逐次雑記 2011年4月下旬

◇ 刀語カタナガタリ 第十二話「炎刀・銃」(2010年12月10日放映分)

「七花, 私が死んだら, 『ちぇりお』を気合いを入れるためのかけ声として日本中に流行らせてくれ」それが末期の言葉かい!(^^;;; 「何, 弱気な事を!」「私はどうやらここまでのようだ。だから七花, どうか『ちぇりお』のことだけは頼む」「『ちぇりお』を間違った意味で流行らせるなんて, どんなの俺一人じゃできないよ!」「そなたならできるさ。そなたは私が選んだ刀だ」な, 何故だ, メインヒロインが殺されたという重大な悲劇のシーンの筈なのに, 当人達は間違いなくシリアスにやっているのに, 視聴者が笑ってしまうのは……(^^;;;

「俺の所有者はあんた以外に居る訳ねえだろ! 俺を腹心にしてくれるって言ったじゃねえか! 刀集め終わっても旅を続けて, 一緒に地図を作るんじゃなかったのかよ! あんたには俺が居るし, 俺にはあんたが居るんじゃなかったのかよ! あれは全部嘘だったのか!?」「全部, 嘘だった。刀集めの旅が終われば, 私はそなたを殺すつもりであった。今までと同じように。何もかもが所詮私にとっては奇策のための道具立てに過ぎぬ。……私の心さえ, ただの駒に過ぎぬのだ」人を駒として操る人間って, 多作品に登場するけど, とがめはその中でも最高レベルですね。神崎悟@エリア88は致命的に信じられない, 認められないものがあって自分も他人も制御できなかったし, ルキアル@ソード・ワールドは不確定要素に弱かったし, あと作品忘れたけど『感情を殺して自分を駒に組み込む』人もいたっけ。 「私はそういう人間だ。私は計算ずくでしか生きられない。そなたを信頼した私という存在も, 私に取っては駒に過ぎぬ。私の目の前で父の首をはねた虚刀流, 赦せる訳が無かろうが。だけど……だけど, そなただから赦そうと思った。そんな気持ちも私に取ってはただの駒だ。そなたを駒でないと思ったそんな気持ちも, 私に取ってはただの駒なのだ」とがめは抱く感情もそこから発する言動も, 駒の一部として組み込むと。そこまでできる人はフィクションでもなかなか居ませんよ……瀬戸様@天地無用! 魎皇鬼くらいかな。って瀬戸様に匹敵するって思ったらとがめがいきなり凄い人に思えて来た!? 惜しむらくは生体が弱いことでした……階段3段で(略)。

「言葉は嘘でも, 気持ちは嘘ではない」これを, 最期まで冷徹に(この場合は『冷静』と言うより適切でしょう)言い放つのが, とがめの凄いところですよ。内心を吐露しているんだけど, 感情でそれまでの実績を台無しにしたりしない。でも感情を捨てたり抑圧したりしている訳じゃない。だから, 冷徹なままであっても七花も視聴者も打たれるんだよね。「まったく, その通りだ。でもな, 私は今, とても幸せだよ。道半ばで撃たれて死んで, 幸せだ。これでそなたを殺さずに済んだのだから。やっと, やっとこれで全部, やめる事ができる」最期まで, とがめはとがめだよ。表に出していた部分も, 出していなかった部分も。

「私は自分勝手で, 自己中心的で, 復讐のこと以外は何も考えることができず, 死ななければ直らないような馬鹿で, そなたを散々道具扱いした, 酷い, 何の救いも無いような, 死んで当然のような女だけど……それでも私は, そなたに惚れても良いか……」この感情を吐露しても良いと自分に判断させたのが, とがめの本当に一番最後の奇策でしたとさ。感情そのものは今までも丸出しだったけど, 言葉にしたのがね。残された七花はたまったもんじゃないけど, とがめを注視すれば, 幸せそうではありませんか。

八代将軍家鳴匡綱に拝謁する否定姫……って, 将軍って言ってるのに大御所とも言ってるよ。どっちよ。それはさておき, 否定姫が語る四季崎記紀の四季崎一族の真実。現在から100年後, 外国勢力の侵略による日本滅亡を予知して, それを避けるために歴史改竄しようとしていたと……ああ, 確実な未来が見えているのなら, そこへと向かう現在をねじ曲げるのも立派な歴史改竄ですな。そういう意味での『歴史』でしたか。この部分はミスリーディングでも何でもなかったのね。

