工繊大の塚本です.

In article <b96eda90-eeff-4532-971d-fd9bd4eca0cb@o14g2000vbo.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> In article <090511173107.M0123782@cs2.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > Φ(C) の開被覆 ∪_λ U_λ ⊃ Φ(C) に対して,
> > ∪_λ Φ^{-1}(U_λ) は C の開被覆になります.
> 
> {U_λ}は非可算個の開被覆ですね。
> Φ^-1(∪_λ U_λ) ⊃ Φ(C) (∵開被覆)で
> ∪_λΦ^-1( U_λ) ⊃ Φ(C) (∵Φは全単射)ですね。

 Φ が連続写像であれば, ∪_λ Φ^{-1}(U_λ) は
 C の開被覆になります.

> 今,Φが連続&全単射だからΦは開写像と言え,開集合の逆像も開集合なのですね。

 Φ が, 開写像でなくても, 全単射でなくても, 連続写像であれば,
開集合の逆像は開集合であり, 上は成り立ちます.

> > ∪_{i=1}^N Φ^{-1}(U_{λ_i}) ⊃ C とすれば,
> > ∪_{i=1}^N U_{λ_i} ⊃ Φ(C) です.
> 
> なるほど,必ず有限個の開被覆でΦ(C)を覆えるからΦ(C)もcompactになるのですね。

はい.

> 例えば,z=f(u(t),v(t))の時,zのtによる導関数は
> dz/dt=∂z/∂udu/dt+∂z/∂vdv/dt と書けるのですね。

そう, それが, f が 2 変数の関数の時の合成関数の微分法です.

> なので
> d(Φ(x+t(y-x))/dtではu(t)=x+t(y-x),f=Φ,z=f(u(t))と見立てると
> dz/dt=∂z/∂udu/dtだから

その見立てが間違っています. Φ は d 変数ですよ.
 x + t(y - x) は R^d のベクトルです.

  x + t(y - x)
  = (x_1 + t(y_1 - x_1), x_2 + t(y_2 - x_2), ... , x_d + t(y_d - x_d)

なので, ψ_i(t) = x_i + t(y_i - x_i) と置くと,

  x + t(y - x)
  = (ψ_1(t), ψ_2(t), ... , ψ_d(t))

となります.

> >  d(Φ(ψ_1(t), ψ_2(t), ... , ψ_d(t)))/dt
> >  = Σ_{i=1}^d (∂Φ/∂x_i)(ψ_1(t), ψ_2(t), ... , ψ_d(t)) (dψ_i/dt)(t)
> > が「多変数関数の」合成関数の微分法の公式です.
> 
> ありがとうございます。参考になります。
> x_i(t)=ψ_i(t)ですね。

 x_i(t) なんて出て来ましたか?

> 上記のdz/dt=∂z/∂udu/dt+∂z/∂vdv/dt と合致していて上手くいってます。

でも使えなかったと.

 (dψ_i/dt)(t) = (d/dt)(x_i + t(y_i - x_i)) = y_i - x_i ですから,

  d(Φ(x + t(y - x)))/dt
  = d(Φ(ψ_1(t), ψ_2(t), ... , ψ_d(t)))/dt
  = Σ_{i=1}^d (∂Φ/∂x_i)(ψ_1(t), ψ_2(t), ... , ψ_d(t)) (dψ_i/dt)(t)
  = Σ_{i=1}^d (∂Φ/∂x_i)(ψ_1(t), ψ_2(t), ... , ψ_d(t)) (y_i - x_i)
  = (DΦ)(ψ_1(t), ψ_2(t), ... , ψ_d(t)) (y - x)
  = (DΦ)(x + t(y - x)) (y - x)

です. (DΦ)(x + t(y - x)) は d×d 行列と考えていて,
 (DΦ)(x + t(y - x)) (y - x) は行列とベクトルの積です.

  (DΦ)(x + t(y - x)) (y - x) の k-成分
  = Σ_{l=1}^d ((DΦ)(x + t(y - x)) の (k, l)-成分) ((y - x) の l-成分)
  = Σ_{l=1}^d (∂Φ_k/∂x_l)(x + t(y - x)) (y_l - x_l)

です.

