稲川です。

one of the people in general wrote:
>>私が当初から主張しているのはこの点です。
> 
> 
> そうでしたか。このことは当然に前提されてその上での「明確性」を問題にさ
> れ、その「明確性」が強調される点が刑法の構成要件と他の構成要件の違いであ
> る、とされているように読めたものですから前回のような対応をさせていただい
> たのです。この受け取り方は間違いだったのですか?

まぁ、そのように読み取るのも読みての自由ですが...

> ただこれは刑法における「要件」においても他の法分野の「要件」においても同
> じことですよね。ただ刑法の場合は原則は法律形式に限定される、とする所に意
> 義が有ったわけです。

これには同意いたしかねます。

なぜなら、刑罰法規について*のみ*特別に
憲法に規定されている事が説明できませんし、
「原則は」という程度のものではなく、また、
民事法の分野では、当事者は契約によって
法を破る事も出来るわけです。

>>>第二に、「事後法の禁止」について。これは憲法39条を受けたものです。要
>>>は、行為者が行為に出る時適法であったのに後に不適法だとされるのでは人々の
>>>行動が自粛され、自由が束縛されるが、これはけしからんとする考えです。(=
>>>自由主義的要請)これを裏から言えば、行為を不適法だとして処罰するには、行
>>>為時にその不適法が知らされていなければならないと言うことにもなろう。こう
>>>捉えたときには第一第二は同一に帰着する。なお、これは多かれ少なかれ民事法
>>>にも言えることでは有る。(=行為の予測可能性)
>>
>>
>>これは、あなたの最初の質問にある「構成要件」と
>>どのようにかかわって来るのでしょうか?
> 
> 
> ここが一番重要だと思います。ここでは事前(行為)に対する「事後」という言
> 葉で表現されていますが、文字通りのことに意義が有るのではなく、行為時に処
> 罰の根拠としての刑罰規定=犯罪成立にかかる要件とその効果としての刑罰が示
> されていなければならない、とする趣旨を言っているものだからです。

私は、全くとはいわないまでも、殆ど無関係だと
思っています。

なぜならば、事後法が禁止されるか否かによって、
当該条文の解釈に違いがあるものではないからです。

あなたは、事後法が禁止されている場合とそうでない
場合において、それが法解釈にどのような影響を及ぼ
すとお考えでしょうか?

つまり、ある行為が現行法によって犯罪であるか
そうでないかの解釈が、行為の後に制定された法律
で犯罪として処罰される場合がある場合と無い場合
で異り得るのかどうか、という点です。

なお、事後法によって処罰する事が出来る場合に、
行為の時に適法であった行為が処罰され得るのは、
事後法が適用されるからであって行為時の法律の
解釈が変わったからではありません。

> しか
> し、そのような立法作業に要請される「明確性」は犯罪構成要件の<本来の特殊
> 性>としては二次的三次的なことに過ぎません。なぜなら、刑罰法規でなくとも
> より明確な方がよいに決まっているからです(予測可能性)。

ん?何時から立法作業の話になったのですか?

「刑罰法規でなくともり明確な方がよいに決まっている」
というのは思考停止していませんか?

> しかし、犯罪構成要件の<本来の特殊性>の主眼は裁判時の裁判官(もっと広く
> は解釈時の解釈者)の判断乃至判断力(目に見えることではない)を規制しよう
> とするに有るのではないか、とするのがわたくし理解なのです。
> 
> そうして、それに見合ったものにするには犯罪構成要件をどんな内容にすべきか
> と言うことが次に出てくるのではないでしょうか?

逆ではないですか?

先ず、条文の厳格な解釈によって「何が」犯罪である
かが明確になっていてはじめて裁判官を規制(するので
あれば)出来るのであって、当初に条文とは別の「何か」
をおいて、そこから法の内容を明らかにしようとする
ならば、その「何か」を規制する絶対的な物が別になけ
れば、恣意的な「何か」を置く事でどのような解釈も
可能となります。

また、その絶対的な規範がたやすく知り得る物でない
限り、法律は何も述べていないに等しくなります。

# う〜ん、「S氏は」なんて言うからどんなスバラシイ
# 持論を展開してくれるのかと期待したけど、
# この程度だったとは...(知らないと思ってた?)

-- 
稲川 史(ふひと)  http://www.za.ztv.ne.jp/fuhito/
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