尾張城に単身殴り込みを掛ける七花。譬え相手が1,000人居ようとも, 武器を持つ者が相手なら負けはしない(^^;;; スパルタンX再び開始! でんでろでんでろ。この名も無き侍達, その他大勢で殺されるばかりで哀れなりけり。家鳴将軍腹心11人衆(バルムンクみたい(^^;;; )と右衛門左衛門で「この歴史の最後の仕上げ」をすると語る否定姫……明らかに『この歴史』を終わらせようとしているよねえ。この口ぶりに気付きもしない将軍匡綱, 立派なバカ殿ですな。

天守1階の守護者・般若丸, 手に持つは絶刀・鉋。って本作は対戦格闘ゲームがモチーフじゃなかったんですか? なんかアクションゲームのボスオンパレードみたいになってまうが(^^;;; 「知ってるんだぜ虚刀流。お前はこの絶刀だけは折る事も曲げることも叶わないんだよなあ!」「もう手加減の必要は無くなったからな」そう, 蝙蝠の時に『折る事も曲げる事も』できなかったのは, とがめの要求だったからだよね。刀を折らない曲げない傷つけない, という制限を外すと, 七花にとって絶刀くらい何のことも無いわけで。

天守2階の守護者・鬼宿不埓, 手に持つは斬刀・鈍。「そう, 俺は結局そいつの刀身を目にしなかったんだ」「そして二度と目にする事は無い」→「これは虚刀流の技としては名前が無い。それほどに当たり前の技術だ。つまりあんたの居合は, それほどに取るに足らないということだ!」鳥取での対戦は, 刀の特性以前に銀閣自身が強かったんだもんね。不埓は結局, 刀を二度目に使った者, 言わば再生魔神と同様って事です。

天守3階の守護者・巴暁, 手に持つは……床に刺すは千刀・鎩。「私は千刀巡りを, 付け焼き刃ではない完全なものとして使える」「それがどうした。俺が迷彩のことが苦手だったのは, あいつの性格が苦手だったからだ」全部一辺に相手できるような狭い空間に千刀を全部置いちゃ駄目でしょ(^^;;;

天守4階の守護者・浮義待秋, 手に持つは薄刀・針。「錆を倒したお前を倒すことで, 初めて僕は錆を越えられる。白兎開眼!」「完全な軌跡を描いて振らなければ砕けてしまう程に脆い刀。そいつはこっちの身体の筋をずらせばそれだけで攻撃を防げるんだよ。錆と戦う時は, 刀を壊す訳にはいかなかったから使えない手だったが」そもそも薄刀って, 迂闊な使い方をするとそれだけで壊れるような刀だよね? 錆が使い続けていられたのが脅威なくらいに。

天守5階の守護者・伊賀甲斐路, 手に持つは……身に纏うは賊刀・鎧。「俺は刀の防禦力に頼って油断したりしねえ! ○(聞き取れず)の前にお前の肉体をぶち破ってやるぜ!」「鎧ってのは地面と接していることで, 衝撃を外へ逃してんだってな。地面や壁と接していない空中なら, 喰らった衝撃はどこにも逃げられない」そして打撃攻撃は, 衝撃がダメージに直結しますので, 金属鎧の効果が非常に薄いのです。それにしても甲斐路, かなり『あじゃぱあっ!?』な倒され方だ(^^;;;

天守6階の守護者・真庭孑々, 手に持つは双刀・鎚。「僕は出自を辿れば真庭忍軍の者でして。双刀之犬っ!」「忍法を使って重さを消してるんだろうけど, 重さが無くなったらこの刀になんの意味が在る? ……あんたより弱いまにわには, 流石に居なかったよ」重さを打ち消しちゃ駄目だよねえ(^^;;; 筋力増強でないといけないんですね。正に, こなゆきと七実にしか使えない武器なんだ。

天守7階の守護者・胡乱, 手に持つは……胸に刺すは悪刀・鐚。「俺のような健康優良な戦士が使うのとでは, 同じ悪刀・七実であろうとその実態はまるで違う意味合いだ。俺は真に不死身の戦士だ」「殺して死なないからと言って, 殺し続けて死なない訳じゃないだろう。雛罌粟から沈丁花まで, 打撃技混成接続。あんたは272回死んだよ」272回っていうのは, 七実から七花が殺された回数ですね。それくらいの実力差があった訳ですか。胡乱が七花を越えるのは……もう無理です。

