In article <43a982ed.4617%szk_wataru_2003@yahoo.co.jp> szk_wataru_2003@yahoo.co.jp writes:
>>>その者が運転することができる自動車等の種類を限定し、
>>>その他自動車等を運転するについて必要な条件を付し、
>>の「その他」って何ですか?
>(中略)
>>これは「限定」に対する「その他」としか読みようが無いと思うのです。
>これはその通りですが、
>>即ち、この条文自体は「限定」は「条件」の一種であると
>>主張しているとしか読めないと思うのですが、どうでしょうか?
>ここが違います。
>先ず普通の国語として考えても例えば、
>「同窓会で、昔の担任の先生にお会いし、その他数人の旧友達に会った。」
>この例文では「昔の担任の先生」は「数人の旧友達」の一種ではありません。

これでは、反証になっていませんよ。

挙げられた例文の場合、「お会いし」と「会った」が対応しています。
ですから、「昔の担任の先生」と「数人の旧友達」が対置されて、
「昔の担任の先生」に対する「その他」が「数人の旧友達」になります。

しかし、問題になっている条文では、「限定」と「条件」を対置させて
「限定」に対する「その他」が「条件」であると解することはできません。
「限定する」という行為に対して、
「条件」は抽象的ながらも「モノ」として存在しており、
「限定」と「条件」が対等な立場に無いからです。
つまり、この文章は「限定」と「条件」を対等に対置する読み方では
意味が取れないのです。

「限定し」と「付し」を対置させる読み方も可能かもしれませんが、
それよりは「省略」の存在を前提にする読み方の方が自然でしょう。
省略を補う方法は2種類考えられますが、結果的には同じになります。
(というか、必然的に同じ結果になるハズなのですが)

方法1:
「その者が運転することができる自動車等の種類を限定するという条件、
 その他自動車等を運転するについて必要な条件を付し、」
(「条件」という語の修飾語同志が対置されます)

方法2:
「その者が運転することができる自動車等の種類を限定し、
 その他自動車等を運転するについて必要なことを求める条件を付し、」
(「求める」の部分は、他の表現に替えた方が良いかもしれませんが、
 要するに「限定する」と「求める」が対置されます)

あるいは(結果的には同じになりますが)別の読み方として、
「限定する」という行為は
行為の本質として「条件を付ける」ことに該当するという理解も可能
(挙げられた同窓会の例文では、この理解は「意味論として」不可能)です。
つまり、「限定し」は「限定する条件を付し」と同義であるとする理解であり、
それに対置されるのは、単に「付し」だけではなく
「必要な条件を付し」まで含めた全体になります。

このような読み方が可能であることを前提に考えると、

In article <43a5383f.4589%szk_wataru_2003@yahoo.co.jp> szk_wataru_2003@yahoo.co.jp writes:
>更に、道交法施行時の附則については、
>……限定又は……条件……は、……条件とみなす。
>と限定と条件を一緒にしている部分があります
という事実がある以上、当初制定条文の起草者が
「限定」は「条件付与」の一種であるという前提で書いており、
SUZUKIさんのような読み方を期待していないことは明らかでしょう。

また「64条&84〜87条」に対して「91条」
「117条の4第1号(旧118条第1号)」に対して「119条第15号」
という形式のまとめ方から考えても、
91条における「限定」と「条件」を別物と考える前提で
119条が記述されているとする読解は不自然です。

>以後の附則は少なくとも確認した限りすべて、
>……限定又は条件……は、……限定又は条件とみなす
という事実は、
改正条文の起草者が、
91条における「条件」の意味が曖昧であることに気付いて、
「念のために」二重に表現したと考えることもできます。

要するに、
>つまり、91条は「自動車等の種類を限定」と「運転するについて必要な条件を
>付し」を区別していると考えるべきです。
ということは明らかだとは言えません。
確かに、SUZUKIさんの読み方が「可能である」ことは認めますが、
「そうとしか読めない」という主張には賛成できません。

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表現形式論は、今はここまでにしておいて、内容論ですが……

一般論として、
In article <43a982ed.4617%szk_wataru_2003@yahoo.co.jp> szk_wataru_2003@yahoo.co.jp writes:
>みなし規定は、注意規定であることもよくあります。
>平たく言えば「紛れをなくすため」に置くものですから、
>本来別の物を強制的に同じにする場合に使うとは限りません。
ということは認めますが、
今問題になっている軽免許の問題に関しては、
「本来別の物を強制的に同じにする」場合に該当すると
考えるに足る充分な理由があります。

SUZUKIさんの書かれた
>そもそも、今まで無免許でなかったものが免許区分の変更で無免許になるとい
>うのならともかく、元々無免許のものが免許区分の変更で無免許でなくなると
>いうのは、道路交通の安全と円滑を図る運転免許制度の趣旨から言えばどう考
>えてもおかしいのです
という観点は、軽免許の普通免許への統合のような
「今まで存在していた区分が、制度改正で無くなった」場合には該当します。
ですから、この場合には、
「本来別の物を強制的に同じにする」みなし規定が必要であれば
必ず制定する必要があります。

しかし、これに該当する事例が軽免許以外にありますか?
AT限定免許は明らかに逆向きですね。
「今まで存在していなかった区分が、制度改正で発生した」ものです。

従って、軽免許以外の例に「みなし規定」が無いのは、
軽免許の事例とは違って「本来別の物を強制的に同じにする」必要が無い
という立法意思であると解するのは、極めて自然な理解です。

                                戸田 孝@滋賀県立琵琶湖博物館
                                 toda@lbm.go.jp