佐々木将人@函館 です。

説明の都合上、引用順を入れ替えています。

>From:頼光 <raikou@mug.biglobe.ne.jp>
>Date:2003/08/20 21:18:27 JST
>Message-ID:<bhvoui$dnf$8@bgsv5648.tk.mesh.ad.jp>
>
># 感想を言えば、「総合的」という点が「空気(ニューマ)」
># を感じさせますね。要調査ではありますが。

前提としては慣習法の成立の要件には
主観的要素である「法的信念」すなわち
「それが法だから守る」という意識の存在が要求されていることが
あげられます。
(ちなみに国際法の分野で国際慣習法の成立に際し
 法的信念不要説も有力に主張されていますが、
 説明は割愛します。)

ところが主観的要素ですから当然直接観測はできない訳で
客観的に認定しようとすると外面に現れた情報を積み重ねるしかない。
その部分は結局「総合的」としか書きようがないのです。
ですからそれを「空気」と表現されるのはまあ仕方ないかな……と。

ちなみに国際法で慣習法と事実たる慣習(国際礼譲)の区別に際し
国際礼譲の例としてよくだされるものは
「国旗の掲揚」
「(外国元首を迎える際の)21発の号砲」
等です。

> 確認したいのですが、ここで言う「法として」の「法」とは、
>行政を背景に持つ法律(や政令、条例 etc)で正しいでしょう
>か。

え〜とですね。
国内法の場合には「法というのは国家権力によって強制されるルール」
なわけでして
その意味ではfjのルールはすべからく法ではないのです。

だけどここではfjという閉じた社会を想定している訳ですよね?
そうなるとそのfjにおけるルールとして
「それが守らなければならないと考えられているから守る」
というのと
「たまたま偶然そうなっただけ」
というのは区別しなきゃならんでしょうということは
前に
「原則が存在していない」のと
「守らない人がいるだけ」というのは区別しなきゃならないといったのと
同一線上にはある訳です。

例えばfj.news.usageへの投稿に日本語を使うというのは
事実たる慣習かもしれないけど
「そうしないとfjではだめだから」とは
思われてないんじゃないかなあ……と。

ゆえに

> このアナロジーが有効ならば、次の2点が示せれば、慣習法
>ならぬ「慣習原則」の存在が言えそうですから。
>
> ・「fj の原則だから実名を名乗る」という人々がいる
> ・そういう人々が連綿と存在してきた
>
> 程度問題はあるにしても、これらの確認の労は馬鹿調査より
>はだいぶ楽そうなので、現実論としてはこちらの方が価値が高
>い。

は正しい指摘だと思います。
で、頼光さんには申し訳ないんだけど
例えば「キャンセルするなら実名でやるべき」という主張が出て
ある程度の支持を得られているという事情は
「fj の原則だから実名を名乗る」
ことの補強になるのです。

> 上記引用部の佐々木氏の言も、歴史的経緯を見て特に変化点
>が無いから、過去の状況は今も同様だろうという論法です。む
>ろん、説明技法としては有効ですが、正面きっての定義にはなっ
>ていないわけです。

それは成文法主義から自由になってないですよ。

守らなければならないものの認定基準に
「歴史」というのは切り離せないのです。
そしていったん「守らなければならないもの」にいたったのであれば
それが変えられたとするには
明示で変えるか
「守られなければならない別物」が「歴史」をふまえて新たに成立し
それは過去のものと矛盾するので
過去のものが捨てられたとならなければならない。

片方を「歴史」をふまえて認定しておきながら
もう片方については「歴史」をふまえないというのは
そりゃあ恣意的です。
……でも明示の決定は歴史なんか吹っ飛ばしますわな。

私の上の説明って実は正面突破ですよ。

> 正面きって言おうとすれば、例えば「原則」という言葉に
>「例外」の存在を暗黙に許す意味がある点に注目し、実名投稿
>者が存在することで「原則実名である」と言うことは辞書的に
>はできます。が、この基準では下限が規定されないので、0で
>なければOKとなってしまい、例えば「原則」に沿う事例が
> 0.000001 % という状況でも「崩れていない」と言えてしまい
>ます。

それで問題ないんですよ。
もともと事例数とか比率だけで決めているんじゃないんだから。

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