天守8階の守護者・灰賀欧, 手に持つは……隣に並ぶは微刀・釵。「人形殺法・微風刀風!」「七花八裂・応用編」→「二対一だぞ, 日和号1台を相手にした時でさえあんたは相当に苦戦した筈なのに!」「あんたが邪魔で日和号が実力を発揮できなかったんだ」つまり, 強いのは日和号であって灰賀は弱いと。全然駄目ですな。

天守9階の守護者・墨ヶ丘黒母, 手に持つは王刀・鋸。「このような戦いに意味が在るとは思えない。王刀楽土と言うのだ, この刀を手にした途端, 酷く穏やかな気持ちになった。尾張一の獰猛者として知られたこの私が, お前を見逃してやっても良いと思う程にな。どうだ? ……そうか, ならばせめて一撃で殺してやる」「あんたの言葉は上っ面ばかりで全然心を打たない」七花が王刀を手にしたら, 今のこの気持ちを穏やかにすることができますか? いや, 精神的には既に穏やかな気がしますよ……。

天守10階の守護者・皿場工舎, 手に持つは誠刀・銓。「流石にこれ, どうしようもないんですけど」「取り敢えず投げて使えば?」「他に方法もなさそうなので, そうさせて貰います」取り敢えず, 笑わせて貰います(^^;;; これは流石に話にならん(^^;;;

天守11階の守護者・呂桐番外, 手に持つは毒刀・鍍。「らーぎるらーぎる, 四季崎四季崎四季崎四季崎けけけけけー!?」「今, 解放してやるからな」やっぱりちゃんとした憑依にまで到り得るのは, 鳳凰の時だけだったのかなあ。かくして11の変体刀はすべて破壊され, 新たな所有者も全員……工舎だけやっぱり死相もアホだ(^^;;;

天守12階の守護者, もとい間借り人, 左右田右衛門左衛門。手に持つは炎刀・銃。「右衛門左衛門ー, 命令してあげる。殺しなさい」「仰せのままに。……ただ, 私が虚刀流を殺してしまうと, 四季崎の目論見は達成できないままに終わるということになりますが」「そうねー。だけどひょっとしたらあんたはまだ気付いていないかもしれないけど, 私ってとーっても否定的な人間なのよー。四季崎の悲願を達成したいのと同じくらいに, その悲願が挫けるところも見てみたいのよー。あんたならそのどちらかを必ず見せてくれると信じているわー」四季崎記紀も否定的な人間なのならば, 自分の目論見も自分で否定していたかもしれませんね。それって人格破綻していると思うんだけど。否定姫はそこまで徹底してなくて, もっと都合良く解釈しているような気がします。

「お前は何のために乗り込んで来たんだ?」「死ぬためだ! とがめは俺に生きろと言ったけど, 俺はもうそんな命令に従う必要は無いからな。俺を殺せるのはあんたを措いて他に居ないと考えてる。とがめを殺したあんたしか」「不笑。これが四季崎の目論見通りなのだとすると, 確かに滑稽なものだ!」完成……完了した刀の目的は自己破壊, と考えると確かに滑稽というか, 存在に矛盾を孕んでしまっていますね。炎刀をも破壊して完了することになるけど, 破壊できず炎刀によって殺されればそれも完了しない完了形変体刀ということで矛盾。どうあっても落ち着かないもの, ですか。

「動く的には当てられないという考えか。死にに来たと言うなら是非も無い, 悔いを残して死ね。お前は何と言って死ぬのかな?」ずっと気になってたんですが, 炎刀って弾切れは無いんでしょうか……。実は実体弾じゃなかったりして。高速移動で速射を躱す七花, 突然直線的に正面から突っ込んでの攻撃。「馬鹿な! あれだけの弾をどうやって躱したと言うのだ!」「躱してないよ。最初から喰らうつもりで, 覚悟を決めたからな。俺はとがめに命令されていた, 俺自身を守れと。だがその命令を守る必要は, もうどこにもない」「お前……死ぬ気か」「そう言ったろうが」「刀の破壊を許された, そして自ら傷つくことを許された, 鑢七花の, これが本当の, 実力……!」むむ, 破壊禁止のみならず, あのとがめとの約束も破棄しましたか。これも四季崎記紀の目論見の範疇なんでしょうか, 自己破壊願望も含めて完了? 確かにこの状態を『完成』と呼ぶのは違和感がありますね。

