A>はベクトルAを表わすとします。∫は閉回路に沿っての circle integral、
×は外積、・は内積です。
なるほど、これを考えなかったのは迂闊だったかもしれません。

しかし、さらに子細に考えてみると、
地磁気が自転しようとしまいと、軸対称なら閉回路に沿って<B>は一定。<v>も一定です。
したがって(<v>×<B>)も(向きも含めて)一定です。
一方、d<r>は閉回路に沿って一周するから、(<v>×<B>)・d<r> は一周の間に
相殺されて0になります。つまりやはり全回路での起電力はなくなるわけです。
まあ、その回路の半分だけを「選ぶ」ことができるなら、
汐崎さんのおっしゃるとおりかもしれないけど、
そんな「起電力」に何か意味があるんだろうか?

もっとも、南北に非常に長い回路、たとえば札幌のテレビ塔と、(河野さんに敬意を表して)
沖縄のテレビ塔を繋いだ回路なら、両地点の磁場には差があるから、起電力が生ずる
ことになりそうですね。ただし汐崎さんの計算より1桁くらい小さいけど。
しかしこれは、現実性はともかく、
思考実験としては地磁気の自転を(軸対称の場合でも)検証する手段があるって
ことになりますね。
佐藤教授にもぶつけてみたらどうでしょう?

-- 
 石原 幸男
<Yukio Ishihara of theR.A.N.S.>
 ishihara@y.email.ne.jp
 http://www.nn.iij4u.or.jp/~therans/
黍粥は塩に椰子油にサザエ・イソノ祝う隣で虚仮にするまで(詠み人しらず)