> > Φ = Φ(x_1, x_2, ... , x_d) は多変数関数ですよ.
> > dΦ/dt には意味がありません.
> > d(Φ(x + t(y - x)))/dt との区別が分かりますか.
> 
> えっ!? 同じものではないのですか。
> dΦ/dtは単にΦの変数を省略して書いただけかと思ってました。
> どのように違うのでしょうか?
> もしかして,dΦ/dtはtでの全微分済み,一変数で言えば,
> Φ(t)=t^2+t+1の時,dΦ/dt=Φ'(t)、d(Φ(t))/dt=Φ(t)'という意味でしょうか?

だから, Φ を 1 変数 t の関数と見做す仕組みを明らかに
しておかなければ, dΦ/dt には意味がないと申し上げています.

もう, 意味のない表記は止めましょう.

> x = (x_1, x_2, ... , x_d)はxの各成分,
> Φ = Φ(x_1, x_2, ... , x_d)はΦ=(Φ_1,Φ_2, …,Φ_d)と書いた時の
> Φ_1がx_1,Φ_2がx_2の相当するR^d→Rの関数の意味だったのですね。

違います. Φ は R^d の開集合から R^d への写像です.
 Φ = Φ(x_1, x_2, ... , x_d) は, 独立変数が R^d の元で
あることを明らかにする書き方で,
 Φ = (Φ_1, Φ_2, ... , Φ_d) は値が R^d の元であることを
明らかにする書き方です.

 Ψ が R^m の開集合から R^n への写像であれば,

  Ψ = Ψ(x_1, x_2, ... , x_m)
     = (Ψ_1, Ψ_2, ... , Ψ_n)
     = (Ψ_1(x_1, x_2, ... , x_m), Ψ_2(x_1, x_2, ... , x_m),
        ... , Ψ_n(x_1, x_2, ... , x_m))

等と記述することになります. どの表記を使うかは, どの部分に
注目しているかに依ります.

> 例えば,f(t(x,y))=t(x^2+y,2x-y^3,x+y)ならd=2で
> x=(x_1,x_2)のx_1とx_2はx_1=x,x_2=yですね。
> Φ(x_1, x_2,x_3)でのx_1,x_2,x_3はx_1が像がx^2+y^2なるR^2→Rの関数,
> x_2は像がx-y^3なるR^2→Rの関数,像がx+yなるR^2→Rの関数なのですね。

全く意味不明です.

> E上ではΦ'の上限しか存在しないのでEの凸包の閉包を考えるのでなく,
> Φ'が無限大になるかもしれないというのはどういう状況でしょうか?
> 無限大を採る場合でもEをEの凸包の閉包に拡張して考えれば,
> 最大値が存在するというのはいまいち分からないのですが。。。
> 単にEの閉包だけでも凹んだ部分があると無限大になったりするんですね。
> 凸包&閉包でないといけないのですね。

 Lipschitz 性の証明の仕方によることです.
任意の x, y ∈ E について同じ M で
 |Φ(x) - Φ(y)| ≦ M |x - y| とならないといけないので,
ノルム |Φ'(x + t(y - x))| を一様に評価する必要があります.
 Φ は R^d の開集合で定義されている, というだけですから,
 E の形状が変だと Φ の定義域から外れることもあります.

> "f(a)の微分"はf(x)の導関数にx=aを代入したものですね。
> つまり,それをx=aでの微分と言うのですね。

話が逆です. f の各点での微分が存在する時,
各点にその点での微分を対応させる関数を考えて,
それを導関数と呼ぶのです.

> > では, その剰余項を用いて, Taylor の定理を証明して
> > 御覧なさい. 出来ませんから.
> 
>  f(a+h, b+k) = f(a, b) + Df(a, b)(h, k) + 1/2!(D^2f)(a,b)((h,k), (h,k))
> +
> …+ 1/(n-1)!(D^{n-1}f)(a,b)((h,k), ... , (h,k)) + R_n
> R_nはR_n=1/n!D^nf(a+θh,b+θk) (但し,0<θ<1)
> に於いて,
> (証)
> a,b,h,kを定数とみて,次のtの関数を考える。
> F(t)=f(a+ht,b+kt).
> これは1変数のtの関数だから,Maclaurinの展開式をx=1の場合で適用して,
> F(1)=F(0)+F'(0)+1/2!F''(0)+…+1/(n-1)!F^(n-1)(0)+R_n,
> R_n=1/n!F^(n)(θ) (0<θ<1)を得る。
> D:=h∂/∂x+k∂/∂yとすると

こう定義したものは, 上の Df(a, b) の D とは違ってきます.

