中川@つくば です

Kiyohide Nomura wrote:
> 

> > 衛星の高度が 20 万 km としてその 1ppb が 20cm だから...
> > 1 ppb/day ならばカーナビには使えるようなきがしますね.
> 
> いえ、
> 1day = 8.64 x 10^4 sec
> ですので、10^{-9} 程度の精度の時計では1日のうちに
> (8.64 x 10^4) X 10^{-9} = 8.64 x 10^{-5} sec
> 程度のずれがでます。距離に直すと  光速度 3 x 10^8 m/sec をかけて
> 2.6 x 10^{4} m = 26 km
> です。

これは、各衛星がばらばらに誤差を生じた時です。
衛星同士の時刻は正確に合わされていた場合には、
光速度の代わりに衛星の速度を使って計算する必要があり、
1日で数十cmの誤差に収まります。

> 10^{-12} の精度の時計でしたら1日1回程度の校正で 26 m の誤差でカーナビ
> には使えますがね。

ppbオーダーというのは、計測時間0.1秒程度の場合であって、
計測時間1日では二桁以上精度が向上するようです。
最終的な精度はpptになるとされています。

> もしくは、10^{-9} 精度の時計を、1日に 1,000 回時刻合わせをする必要がでます。
> GPS 衛星、 24 - 28 機ありますので、時刻校正のための通信系に大変な負担がかかる。

それほど負荷が増えるとは思いませんが、原子時計の時よりも
負荷が増えるのは事実でしょう。
#挙句の果てに性能は悪い。

水晶振動子の場合の一番の問題点は、
各衛星の時計の周波数を揃えられないということでしょう。
高性能水晶振動子のチューニング範囲は狭いため、
注文どうりの周波数の振動子を24個揃えるのは
とても難しそうです。
エージングもあることだし。

したがって、基準時計からオフセットした、共通周波数時計を
用意する必要があります。
技術的に問題がなさそうにも思いますが、筋が悪い解決法であることは確か。

ただ、このような事情を考慮しても、
水晶振動子しか使えなかった時に、
GPSの実用化をあきらめたかというと、NOだと思います。

> で、高精度水晶振動子を人工衛星に積むアイディアが捨てられたのは、恒温槽
> の分の重量ペナルティーの他に、短期的には(温度変動押えるなどして)10桁
> 以上の精度を確保できても、長期的には水晶振動子の加工時の残留ひずみで経
> 時変化(エージング)が避けられないためです。
> 原子時計は、原子の共鳴周波数と水晶振動子の間でフィードバック回路を形成
> して見かけ上エージングを取り除き、長期に渡る高精度化を実現しました。
> 
> より低い精度の水晶振動子では、非常に頻繁な時刻の校正を必要とされるため、
> 通信系や衛星追尾システムに大きな負担がかかり、全体として非実用的なシス
> テムになるでしょう。

それしか道がない、という時には、とてつもないシステムが
実用化されます。

安全快適な核パルスロケットが実用化されたとすると、
現在の化学燃料ロケットは速やかに捨てられるでしょうが、
仮にそのような未来が実現したとして、
その頃の、歴史を知らない科学者に化学燃料ロケットの
実用可能性を聞いたら、まず、非現実的と言って切り捨てるでしょう。