Re: ζ(s),DL(s,χ),_{amodN(s)},ζ(s,x)の複素平面上での正則性・有理型性・解析接続可能性の証明
工繊大の塚本です.
In article <k5510p$ggl$1@dont-email.me>
"Kyoko Yoshida" <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> In article <121007212833.M0126540@ras2.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > \int_0^1 x^{Re(s)-2} dx が Re(s) \leq 1 で発散することの
> > 証明のうち, Re(s) = 1 の部分は駄目です.
>
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop199_99465__03.jpg
> でいいのですね。
良く見ると, 誤りはそこだけではないですね.
Re(s) < 1 なら 1/(Re(s) - 1) < 0 なので,
- (1/2) (1/(Re(s)-1)) c^{Re(s)-1}
は正の無限大に発散します.
> > (v) の主張が, x^{s-1}/(\exp(x)-1) は Re(s) \leq 1 のとき,
> > [0, 1] 上 Lebesgue 可積分でない, であれば, それで良いのです.
> > Riemann 広義積分は絶対収束しない, でも良い.
>
> そうしますと∫_0^1 |x^{s-1}/(\exp(x)-1)|dx (但し,Re(s)≦1)は
> 発散すると分かりましたが
> ∫_0^1 x^{s-1}/(\exp(x)-1)dx (但し,Re(s)≦1)だと
> 発散・収束の判定は不可能なのでしょうか?
既に, Riemann 広義積分としても発散することの証明の概略を
<120921121447.M0126779@ras2.kit.ac.jp> において与えました.
# \int_0^1 x^{s-2} x^{s-1}/(\exp(x) - 1) dx 以下の所ですが,
# これは \int_0^1 x^{s-2} x/(\exp(x) - 1) dx の間違いです.
> 更に(vi)の∫_0^∞ x^{s-1}/(\exp(x)-1)dx (但し,Re(s)≦1)の証明は,
> (v)の∫_0^1 x^{s-1}/(\exp(x)-1)dx (但し,Re(s)≦1)の発散性を使って
> 証明しようとしていたのですが
> ∫_0^1 x^{s-1}/(\exp(x)-1)dx (但し,Re(s)≦1)の収束・発散が判定不能な場合,
> (vi)の∫_0^∞ x^{s-1}/(\exp(x)-1)dx (但し,Re(s)≦1)の収束・発散は
> どのように結論付けられますでしょうか?
上述の通り.
(貴方の手では)証明できないことには触れない
というのも良いかも知れません.
> > しかし, Lebesgue 可積分でなくても, Riemann 広義積分が条件収束
> > することは有り得ることですので, "\not\in \mathbf{C}" などと
> > いう曖昧な表現に対する証明としては不十分でしょう.
>
> ∫_a^b |f(s,x)|dxが発散だが,∫_a^b f(s,x)dxは収束という場合は
> 夫々∫_a^b |f(s,x)|dx \not \in C、∫_a^b f(s,x)dx∈C
> と書けばいいだけの事ではないのでしょうか?
「 Riemann 広義積分が条件収束する」と書く方が良い.
> > まあ, 積分が収束するということの表現として, "\in \mathbf{C}"
> > と書いたり, 積分が収束しないということの表現として,
> > "\not\in \mathbf{C}" などと書くのは止めた方が良いでしょう.
>
> ふーむそうですか。。。
> "\in \mathbf{C}"や"\not\in \mathbf{C}"の使用する上での
> 決定的な欠陥となるような例を挙げて戴けましたら幸いなのですが。
そう書いたところで, それが何を意味しているのか分からない,
という点で, 決定的な欠陥を既に持っています.
> "<∞"だと(何となく)"振動"の意味も含んでそうなので,
> ハッキシと"∈C"として収束を表しているつもりでした。
「振動」? 御冗談でしょう.
> monotone convergence theoremとは普通言ったりしないのでしょうか?
この証明の場合には言わないでしょう.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop192_1235__03.jpg
> でしたね。
言葉の定義の問題として, 一点で微分可能であるだけでは
その点で正則とは言いません.
> でも[Prop192.100032]では導関数がu=0で連続なので
> u^sはu=0にて正則と言っていいのですよね。
何度も言いますが, 必要なのは近傍での微分可能性だけで,
導関数の連続性は正則性を示すのには不必要です.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop192_100032__01.jpg
だから, この中では, 無用の式ばかり書かれていて,
必要なことが書かれていない.
> でところで上から4行目の(lim_{u→0}u)^0=1はどうして言えるのでしょうか?
そもそも正則性を示すのには必要ないことです.
s = 1 のとき, u^s = u の微分は何だと思っているのですか.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop192_100032__01.jpg
> という具合に導関数のu=0の連続性を言えばいいのですよね。
だから, それは必要のないことです.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop192_100032__01.jpg
> ででも不味いでしょうか?
何を示すべきであるかが分かっていないという点で,
どうにもなりません.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop192_102285__01.jpg
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop192_1083__00.jpg
\lim_{u \to 0} u/(\exp(u) - 1) のことを
0/(\exp(0) - 1) などと書いてはいけません.
或いは, f(u) = u/(\exp(u) - 1) を正則関数として
u = 0 にまで拡張した時の f(0) を
0/(\exp(0) - 1) などと書いてはいけません.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_2821__06.jpg
proof of (i) の最後は変ですね.
> でいいのですね。
結論はともかく, 途中は駄目です.
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_2821__07.jpg
> で(iii)は如何でしょうか?
s が整数でなければ, u^{s-1}/(\exp(u)-1) の u = 0 での値には
何も意味が与えられません. 削除されるのが良い.
> > だから, それは任意の複素数 s で成立しているので,
> > "s \in \mathbf{C} \setminus \mathbf{Z}" について
> > という話ではありません.
>
> つっつまり,
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/prop205_29__01.pdf
> の証明はs∈Zの時のみの証明しか記述してなくて,
> s∈C\setminusZの時の証明は述べていないではないかと仰ってるのでしょうか?
初めから区別せずに証明を与えているのに,
どうして場合を分けようとするのか, と
糺しているのです.
> 結局は
> lim_{h→0}\int_{C_\epsilon}
> |\log(u)|^2 \exp(|h||\log(u)|) u^{Re(s)-1}/(\exp(u) - 1) |du|∈C
> を示せばいいのですよね。
違いますよ. 何か正数 c, M があって, |h| < c なら
\int_{C_\epsilon}
|\log(u)|^2 \exp(|h||\log(u)|) u^{Re(s)-1}/(\exp(u) - 1) |du| \leq M
となることを言えば十分です.
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塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp
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GnuPG Key ID = ECC8A735
GnuPG Key fingerprint = 9BE6 B9E9 55A5 A499 CD51 946E 9BDC 7870 ECC8 A735