> F'(t)=Df(a+ht,b+kt),F''(t)=D^2f(a+ht,b+kt),…で
> F^(i)(t)=D^if(a+ht,b+kt), F^(i)(0)=D^if(a,b) (i=1,2,…,n)

合成関数の微分法を用いて, これらを示さないと,
どの D での話かが明らかになりません.

> よってF(1)の式にF(1)=f(a+h,b+k)、F^(n)(θ)=D^nf(a+θh,b+θk)を代入すると,
>  f(a+h, b+k) = f(a, b) + Df(a, b)(h, k) + 1/2!(D^2f)(a,b)((h,k), (h,k))
> +
> …+ 1/(n-1)!(D^{n-1}f)(a,b)((h,k), ... , (h,k)) + R_n
> R_nはR_n=1/n!D^nf(a+θh,b+θk) (但し,0<θ<1)を得る。
> でしょうか?

 D の解釈が一つの式の中で一定していないので,
どちらであると考えても上の Taylor の公式は間違っています.

>  f(a+h, b+k,c+j)=f(a,b,c)+Df(a,b,c)(h,k,j)+1/2!(D^2f)(a,b,c)((h,k,j),
> (h,k,j))+
> …+1/(n-1)!(D^{n-1}f)(a,b,c)((h,k,j), ... ,(h,k,j))+R_n
> R_nはR_n=1/n!D^nf(a+θh,b+θk,c+θj) (但し,0<θ<1)
> に於いて,
> (証)
> a,b,c,h,k,jを定数とみて,次のtの関数を考える。
> F(t)=f(a+ht,b+kt,c+jt).
> これは1変数のtの関数だから,Maclaurinの展開式をx=1の場合で適用して,
> F(1)=F(0)+F'(0)+1/2!F''(0)+…+1/(n-1)!F^(n-1)(0)+R_n,R_n=1/n!F^(n)(θ)
> (0<θ<1)を得る。
> D:=h∂/∂x+k∂/∂y+j∂/∂zとすると

やはり, Df(a, b, c) の D とは違います.

> F'(t)=Df(a+ht,b+kt,c+jt),F''(t)=D^2f(a+ht,b+kt,c+jt),…で
> F^(i)(t)=D^if(a+ht,b+kt,c+jt), F^(i)(0)=D^if(a,b,c) (i=1,2,…,n)

先ず, 合成関数の微分法から, これを証明して御覧なさい.

> よってF(1)の式にF(1)=f(a+h,b+k,c+j)、
> F^(n)(θ)=D^nf(a+θh,b+θk,c+θj)を代入すると,
>  f(a+h,b+k,c+j) = f(a,b,c) + Df(a,b,c)(h,k,j) + 1/2!(D^2f)(a,b,c)
> ((h,k,j), (h,k,j))+
> …+ 1/(n-1)!(D^{n-1}f)(a,b,c)((h,k,j), ... , (h,k,j)) + R_n
> R_nはR_n=1/n!D^nf(a+θh,b+θk,c+θj) (但し,0<θ<1)を得る。
> でしょうか?
> すいませんよく分かりませんでした。

合成関数の微分法が使えなければ, 証明できないのは
当たり前です.

> > 元の λ(h) を λ(a) と読み間違ったのではないですか.
> 
> さようです。

 h が入らないのがおかしいと思わないのは,
微分が一次近似であることの理解が出来ていないのです.

> > で, h が消えてしまった. Taylor の定理でも h に対応
> > するところが全て消えている.
> 
> どこらへんでしょうか。

既に示したように,

In article <4fec8084-03fc-41b7-bc06-0f98ec4fd9a6@y34g2000prb.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> 多変数のTaylor展開とは
> Φ(x_1+h_1,x_2+h_2,…,x_d+h_d)=Φ(x_1,x_2,…,x_d)+DΦ(x_1,x_2,…,x_d)+1/2!
> D^2Φ(x_1,x_2,…,x_d)+…+1/(n-1)!D^{n-1}Φ(x_1,x_2,…,x_d)+o(ε)
> (但し,D:=∂Φ/∂x_1+∂Φ/∂x_2+…+∂Φ/∂x_d)ですね。|x - z_k|<εから
> (x_1,x_2,…,x_d):=x, (h_1,h_2,…,h_d):=z_kと見立てると
> Φ(x-z_k)=Φ(x)+DΦ(x)+1/2!D^2Φ(x)+…+1/(n-1)!D^{n-1}Φ(x)+o(ε)
> となるのですね。

