工繊大の塚本です.

In article <4db1ee2e-32a6-4572-baad-cc409b402847@e20g2000vbc.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> そうですか。O⊃Cをcompactとするとどのようにして
> Φ(C)もcompactは言えるのでしょうか?

 Φ(C) の開被覆 ∪_λ U_λ ⊃ Φ(C) に対して,
 ∪_λ Φ^{-1}(U_λ) は C の開被覆になります.
 ∪_{i=1}^N Φ^{-1}(U_{λ_i}) ⊃ C とすれば,
 ∪_{i=1}^N U_{λ_i} ⊃ Φ(C) です.

> でもこの問題1でのΦはC^1級&全単射というだけで線形写像ではありませんよね。

問 8 では線形写像が Lipschitz であるという性質だけが
使われました.

> そうでした。測度0性が保存されないから位相同型を使わないのではなくて
> Φが位相同型である事の証明が困難だから,
> Φが位相同型という事は使わないのでしたよね。

それは未だ切り分けが出来ていません.
いずれにせよ, 位相同型だけでは測度零の集合の像が
測度零になることは示せません.

> In article <090509161359.M0129929@cs1.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > 一つには位相同型であることの証明は容易ではなく,
> > もう一つには位相同型であるだけでは測度零の集合の
> > 像が測度零になるとはいえないので, C^1 であることを
> > 使わないといけないわけです. ですから,
> 
> なるほど。位相同型で全て片付くわけではないのでしたね。

となるわけです.

> >  Φ = (Φ_1, Φ_2, ... , Φ_d)
> 
> 各成分Φ_1, Φ_2, ... , Φ_dはR^d→Rの写像ですね。
> 
> >     = (Φ_1(x_1, x_2, ... , x_d), Φ_2(x_1, x_2, ... , x_d),
> >        ... , Φ_d(x_1, x_2, ... , x_d))
> 
> これはΦによるxの像,R^dの元ですよね。どうして
>  (Φ_1, Φ_2, ... , Φ_d)と
> (Φ_1(x_1, x_2, ... , x_d), Φ_2(x_1, x_2, ... , x_d),
>   ... , Φ_d(x_1, x_2, ... , x_d))
> とが等号で結べるのでしょうか。

関数がどのような(独立)変数を持っているのかを示すのに,
関数の値の記法を流用するのは通常のことです.

> = ∫_0^1 d(Φ(x + t(y - x))/dt dt
> = ∫_0^1 DΦ(x + t(y - x))・(y - x) dt」
> となっていたのでDΦはdΦ/dtの事だとばかり思い込んでいました。
> d(Φ(x + t(y - x))/dt=DΦ(x + t(y - x))・(y-x) となるのは
> どうしてなのでしょうか?

「多変数関数の」合成関数の微分法を御存じないようですから,
もう一度, 復習して下さい.

> 左辺はtの微分,右辺はx + t(y - x)での全微分にy-xを掛けたものですよね。

  d(Φ(ψ_1(t), ψ_2(t), ... , ψ_d(t)))/dt
  = Σ_{i=1}^d (∂Φ/∂x_i)(ψ_1(t), ψ_2(t), ... , ψ_d(t)) (dψ_i/dt)(t)

が「多変数関数の」合成関数の微分法の公式です.

> ∫_0^1 d(Φ(x + t(y - x))/dt dt
> =∫_0^1 ((dΦ/dt)(x + t(y - x)))・(y-x) dt(∵合成関数の微分)
> となり,

 Φ = Φ(x_1, x_2, ... , x_d) は多変数関数ですよ.
 dΦ/dt には意味がありません.
 d(Φ(x + t(y - x)))/dt との区別が分かりますか.

> そうですね。これは分かります。

分かっていないと思います.