「不忍法, 不生不殺。いや, 断罪炎刀!」元は断罪円, ですよね。それを炎刀でもできる……のか。いやどういう術なのかさっぱりですけど。七花と右衛門左衛門の, 壮絶な削り合い……いや防禦していないから削りではないですね, 潰し合い。そして勝ったのは虚刀・鑢。充分致命傷を負っているような気がするんですが, ここで死ななかった七花は何を思うんでしょうか。

天守最上階に鎮座まします, 匡綱将軍と否定姫。「右衛門左衛門の散り際の一言だ。心して聞け」「聞くわよー。なあに?」「『姫様, 貴女のために死ぬ事を, お赦し下さい』」「最後まで辛気臭い奴よねー。そんな事言って私が感動するとでも思っているのかしらー?」別に感動してくれなんて思っていないだろうし, こんな台無しにされても何とも思わないだろうけど。単に右衛門左衛門の美学だよね, 末期の台詞って。

「まあ良いわ, それじゃさっさと終わりにしましょうかー。七花くーん, 約束通り私を殺しても良いわよ」「な, 何故!? 何を言っておる!? 誰か, 誰かおらぬか!?」「残念ながら, あと一人くらいしか相手をできそうにないな」えー, 相手になるような相手なんて居るのー? 「ひ, 否定姫! 何をぼけっと見ておるのだ!」「いやー無茶を言わないで下さいなー。私には戦闘力はありませんし, それに……貴方が殺されなきゃ話が終わらないじゃないですか」「何だと!?」話の都合で殺される, 哀れな匡綱将軍なのでした。

「家鳴将軍家1000年の繁栄というのは嘘ですー。貴方に人払いをさせるための方便でした。だって尾張幕府の崩壊こそが四季崎記紀の目論見だったんですから。正確には某幕府の某将軍家体制の筈だったんですけどね, そっちの成立は阻止できたものの, 代わりに似たような貴方が天下を取って同じように天下太平を築いちゃったんじゃ同じことですから。歴史の修正作用ですか」「……な, 何を言っておる?」「在り得たかもしれない未来の話ですよー。未来と言うより本来ですか」つまり旧将軍家を崩壊させたものの, 別の形で家鳴将軍家が成立してしまったから, こっちも100年以内に滅ぼそうとしていたと。「私の目的は貴方を殺す事です。それが今やっと成就されようとしています」「とがめはあんたみたいな奴のせいで人生を棒に振っちまった。自業自得と言えばそれまでだが, 今更あんたを殺したからってとがめの無念が晴れる訳でも, まして俺の気が晴れる訳でもないんだけどな。けどさ, 示しはつけなきゃなんねえよな」今は冷徹だからだろうけど, いつの間にか七花も感情を駒にしているよ。この場合誰に対する示しかと言うと……

「おいお姫様。とがめからあんたに会ったら礼を言っておくように言われてたんだけど」「へー。別にお礼を言われるようなことはしていないけど?」「一つだけ聞いて良いか?」「何なりと」「あんた, 本当はとがめのこと, 好きだったんじゃねえの?」「あの不愉快な女をね。嫌いじゃなく, なくもなかったわ」「そうか」迂遠な(^^;;; そしてこれは, とがめの鏡ですよね。で, 匡綱将軍に向かう七花。「ま, 待て, 落ち着け。余の話を聞け。命だけは, 命だけは助けてくれ……そ, そうじゃ, その方に天下をやろう, その方天下は欲しくないか?」「いるかそんなもん! ちぇりおー!!」天下など興味無いって, 第一話から言ってるもんね(^^;;; 今や天下よりちぇりおの方が七花の一大事ですよね……って本当にちぇりお普及に邁進するですか!?

どうやら炎刀に撃ち抜かれても致命傷ではなかったらしい七花, 傷跡だらけになりつつも生存し, とがめとの約束を自分勝手に継続して, 日本一周地図作り。何故か御共は否定姫。「加賀はお金が一杯あるらしいわよ。ここらでそろそろ軍資金を補充しておいた方が良くない?」ああ, 北陸方面が弱いって言ってたから, 早速そっちへ行ってる訳ですな。「そういう方面はあんたに任せるよ, 何であれ一緒に居るんだから, ちょっとは役に立ってくれ」「厳しいわねー, 誰に似たんだか」役に立つ能力, あるんでしょうか否定姫? この人個人の人となりは良く判っていませんし。「その代わり追手が来たら, 俺が戦ってやるよ」「あっそうー。じゃその時は宜しく♪」「……あ。『但しその頃にはあんたは八つ裂きになっているかもしれないけどな』」「何でー!?」いつ言うのかと思っていたら, こんなオチですか(^^;;;