も h = (h_1, h_2, ... , h_d) に相当するものや,
 x - z_k に相当するものが消えていますし,

In article <5b329ebe-5a34-4108-9550-20e22154767f@l16g2000pra.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> 一階微分したTaylor展開はΦ(z_k-x)=Φ(z_k)+DΦ(z_k)+o(ε)
> (但し,D:=∂/∂x_1+∂/∂x_2+…+∂/∂x_dでo(ε)=1/1!DΦ(z_k-εx)(0<ε<1))
> ですよね。

 x - z_k に相当するものが消えていますし,

> f(a+h,b+k)=f(a,b)+Df(a,b)+1/2!D^2f(a,b)+…+1/(n-1)!D^{n-1}f(a,b)+R_n
> (但し,D:=∂/∂x+∂/∂y,R_n=1/n!D^nf(a+θh,b+θk) (0<θ<1))
> や

 (h, k) に相当するものが消えています.

> f(x,y)=f(a,b)+Df(a,b)+1/2!D^2f(a,b)+…+1/(n-1)!D^{n-1}f(a,b)+R_n
> (但し,D:=(x-a)∂/∂x+(y-b)∂/∂y,R_n=1/n!D^nf(a+θ(x-a),b+θ(y-b)) (0<θ<1))
> ですよね。

ここだけ D の中に (x - a), (y - b) が入っているから,
間違いではないが, その意味が理解されているかどうかは
分からない. この D の記法には問題があります.

> で今,変数はd個あるので,
> Φ(x_1+h_1,x_2+h_2,…,x_d+h_d)=Φ(x_1,x_2,…,x_d)+DΦ(x_1,x_2,…,x_d)+1/2!
> D^2Φ(x_1,x_2,…,x_d)+…+1/(n-1)!D^{n-1}Φ(x_1,x_2,…,x_d)+R_n
> (但し,D:=∂/∂x_1+∂/∂x_2+…+∂/∂x_d,
> R_n:=1/n!D^nf(x_1+θh_1,x_2+θh_2,…,x_d+θh_d) (0<θ<1))
> や

 h = (h_1, h_2, ... , h_d) に相当するものが消えています.

> Φ(t_1,t_2,…,t_d)=Φ(x_1,x_2,…,x_d)+DΦ(x_1,x_2,…,x_d)+1/2!D^2Φ(x_1,x_2,
> …,x_d)+…+1/(n-1)!D^{n-1}Φ(x_1,x_2,…,x_d)+R_n
>  (但し,D:=(x_1-h_1)∂/∂x_1+(x_2-h_2)∂/∂x_2+…+(x_d-h_d)∂/∂x_d,
> R_n:=1/n!D^nf(x_1+θ(x_1-h_1),x_2+θ(x_2-h_2),…,x_d+θ(x_d-h_d)) (0<θ<1))
> ですよね。

ここだけ, D の定義の中に (x_i - h_i) が入っているようですが,
正しくは t_i - x_i ですから, やはり間違っています. 又, D の
記法には問題があります.

> すいません。Euclid空間ではcompact集合⇒閉集合なのですね。参考になります。

 Hausdorff 位相空間では compact 集合は閉集合です.

一様連続性の必要性について,

> xはE内の一点,z_1,z_2,…は各立方体Q_kの中心ですよね。

 m(E\∪_{k=1}^∞ Q_k) = 0 なので x ∈ ∪_{k=1}^∞ Q_k
となる x について考えています.

> どんなに小さなεをとっても任意のkに対して,
> |x-z_k|<εなるxが存在するという意味でしょうか?

 ε ごとに, { Q_k }_{k=1}^∞ は取り替えるのですが,
 x ∈ ∪_{k=1}^∞ Q_k, diam(Q_k) < ε, ですから,
 x ∈ Q_{k_0} のとき, |x - z_{k_0}| < ε です.
なお, Q_k は disjoint ですから, k_0 は唯一つに決まります.

> xはどの中心にも<εなだけ近いという意味がよく分かりませんが
> Q_kは直径はばらばらなのですよね。

 diam(Q_k) < ε となるものを考えています.

> どんなに小さなεでも全直径に近いxは有りようがないと思うのですが。。

意味不明です.

> えーと,ここはΣ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))|χ_{Q_k}(x)|が
> |det(Φ'(x))|に一様収束しているという事でしょうか?
> どうして一様収束していると分かるのでしょうか?

それを, diam(Q_k) < ε となるなら x ∈ ∪_{k=1}^∞ Q_k について
 |Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))|χ_{Q_k}(x)| - |det(Φ'(x))|| < δ
である, と示したのです.
-- 
塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp