Re: 一般の多様体の定義とは?
工繊大の塚本です.
In article <k5agl1$vbq$1@dont-email.me>
"Kyoko Yoshida" <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> 複素多様体を定義するのに用いるのなら,
> C^n(R^{2n}と同一視)でchartは定義されるのですね。
複素多様体を定義するときには,
複素構造が問題となるので,
C^n を R^{2n} と同一視したのでは
その部分が失われます.
> 素晴らしいです。分かりにくかったら,R^nバージョンと
> C^nバージョンの二通りの定義を予め用意しておけばいいのですよね。
どんな種類の多様体を定義したいかに依ります.
> えっ。R^nとXはどうしても位相同形にはする事はできないのですね。
無論 R^n 自身も位相多様体ですから,
X が R^n 自身であれば位相同型になりますが,
そうでない場合が主として扱いたい対象です.
> 誠に申し訳ありません。何処が全く違うのでしょうか?
貴方は chart を正しく理解していない.
> [定義キ]
> 「(X,T)を位相空間とする時,∀(U,V)∈T×T_{R^n}
> (但し,T_{R^n}はR^nの通常の位相)に対して,
> Home(U,V)∋fが存在する(∵要証)。
> この時,このfをUからVへのchartと呼ぶ」
> なら如何でしょうか?
X の勝手な開集合 U と
R^n の勝手な開集合 V との間には
位相同型が存在するとは限りません.
むしろ, 位相同型になる開集合というのはとても特別な場合です.
位相同型となる X の開集合 U と R^n の開集合 V と,
その位相同型を与える U から V への写像 f とを
組にしたもの (U, V, f: U \to V) が chart です.
> [定義イ]
> 「XをTを位相とする位相空間とし,
> Λを添数集合,Map(U_λ,V_λ)をU_λ∈TからT_{R^n}への写像の集合とし,
> {Map(U_λ,V_λ);λ∈Λ}をその族とする時,
> その族がX上の{U_λ;λ∈Λ}に於けるatlasであるとは,
> (i) 集合{U_λ;λ∈Λ}がXの開被覆である,
> (ii) 任意のλ∈Λに対して,U_λからV_λへのchart f_λが存在する,
> ことであると定義する」
> とすればいいのでしょうか?
やはり chart の理解が間違っていますから,
駄目です.
> 有難うございます。ここではC^nではなくR^nと書き換えてもいいのですね。
位相多様体の次元は R^n で考えたときの n です.
> [定義エ]
> 「C^nを位相空間とし,U,V∈T(但し,TはC^nの通常の位相とする)とする時,
> UからVへの同相写像φがUのbiholomorphismであるとは,
> φもφ^-1も正則関数。 である事と定義する」
>
> で宜しいでしょうか?
それは良いでしょう.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_of_complex_manifold__01.jpg
> でいいのですね。
chart の理解が出鱈目だから駄目です.
> In article <121009204006.M0113709@ras2.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > 「族 { Map(U_\lambda, C^n) ; \lambda \in \Lambda } に関して」
> > C^\alpha (級)多様体, という言い方はありません.
>
> "C^α級微分可能多様体"と言うのですね。
そうではなく,
「族 { Map(U_\lambda, C^n) ; \lambda \in \Lambda } に関して」
などという記述が駄目だといっているのです.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_of_C_alpha_class_differntiable_manifold__00.jpg
> てなら宜しいですよね。
ここまで述べてきた理由で駄目です.
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塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
GnuPG Key ID = ECC8A735
GnuPG Key fingerprint = 9BE6 B9E9 55A5 A499 CD51 946E 9BDC 7870 ECC8 A735