工繊大の塚本です.

In article <f8cc14ee-81ac-4bc1-84be-182827bccde0@d7g2000prl.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> この証明ではダメなんですね。

分かって省略しているのなら何でも良いのですが,
既にそうでない場合が多いことが分かっていますので.

> 背理法で|x-z|+|z-y|=|x-y|であるにも拘らずもし,zがxy上に無かったとしたら
> 三角形の定理「三角形ABCに於いて,辺BCの長さは辺ABと辺ACの長さ未満である」
> に反する。
> よって,zは線分xy上になければならない。

なるほど初等幾何ですか. で, ユークリッド空間でその
三角形の定理が成立することはどう証明されますか.

> でいいでしょうか?

要は, 分かっていなるなら, 別にどうでも良いのです.

> In article <090513001527.M0225427@cs2.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > それが証明できれば, 後は大した問題ではありません.

この「それ」というのは「 |x - y| = |x - z| + |z - y|
なら z は直線 xy 上にある」です.
 
> これもダメでしたか。

だから, それは誤読というものですが,

> (OX→)-(OZ→)=(ZX→)
> (OZ→)-(OY→)=(YZ→)
> (OX→)-(OY→)=(YX→)
> なので(∵幾何ベクトルの差の定義)
> |x-z|+|z-y|=|x-y|
> は
> |(ZX→)|+|(YZ→)|=|(YX→)|
> と書け,両辺を2乗して
> |(ZX→)|^2+2|(ZX→)||(YZ→)|+|(YZ→)|^2=|(YX→)|^2
> ⇒2|(ZX→)||(YZ→)|=|(YX→)|^2-|(ZX→)|^2-|(YZ→)|^2
> ⇒2|(ZX→)||(YZ→)|=|(ZX→)-(ZY→)|^2-|(ZX→)|^2-|(YZ→)|^2
> ⇒2|(ZX→)||(YZ→)|=-2(ZX→)・(ZY→) (但し,・は内積)
> ⇒cos∠((ZX→),(ZY→))=(ZX→)・(ZY→)/|(ZX→)||(ZY→)|
>   =-|(ZX→)||(ZY→)|/|(ZX→)||(ZY→)=-1
> ⇒∠((ZX→),(ZY→))=-π.
> これはzがxとyの線分上になる事を示している。
> よって,zをxとyとの線分の内点とすると
> (OZ→)=(1-t)(OX→)+t(OY→) (0≦t≦1)
> ⇒ z=(1-t)x+ty
> ⇒ z=x+t(y-x)
> 
> で宜しいでしょうか?

これは上の「三角形の定理」を証明しようとするもの
ですから, まあ, 結構でしょう. 私なら, 角度が π
だから線分上にある, といった初等幾何的な話は使わずに,

  ZX・ZY = - |ZX||ZY|

をつかって,

  | |ZY| OX + |ZX| OY - (|ZX| + |ZY|) OZ |^2
  = | |ZY| ZX + |ZX| ZY |^2
  = |ZY|^2 |ZX|^2 + 2 |ZY| |ZX| ZX・ZY + |ZX|^2 |ZY|^2
  = 2 |ZX|^2 |ZY|2 - 2 |ZX| |ZY| |ZX| |ZY|
  = 0

から OZ = (1/(|ZX| + |ZY|))(|ZY| OX + |ZX| OY) を
導きますが.

> うーん,でもそうしますと,
> S''(a_1OX_1+a_2OX_2)からどうやってa_1S''(X_1)+a_2S''(X_2)が
> 導けますでしょうか?

 S'' が, 直線を直線に写すこと, 射影を射影に写すこと,
 r = 1 なので長さを変えないこと, を使えば良い.

> すいません。では,
> 4次以上では直交行列が単に回転の表現行列になっているとは
> 言えるようなものではないとはどういう意味でしょうか?

それを後に示したのですが, 誤読されているようですね.

> これはつまり,線形写像の表現行列は定義域と値域との基底によって定まる。

今考えているのは線形変換ですから, 定義域と値域との基底は
同じものを取ります.

> よって,直交変換の表現行列は基底の取り方によっては
> 直交行列にはならないという意味でしょうか?

正規直交基底についての表現行列は直交行列ですが,

  [[ 1,      0,        0],
   [ 0, cos θ, - sin θ],
   [ 0, sin θ,   cos θ]]

という形とは限らない.

> その場合は直交変換は回転を必ずしも表しているわけではなく
> 単に内積を保存するだけ線形写像なのですね。

 3 次元空間なら, det = 1 のものは普通に言う回転で,
回転軸が決まります. それは表現行列には依らない性質です.

> 任意の直交行列は表現行列が下記のようになるように
> 上手く正規直交基底を選べるのですね。
> 
> > det P = 1 のものについては,
> > n = 2m 又は 2m + 1 として,
> > 回転の行列を R(θ) = [[cos θ, - sin θ],
> >                      [sin θ,   cos θ]]
> > として, R(θ_1), R(θ_2), ... , R(θ_m) を
> > 対角に並べ( n = 2m + 1 のときは 1 を付け加え)た行列
> > になります.
> 
> これは有難うございます。とても参考になります。
> 表現行列がこのように表せる直交変換を回転というのですね。

それは「回転」というのをどう定義するか, によることです.
-- 
塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp