Re: ζ(s),DL(s,χ),_{amodN(s)},ζ(s,x)の複素平面上での正則性・有理型性・解析接続可能性の証明
工繊大の塚本です.
In article <kaj5i0$4rp$1@dont-email.me>
"Kyoko Yoshida" <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> 取りあえず手直ししてみたのですが
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_2925__05.pdf
> ではいかがでしょうか?
[Prop205.29243] の「証明」には誤りが多数あります.
実数の区間上の複素数値関数の積分を考えているところに
線積分を持ち出すのがそもそも間違っています.
u > 0 で \log u < u ですが, |\log u| < u ではありません.
これと同じ間違いが [Prop205.29245] の証明にもあります.
最後の括弧くくりのなかの議論は意味不明です.
本当に [Prop199.99465] は証明できていますか.
[Prop205.2925] の証明で, \gamma_\epsilon 上での
線積分を評価して M という h によらない定数で
C_\epsilon 上での積分を評価するところも不十分です.
> In article <121119224829.M0218689@ras1.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > 無限大であると言っても, 複素数平面を1点コンパクト化した
> > リーマン面としての球面の無限大に値を取っているという話では
> > ありません.
>
> つまり,C内の∫_1^∞ dx/xは拡張された複素平面ではなく,
\int_1^\infty dx/x は \bar{\mathbf{C}} での話ではないだろう,
と言っています.
> 有限複素平面で考えているのですね。
「有限複素平面」というのは聞いたことがありません.
> なるほど。∞はCに付加されてないので無限大とも言えず
> その代わり"値なし"と言うのですね。
何か勘違いがあるようですが,
「 \int_1^\infty dx/x は無限大である」というときの「無限大」と
「複素数平面に無限大を付け加えたリーマン球を考える」というときの
「無限大」とは違うものだから, 混同するな, と言っています.
> "∫_A f(z)dz \not \in C"は"∫_A f(z)dz has no value"と表現するのですね。
少しはましですが, 普通 f(z) is not integrable on A でしょう.
> 今,(0,1]で∫_0^1x^{s-1}/(exp(x)-1)dxは定義されてるんじゃないんですかね?
その広義積分の収束性を議論するために,
x/(\exp(x) - 1) を [0, 1] に拡張して考えるようにする
というのが大事なところです.
> x=0ではこの積分は定義されませんが,x=1では定義されてるから,
そう, x = 0 では広義積分で考えなければなりません.
> 複素線積分と広義線分の定義より,∫_0^1x^{s-1}/(exp(x)-1)dxは
> ∫_{(0,1],0→1}x^{s-1}/(exp(x)-1)dxの意味だと思うのですが。
そういう書き方はしません.
\int_0^1 x^{s-1}/(\exp(x) - 1) dx
= \lim_{\epsilon \to +0} \int_\epsilon^1 x^{s-1}/(\exp(x) - 1) dx
が定義です.
> > 閉区間 [0, 1] 上での C^\infty 関数となるからです.
>
> え!?少なくとも[0,1]の両端では微分不可能になるのではないでしょうか?
> f(x)は[0,1]で連続で(0,1)で微分可能なら納得できますが。
複素関数として考えても z/(\exp(z) - 1) は z = 0 にまで
正則関数として拡張できたのですよ. 実軸上に制限すれば
C^\infty 級であるのは当然です.
閉区間で C^\infty であることの定義は色々な version が
ありますが, ここでは閉区間を含むある開区間上で C^\infty
になっていますので, 一番厳しい定義でも C^\infty です.
> どうして(0,1]でのC^∞級関数では不十分なのでしょうか?
> > 区間の端での値の極限として使われますよ.
> > f(0) だけでなく, f'(0) や f''(0) etc. も使われます.
が答えです.
> 取りあえず
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop199_99465__04.pdf
> という具合になりました。
> あと,2ページ目の下から6行目にてC^ω級である事を言わねば成らない理由は
> 何なのでしょうか?
私は一度も C^\omega でないといけないとは言っていませんが.
尤も, 上で述べたように, 実軸上では正則な関数 f(z) = z/(\exp(z) - 1)
(z \neq 0), f(0) = 1, の実軸への制限ですから, f(x) は
確かに C^\omega です.
しかし, f(x) が C^\omega であることは上のようにしてしか
示せませんよ. 貴方の書いている理由では駄目です.
> そして,2ページ目の下から7行目
> 相変わらずf(x)の定義にてf(0):=1の必要性が分からないのですが。
> これ以降の証明中で[0,1]の箇所を(0,1]に書き換えても
> 特に困る箇所が無いようなのですが
> [0,1]にせねばならないと困ってくる箇所は何処になるのでしょうか?
\lim_{a \to +0} (1/(-s+1)) a^s f(a) であるとか,
\lim_{a \to +0} (1/((-s+1)(-s))) a^{s-1} f'(a) であるとかが
0 であるとして良いのは, \lim_{a \to +0} f(a) = f(0) とか
\lim_{a \to +0} f'(a) = f'(0) とかが有限確定であるから
なのですが, そういうことを使わずにどうして
\lim_{a \to +0} (1/(-s+1)) a^s f(a) = 0,
\lim_{a \to +0} (1/((-s+1)(-s))) a^{s-1} f'(a) = 0
を示したというのですか.
> > s が実数の時には,
> > \int_0^1 x^{s-1}/(\exp(x) - 1) dx
> > = \int_0^1 x^{s-2} (x/(\exp(x) - 1)) dx
> >> \int_0^1 x^{s-2} dx
> > を使うことになります.
> > # f(x) は x について単調減少です.
>
> これについては
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop199_99465__04.pdf
> の下から2行目から始まりますが,5ページ目の12行目にて
> ∫_a^1x^{s-2}x/(exp(x)-1)dx>∫_a^1x^{s-2}・1dxを言わねばなりませんよね。
> 然し,5ページ11行目でx/(exp(x)-1)>1が(a,1]で言えなくなってしまい,
> 頓挫しております。
> ここは何処を間違っているのでしょうか?
おっと失礼.
\int_0^1 x^{s-1}/(\exp(x) - 1) dx
> (1/(e-1)) \int_0^1 x^{s-2} dx
です. 正の定数が付いても発散については同じことです.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop192_1027__03.jpg
> と書くべきだったでしょうか?
u^s は u = 0 の近傍から u = 0 を除いたところでは一価にはならない
ということを書きたいということは分からないではないです.
> > 駄目です. 偏微分が連続というだけでは, A を任意としては
> > 成立しません.
>
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop192_10007__08.jpg
> とすれば良かったのですね。
s \in B を一つ fix しての議論であれば, それで良いでしょう.
--
塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
GnuPG Key ID = ECC8A735
GnuPG Key fingerprint = 9BE6 B9E9 55A5 A499 CD51 946E 9BDC 7870 ECC8 A735