Mon, 27 Jun 2005 23:57:58 +0900,
in the message, <d9p3ot$7v3$1@caraway.media.kyoto-u.ac.jp>,
Yasuyuki Nagashima <yasu-n@horae.dti.ne.jp> wrote
>通常、いちいち定義を説明しないのは、
>定義については既に共通理解があるっていう前提が立てられるからであって、
>私の書いた(1)はやらないのではなく「省略されている」だけです。
>
>その前提があやしければ、この点を省略するわけには行かない…
>何も法律の分野に限ったことじゃないと思いますが…

ちなみに法律の特殊性は、「その定義次第でことによっては人の命まで左右す
ることがある」こと。

単なる議論なら「物別れ」で終りになるだけの話だけど、強制力を伴う法律
の場合は「定義がいい加減」では「基準としていい加減」ということであり適
用を受ける側としてはたまったものではない。
法律学において、用語・概念の定義を行うことは結局のところ当該規定の適用
範囲を確定することに他ならない。

# って言うとまた事実認定即ち証拠という事実の評価の問題を取上げて「裁判
 所が場当り的に判断している」とか言い出すのがいるんだよな。
 まあ「そもそも一貫している法律解釈を一貫していないなどと言い出す」な
 んて場合もあるが……
 (註:これに該当する具体的人物は無論いるが、ここでは別に人物を特定し
  て言っているわけではなくあくまで一般論である。念の為。)。
 法律解釈と事実認定は全然別問題だぞ。
 これをはっきりさせる意味では、小陪審(事実認定と法律解釈の権限を分け
 る)という制度もいいのかもしれないと思うところ。
 ただそれがアメリカ式であることがいいとは限らないが。
 少なくとも、訴訟指揮と証拠の評価は別の主体が行うべきだという主張には
 賛同できる。

これは、「法律に限らない」というのは全くその通りで、議論において用語
を無限定に使うことは、結局、その議論の対象あるいは範囲が定まらないこと
を意味する。

……というのがまあ一般論としての定義の必要性についての話なんだけ
ど……。

>…って、これも何度も何度も何度も何度も指摘されたことでしたね…

一般論も一つの論点かもしれないしその点についての指摘はそれはそれでいい
のだけれど、むしろ具体的な話として、端的に、「わたしにはあなたの言って
いる『表現の自由』という言葉が、少なくともわたしの知る『表現の自由』と
いう言葉とは違う意味であるという以上のことが分りません。あなたの言う
『表現の自由』とはどういう意味か説明して下さい」とした方がいいんじゃな
いの?

説明してもらえなければ「あなたの言う『表現の自由』とやらの意味が分らな
い以上、あなたの言いたいことが解るわけがないので議論が成立つはずがあり
ません」だし、説明を受けたら初めて話が先へ進む。


……というのも実は既に指摘のあるところなんだけど、それに対する回答がど
うやらわたしの読むところ、
「『表現の自由』という言葉は状況あるいは分野若しくは論者によって意味が
変るもので一つの定義に尽きるものではないし一つの定義に固執すべきでは
ない」
という答えになっていないもの。

そんなことは解っているのよ。
そんなことが聞きたいのではないのよ。
聞きたいのは「あなたが今どういう意味で使っているのか」なのよ。

もし「いや、わたしは特定の意味で使ってはいない」と言うのであれば、では
「意味の特定しない言葉をどうやって理解しろと言うの?」

# これが、「表現の自由」という「どこかで見たことのある何となく解った様
 な言葉」ではなく「訓らなき意味見らま人七」なんて言ったらどうよ?
 間違いなく、「それどういう意味?」って尋かれるよね
 (これは、かな入力でhyougen no jiyuuと入力して変換しただけ。)。


「いや、そうではない。『表現の自由』という言葉に『どのような意味を与え
るべきか』それ自体を問題にしているのだ」とでも言うのであれば、話は解ら
んこともないが……。
それは、状況によりけりだけど、「その状況で最も妥当な定義を与える」とし
か言いようがないんじゃないの?
あとは、「なぜ妥当か」が問題になるくらいで。
そして「なぜ妥当か」を論じるためには、「評価対象となる内容即ち最も妥当
と主張する定義を明らかにする」必要がある。
定義の妥当性を論じるということは即ち当該定義を評価するということであり
そのためには当該定義が明らかでないと話にならないのは論理的に明らかであ
る。

# 法律学だって定義自体が争いになる場合は結構ある。
 その場合、「かくかくしかじかと定義すべきである。なぜなら〜」と必ず話
 をするのだけどね。
 具体的な定義を述べずに定義の争いなど起らん。


結局、一体「何を議論したいの?」

例えば「表現の自由」の定義はどう在るべきか?
それは、「分野とか状況とかによる」んじゃないの?

あるいは、「表現の自由」の諸分野における定義の比較?
それなら、「諸分野における定義」を全部とは言わないが比較考察するに充分
な程度提示してよ。

あるいは、「表現の自由」の各種定義の是非?
それなら、「各種定義」を全部とは言わないが幾つか挙げてその上で自分はど
ういう理由でどの定義を支持するか述べてよ。

あるいは、それ以外?
それなら、「一体何を議論したいのかはっきりさせてよ」。

# スレッドの長さの割に「結局何を議論したいのかすらさっぱり判らない」も
 んな。
 そりゃ、politicsでの議論は面倒だから読んじゃいないけどね。
 でも、lawに来た段階で法律上の議論になってるんじゃないのかね?
 でも、法律上の議論として何が問題なのかさっぱり判らん。
 まあ、或る程度想定できる回答を上に列挙したからどれか一つに当てはまれ
 ばまた展望も見えてくることであろう。

-- 
SUZUKI Wataru
mailto:szk_wataru_2003@yahoo.co.jp