> x + t(y - x)は1×d行列,(DΦ)(x + t(y - x))は
> 各成分をd個の変数x_1,x_2,…,x_dでの偏微分ですから
> d×d行列となるのですね。
> ここで疑問なのですがどうしてΦ(x+t(y-x))の変数は
> y_1,y_2,…,y_dとx_1,x_2,…,x_dとがありますよね。
> y_1,y_2,…,y_dで偏微分しなくてもいいのでしょうか?

積分 ∫_0^1 d(Φ(x + t(y - x)))/dt dt を考えるときの
変数は t 唯一つです. x = (x_1, x_2, ... , x_d),
 y = (y_1, y_2, ... , y_d) は定ベクトルです.
この x = (x_1, x_2, ... , x_d) は
 Φ = Φ(x_1, x_2, ... , x_d) と書いたときの
 Φ の独立変数 x_1, x_2, ... , x_d とは違います.

> Eを含む最小の凸集合が凸包 (coE)、そしてその閉包が凸閉(包)の定義なのですね。

凸閉とは凸包のつもりでしたが, 凸包の方が一般的ですかね.
それと

In article <090509161359.M0129929@cs1.kit.ac.jp>
Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
& ここで言っているのは, x, y が共に E の点であっても,
&  E が凸図形でなければ, t ∈ [0, 1] の全ての t について
&  x + t(y - x) が E の点であるとは限らないので,
&  E に x, y ∈ E についての x + t(y - x)  (t ∈ [0, 1])
& という点全てを付け加えた集合(それが E の凸閉です)を
& 考えて, その上での最大値を取らないといけない, と
& いうことです.

というのは正確ではなく, x + t(y - x)  (t ∈ [0, 1]) の
点を付け加えるのは x, y ∈ E だけでなく, x, y が
付け加えた点であるときにも繰り返し行う必要がありました.
確かに, E を含む最小の凸集合というのが正確です. 更に,
最大値の存在を問題にするので, 確かに, その閉包を取る
ことになります.

> 線分x + t(y - x)がEに横たわっていないと最大値が存在しない場合
> という状況がいまいちピンとこないのですが
> どういう場合が挙げられますでしょうか?

線分が E からはみ出したら, そこまで Φ を延長出来なかったり,
 Φ' がその延長できない点に近づくときに無限大に近づいたり
することが考えられます.

> > 閉円板は凸ですので, 分かり易くなります.
> 
> そうですか。

で, 結局, 考えている領域を閉円板可算個の和集合として
表して議論すれば良いわけです.
 
> 有難うございます。Eが非有界ならF_n↑Eなる有界閉集合列F_nを採れば

 F_n も有界な可測集合というだけですね.

> E=∪_{n=1}^∞(F_n\F_{n+1})なる互いに素な有界可測集合F_n\F_{n+1}が
> 採れた事になるので
> Φ(E)=Φ(∪_{n=1}^∞(F_n\F_{n+1}))
> =∪_{n=1}^∞Φ(F_n\F_{n+1})(∵Φは全単射)はLebesgue可測
> (∵F_n\F_{n+1}は(有界)Lebesgue可測なので
> 既に証明済みの事からΦ(F_n\F_{n+1})もLebesgue可測。
> 従って,σ集合体の定義から∪_{n=1}^∞Φ(F_n\F_{n+1})もLebesgue可測)。
> となるのですね。

はい.

> そうでした。今,測度0という性質が保存されない例を議論しているので
> m(C)=0ならf(C)>0ではなくm(C)=0ならm(f(C))>0でしたね。

普通, 「 m(C) = 0 であるのに m(f(C)) > 0 」と言いませんか.

> > > 「 (DΦ(z_k + t(x - z_k)) - DΦ(z_k)) は t の関数を成分とする行列ですが,
> > > (x - z_k) は定ベクトルですから」 と仰ってますよね。
> > それで?
> 
> xは変数ですからx-z_kは定ベクトルではないのではないでしょうか?

