青龍です。

"Junya Suzuki" <PP6J-SZK@asahi-net.or.jp> wrote in message news:41395c1b$0$9051$44c9b20d@news3.asahi-net.or.jp...

> それで、合祀されたのが1978年、公になったのが1979年、中曽根首相が
> 参拝して本格的な政治問題化されたのが1985年です。公になってから
> 6年間もほったらかされていたんです。
> 
> 「A級戦犯」が問題視される対象だという認識を調印段階に持つのは難しい
> でしょう。合祀後6年間は容認していたんですからね。元々中国側に取って
> 大した問題ではなかったけど、中国側の事情の変化により問題にすることに
> なったと。

 理由はいくらでも考えられるでしょう。
 中国側の事情の変化によって問題にすることになったのかもしれ
ません。
 中曽根首相のときに、公式参拝と言い出すに至って、我慢出来な
くなった可能性もあります。

 でも、そんな理由の詮索は後述のように、共同宣言に違反するかどうかを判
断する際には不必要なことです。
 
> >  もちろん、靖国神社は宗教団体ですから、分祀するかどうかは靖国神社
> > の決めることですが、そこへの首相の参拝は日中共同宣言でも、その後の
> > 日中平和友好条約でも、中国側が同意していたとはいえないでしょう。
> >  もちろん、このふたつの合意の後、首相が靖国神社に参拝しても中国側
> > が問題にしなかった時期があったのは事実ですが、それはA級戦犯が合祀
> > されている靖国神社に首相が参拝することが約束に反していないことにはな
> > らないでしょう。
> 
> えーと、それは難しいでしょうね。ならない理由を説明出来ていません。

 ならない理由はまさに鈴木さんが言い当てていますよ。
 共同宣言に反するかどうかは、共同宣言自体の解釈によって決まること
であって、共同宣言の後に中国政府が6年間参拝を黙認したことは、参拝
が共同宣言に反しないことを証明しないからです。鈴木さんの主張が成立
するためには、約束違反があった場合には必ず、すぐにその点について抗
議しなくてはならず、実際にされているということが必要となりますが、そのよ
うな前提は存在しないのです。

# 鈴木さんの主張は、契約違反の際にそのことをすぐに指摘しなかったら、
 契約違反自体がなくなってしまうと主張するようなものです。

> 6年間で靖国神社に大きく変わったところはないので別の要因、特に中国側
> の政治的要請で「問題視」することになったと考えるしかないでしょう。問題視
> する理由として「A級」というのを持ち出してきたと考えるのが自然でしょう。

 公式参拝というのは変化じゃありませんか?

> >  約束違反があっても、直ちに非難の行動に移るとは限らない以上、抗議が
> > なかったことは約束に違反していなかったことを証明するものではありません。
> > あくまで約束違反かどうかは上記のふたつの合意の精神に照らし合わせて
> > 判断しなくてはなりません。
> 
> 「精神」とはまた便利なものを持ち出してきたけど、そんなものは参照の対象には
> なりません。あくまでも
> http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/china/nc_heiwa.html
> に書いてある条文を参照すべきでしょう。

 
> #条文に違反していると言えないから「精神」なぞいうものが持ち出されるのですが。

 それは間違い、過去の侵略についての反省という条文が、かなり抽象的な表現で
ある以上、 具体的な行為がその反省と矛盾するかは、具体的にいかなる行為をす
るとその反省と矛盾するのかという、解釈が必要となります。

# 例えば、首相が「侵略の何が悪い」と言い放っても、それを禁じる具体的な条項が
 ないから、日中共同宣言に反しないと、主張したいわけではないでしょう?

 従って、条文解釈の際に、共同宣言の成立過程や背景事情などが考慮されるの
は解釈上何らおかしいことではありません。私は、そのような解釈基準も含めて「精
神」と表現しました。
 そして、なぜ首相の靖国参拝がその精神に反すると解釈したのかについては既に
今までの投稿に書きました。


> そんな風に捉えられたのは不本意ですか、少数に問題があるからといってその場を
> 否定する必要がないということを言いたいわけです。例えば首相と東条家と同じ
> 菩提寺だったら日本の首相は自分の先祖の法要も開けないんですかね。

 その場合には、同じ菩提寺に祀られているとはいえ、その祭祀自体は東条家とは別
に行われているのだから問題ないでしょう。また、通常のお寺なら、死者を英霊扱いし
て、そのような特別な意味づけの下で祀っているわけではないからその点でも問題は
ないと思います。
 これに対して靖国神社の場合、祀られている英霊全てが祭神であり、そのうちの一
部だけを分けて参拝することは基本的にできないでしょうし、靖国神社もそれを認め
ないでしょう。また靖国神社の場合は、祭神を英霊として積極的に評価するという意思
で、戦争のために役に立ったものだけを選別して祀っているのですから、この点でも通
常のお寺とは異なります。

# それとも、靖国神社には参拝するけど、A級戦犯に対して向ける気持ちは一切あり
 ませんとでも主張してみますか?以外とそのあたりで中国側が納得してくれるかもし
れませんよ。

>少数に問題があるとしてもそれを理由として多数への敬意を払う行為が否定されるの
> ならそれこそ不幸だと思います。

 敬意を払うのであれば、別に靖国神社である必要はないでしょう。今議題になってい
る国立の追悼施設で追悼が行われるのであっても死者への敬意は十分払われると思
います。

# 靖国神社の場合は、対外関係の他に政教分離違反という問題もあるわけですから、
  もし国家として死者の追悼をしたいのであれば、国立の追悼施設というのは、両方の
 問題に抵触しない、悪くないアイディアだと思います。