佐々木将人@函館 です。

>From:Keizo Matsumura <kmatsu@nr.titech.ac.jp>
>Date:2004/05/17 12:50:40 JST
>Message-ID:<40A83690.35FA42F8@nr.titech.ac.jp>
>
>逆に先使用の通常実施権に対価は必要ないという明文な条項もないですね。
>先使用には通常実施権があるというだけ(許諾を受けずとも)。
>
>しかし、これは争いの種になりますね。だれか裁判例を造ってくれるといいんで
>すが。

そりゃあ全然ダメダメな解釈ですよ。
……「ちょっとそこに座りなさい」から説教のフルコース。

たとえば法律学小辞典で「権利」のところをひいてみましょう。
「相手方(他人)に対して
 ある作為・不作為(受忍)を求めることができる権能をいう」
そこで特許法68条は
「業として特許発明の実施をする権利を専有する」
78条1項は
「他人に通常実施権を許諾することができる」
としていて
これと79条の
「その実施の範囲内で通常実施権を有する」
は一見矛盾するように見えるけど
これは範囲が「一般−特殊」の関係にありますから
(法解釈の一般則として)
79条優先……すなわち79条を根拠にした通常実施権の行使であれば
それは68条や78条1項の権利を侵害したことにはなりません。
なぜなら権利である以上他の者は受忍しなければならないから。
受忍しなければならないのだから対価だって請求できません。

ちなみに96条は無関係。
(質権は原則物上代位性がないけど
 事前の差押を要件に物上代位を認めたのが96条)

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ルフィミア「本当に本が出そうなんですか?」
まさと「なんか出そうな感じだよ。」