先程も述べたように, 考えている積分においては t だけが
変数です. x は, ある点を表す, 定ベクトルです.
 
> この3×2行列がfの変数x,yによる導関数ですね。(Df)(x,y)と書くのですよね。
> 定ベクトル(x_0,y_0)を代入したもの(Df)(x_0,y_0)が(x_0,y_0)での
> 微分(係数)ですよね。

 (Df)(x, y) が導関数 Df を独立変数込みで表したものか,
 (x, y) という点での微分を表すのかは, 文脈に依存します.
 
> > 関数と関数の値との区別, 微分と導関数との区別,
> > が出来ますか?
> 
> はいできます。

文脈に沿って区別することが出来ていません.

> > 違います. (D^{n-1}f)(a, b) は (a, b) での f の n-1 階の微分です.
> > それは多重( n-1 重)線形写像 R^2×R^2×…×R^2 → R になっています.
> 
> え? df(a)/dxと書いたら,導関数df(x)/xにx=aを代入したものですよね。。

 df(a)/dx は紛らわしい書き方です.
 d(f(a))/dx と (df/dx)(a) が区別されるように書きましょう.

> f(a)の微分と言ったらf(a)は定数ですから0になってしまうのではないでしょうか?

で, どこに「 f(a) の微分」に相当することが書いてありますか?
上でも私は「 f の n-1 階の微分」という書き方をしています.
 
> > > 剰余項R_nはR_n=1/n!D^nf(a+θh,b+θk) (但し,0<θ<1)なるのですね。
> > 剰余項はそれでは駄目です.
> 
> えっ? 何処がダメなのでしょうか?

では, その剰余項を用いて, Taylor の定理を証明して
御覧なさい. 出来ませんから.

> > > 剰余項R_nはR_n=1/n!D^nf(a+θh,b+θk,c+jθ) (但し,0<θ<1)となるのですね。
> > それでは駄目です.
> 
> えー? これもどう書けばいいのでしょうか?

これも同じく, その剰余項を用いて, Taylor の定理を
証明して御覧なさい. 出来ませんから.

> > > 「位相数学入門」中岡稔著
> > > http://www.geocities.jp/narunarunarunaru/study/differntial_20090507.jpg
> > > にこのように載っているのですが私の読み方が甘いのかもしれません。
> > そこに書いてあるのは, 線形写像 λ: R^n → R^m が存在して,
> >  lim_{h→0} ||f(a + h) - f(a) - λ(h)||/||h|| = 0  (h ∈ R^n)
> > となるなら f は a において微分可能, です.
> > λ(h) が読めませんか.
> 
> すいません。λ(h)=g(x)hと書けるという事でしょうか?
> どうしてでしょうか?

貴方は,

In article <5b329ebe-5a34-4108-9550-20e22154767f@l16g2000pra.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> そうでした。{h→0}|f(x+h)-f(x)-g(x)|/h=0なる
> 線形写像g:R^m→R^nが存在する時,
> fは微分可能であるといいgを微分というのでしたね。

と書いたのです. f(a + h) - f(a) を f(x + h) - f(x) に
するのは構いませんが, λ(h) を g(x) とするのは,
元の λ(h) を λ(a) と読み間違ったのではないですか.
で, h が消えてしまった. Taylor の定理でも h に対応
するところが全て消えている.

そもそも, λ(h) は線形写像 λ: R^n → R^m による
 h ∈ R^n の像のことですが, 線形写像 λ を行列と
同一視すれば, λ h と, 行列とベクトルの積になる
ところです. λ は微分を考える点を変えれば変化する
線形写像(行列)ですから, それを
 f(a + h) - f(a) に対しては g(a) と,
 f(x + h) - f(x) に対しては g(x) と,
或いは, 本来の書き方では,
 f(a + h) - f(a) に対しては (Df)(a) と,
 f(x + h) - f(x) に対しては (Df)(x) と,
書いたとして, それに h というベクトルを掛けなければ,
 R^m のベクトルを表すようにはなりません.
 
