Re: SがsimilarityならSは線分を線分へ写す事を示せ
工繊大の塚本です.
In article <5756ee0c-3f9f-42e9-a9fa-2ae103eca5d2@x6g2000vbg.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> えーとそれは△ABCにおいて仮にBC+CA=ABだとすると
> 点Aと点Bを結ぶ線でもっとも短いのは線分ABである。
> ここで点Cを線分AB上以外にとるとBC+CA>ABとなる(∵線分の最短性)。
これは「三角形の定理」を使って証明しようとしている
ことですね. それを使っては意味がありません.
> よって,点Cは線分AB上になければならない。
> この時,3点A,B,Cを結んだものは三角形にならないので矛盾。
> よってBC+CA=ABは有り得ず,BC+CA>ABとなる。
>
> でいいでしょうか?
まあ, ユークリッド幾何学の現代的な意味での公理系を
どう取るか, に依ることですから, 良いとも悪いとも
言えませんが.
> x,yを通る直線の定義は{z;z=x+t(y-x),t∈R}=:L(x,y)ですよね。
> 今,r=1なのでD_{1/r}は何もしないので恒等変換と看做せますよね。
いや r = 1 なのは S'' についての話です.
> よってS''の定義はS'':=S'と言え,
> S'はsimilarlityであったからS'は線分を線分に写す。
> よって,S''もsimiarlityで線分を線分に写す。
S'' は similarity だと既に分かっています.
> 任意の線分を線分に写すのだから,直線を直線に写す
> (∵もし直線が直線に写されない場合は
> L(x,y)⊃Z:線分がS''(Z)が線分にならないとなる線分Zがある筈である。
> しかし,これは(a)のsimilarlityは線分を線分に写すという事に反する)
その理由付けは荒いですね.
> 各軸への射影の像OX_1,OX_2,…,OX_dはOS''(X_1),OS''(X_2),…,OS''(X_d)に写され,
> OS''(X_1),OS''(X_2),…,OS''(X_d)は正規直交と既に分かったので,
> OS''(X_1),OS''(X_2),…,OS''(X_d)もやはり
> 各 OS''(X_1),OS''(X_2),…,OS''(X_d) という軸への射影の像である。
射影というのが何か分かっていますか.
点 A の直線 OX への射影 H とは, AH と OH が直交する
OX 上の点として定まります. similarity S'' は直交性を
保ちますから, S''(A) の OS''(X) への射影は S''(H) に
なります.
> よって,S''(Z)=S''(Σ_{i=1}^d a_i OX_i)=Σ_{i=1}^d b_i S''(OX_i) (∵今,r=1より)
> =Σ_{i=1}^d b_i OS''(X_i)
OY = Σ_{i=1}^d a_i OX_i というのは Y の直線 OX_i への
射影 H_i について, OH_i = a_i OX_i となる a_i を取った
ということですから, 射影が射影に写ることと, 長さが保存
されることから, OS''(Y) = Σ_{i=1}^d a_i OS''(X_i)
となることが導かれます.
> よって,任意の点A,Bと任意のスカラーa,bに対し,aOA=Σ_{i=1}^d,OX_i
> bOB=Σ_{i=1}^d OX_iと表す事にすると
> S''(aOA+bOB)=S''((a+b)Σ_{i=1}^d OX_i)から
> (a+b)Σ_{i=1}^d OS''(X_i)はどうすれば言えますでしょうか?
OY と OS''(Y) の二つの正規直交基底での表示の係数が
一致しているなら, 写像が線形になることは行列表示を
考えれば当たり前です.
> えーと,{e_1,e_2,e_3}を正規直交基底とする(e_1,e_2,e_3は単位行ベクトル)と,
それは固定するのですか.
> 回転は
以下何を表しているのか, 意味不明です.
> [[cosθ,-sinθ,0],
> ±[ sinθ, cosθ, 0],
> [ 0, 0, 1]]
複号は何処に付いているのでしょうか.
以下意味不明なのものはさておき,
> つまり,
> 直交変換⇔回転
> ではなくて
> det=1⇔回転
> なのですね。これが回転の定義なのですね。
2 次元の平面における原点を中心とする回転とか
3 次元の空間におけるある原点を通る軸の回りの
回転とかは, 良く知られた概念で, それが det = 1 の
直交変換と一致することは, 2 次元と 3 次元における
特殊性です.
高次元の det = 1 の直交変換を回転とは普通呼びません.
text はあくまで平面の話をしているようです.
> 本問題ではrotationは直交変換の事と定義して解釈して
> ご解説なさっているのですよね。
いや, 高次元の直交変換とはどんなものか, という疑問に
お答えしているだけです.
> これもありがとうございます。行列式は-1ですね。improperな回転の時には,
> R(θ_2), ... , R(θ_m) を 対角に並べn = 2mの時でも1を付け加え)た
> 行列になるのですね。.
det = -1 の直交変換のお話なら, 対角線に一つ -1 を置く
ことになりますが, そこに至る推論を知っていないと意味が
ありません.
> a:=[cosθ_1,-sinθ_1],
> b:=[ sinθ_1, cosθ_1],
> e_1,e_2,e_3,e_4
> からaとbのセットを偶数個と残りはe_1,…,e_4からジョルダン標準形
> J:=
> [[a,0,0],
> [b,0,0],
> [0,1,0],
> [0,0,1]]
> という風になるように並べる(因みにこのJはdet(J)=1なので回転を表す)。
> これらの行の入れ替えや或る行を-1倍したものもまた(improperな)回転となる。
> これらの操作を偶数回行ったものは回転,奇数回はimproperな回転となる。
半ば意味不明のところがありますが, ともあれ,
どうしてそう出来るのか, が分かっていないと
何にもなりません.
だから, 貴方の以下の話は一部正しいところもありますが,
そういったものが直交変換を表す行列の全体である
ことが示されていないところに大きな欠陥があります.
直交変換の(複素で考えての)固有値は
全て絶対値 1 の複素数で, 1 と -1 以外のものは
必ずそれの複素共役と対になって現れます.
1 と -1 以外の絶対値 1 の複素数とその複素共役の対に
対応する行列が R(θ) (θ ≠ nπ) です. 一方,
[[ 1, 0], = [[ cos 0, - sin 0], = R(0)
[ 0, 1]] [ sin 0, cos 0]]
[[ -1, 0], = [[ cos π, - sin π], = R(π)
[ 0, -1]] [ sin π, cos π]]
です.
det = 1 の場合, 固有値 -1 は偶数個なので,
正規直交基底を固有ベクトルに合わせて取れば,
R(θ_1), R(θ_2), ... , R(θ_m) (と 1)を
対角線に並べた行列で表現できます.
det = -1 の場合, 固有値 -1 は奇数個なので,
正規直交基底を固有ベクトルに合わせて取れば,
R(θ_1), R(θ_2), ... , R(θ_{m-1}), 1, -1 (n = 2m), 又は,
R(θ_1), R(θ_2), ... , R(θ_m), -1 (n = 2m+1) を
対角線に並べた行列で表現できます.
これ以外の形のものは必要ありません.
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塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
GnuPG Key ID = ECC8A735
GnuPG Key fingerprint = 9BE6 B9E9 55A5 A499 CD51 946E 9BDC 7870 ECC8 A735