> > λ = g(a) とすれば, (そう λ は f の a での微分です)
> >  lim_{h→0} ||f(a + h) - f(a) - (g(a))(h)||/||h|| = 0  (h ∈ R^n)
> > であり, R^n のある領域 D の各点 x で微分可能であれば,
> > 各 x において,
> >  lim_{h→0} ||f(x + h) - f(x) - (g(x))(h)||/||h|| = 0  (h ∈ R^n)
> > です. (g(x))(h) と書くより g(x) h の方が見易いでしょう.
> 
> すいません。g(x)hはg(x)のh倍と解釈してはダメなのでしょうか?

 g(x) h は, 行列 g(x) とベクトル h の積です.

> 「有界閉⇔compact」は成り立ちませんよね。

ユークリッド空間だから成立します. どこかで
 Heine-Borel の被覆定理について言及されていたのは,
理解せずに述べておられたのですね.

> 有界閉集合上だけでなくcompact集合上でも一様連続となるのですね。

同じことです.
 
> > |det(Φ'(x))| の一様連続性から, ε を
> 
> 下記の<δとなる十分z_{k_0}に近いx,即ち,|x-z_{k_0}|<εに対して
> 
> >  ||det(Φ'(x))| - |det(Φ'(z_{k_0}))|| < δ
> 
> となるのですね。えーと,一様ではなくただの連続なら,
> |x-z_k|<εなる或るkについては
> ||det(Φ'(x))| - |det(Φ'(z_{k_0}))||≧δとなるかもしれないのですよね。
> でも,||det(Φ'(x))| - |det(Φ'(z_{k_0}))||<δを満たすよ
> うな|x-z_k|<εなるkは一つあればいいのではないでしょうか?
> 一様性がどうして必要なのでしょうか?

どの k についても同じ ε で, |x - z_k| < ε であれば,
 ||det(Φ'(x))| - |det(Φ'(z_{k_0}))|| < δ となる
ということを導くのに, 一様連続性を使っているのです.

> > それは貴方の,
> >>>> そして,0<∀ε∈Rに対して, |Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))|
> >>>> χ_{Q_k}(x)|<∃K∈R…②.で Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))|
> >>>> χ_{Q_k}(x)∈L^1…③なら
> > という書き方が悪い. 私は
> >> > そして,0<∀ε∈Rに対して, |Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))|
> >> > χ_{Q_k}(x)|<∃K∈R…②.で Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))|
> >> > χ_{Q_k}(x)∈L^1…③なら
> > と引用した筈です.
> 
> ん? すいません。これら前者と後者で何が異なっているのでしょうか?

どうも貴方の Browser は引用の部分を勝手に編集するタイプの
 Browser のようですね. 私は,

  |Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))| χ_{Q_k}(x)|<∃K∈R…②.で

が一行になるように編集して投稿していますが, それが

  |Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))|
  χ_{Q_k}(x)|<∃K∈R…②.で

の二行になっています. 最初の行だけを見て,

In article <b3969627-3169-43be-a3c4-07e70fe4f467@j12g2000vbl.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> でもその無限和Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))|はどうして有界と分かるのでしょうか?

> ええっ?無限和Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))|の各項だけしか
> 有限と分かっていないのですが。

などという疑問が出てきたのではないですか.
そういう Browser をお使いなら, それ相応の
注意をお払い下さい.

> 有界集合Eでその閉包cl(E)で|det(Φ'(x))|が存在するから
> Eでも|det(Φ'(x))|は有界で
> |Σ_{k=1}^∞ |det(Φ'(z_k))|χ_{Q_k}(x)|<∃K∈R…②が言えて,
> 有界収束定理が使える。。という構図でしょうか?

実際, 測度零の集合を除いて, 連続関数に一様収束
しているので, 積分の収束は殆んど明らかです.
-- 
塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp