At Fri, 06 Aug 2004 08:09:34 +0900,
in the message, <4112BE2E.C3645C3B@ht.sakura.ne.jp>,
IIJIMA Hiromitsu <delmonta@ht.sakura.ne.jp> wrote
>で、これで気がかりな点は、提訴→取り下げ→ほとぼりが冷めてからまた提訴→
>取り下げ→…なんてことになったらどうするんでしょう? 訴訟権の濫用につき
>裁判所の職権で取り下げ不許可、なんて事例あります?

無いでしょう。

そもそも実際にやるやつはいないと思いますが、仮にいたとして訴権を制限し
てまでも保護する必要のある法律的利益(誰の利益でもいい。)が何かありま
すか?
あるいは、訴権を制限することで保護できる法律的利益がありますか?


……ちなみに視点を変えると、被告側は本来しなくていいはずの応訴を強制さ
れるということになります。
相手が取下げるのなら被告は何もしなくていいのに、裁判所が取下げ不許可の
決定(だろうな)をしたら被告は応訴せざるを得ない
(でないと敗訴のリスクを負うよ。
 リスクと言っているのは、仮令答弁書も出さず欠席したとしても原告の
 言っていることがメタメタなら勝てるから。)。
応訴の強制とうっとおしいだけで無意味な訴状の送達の繰り返しとどっちがマ
シかと言えば、一般論としては後者じゃないかな。
ましてその訴訟がほとんど因縁に過ぎないような代物なら(と言うか大概そう
いう内容だろうね。)仮に応訴しても相手が期日不出頭で棄却判決が出るとか
そういう展開になって終るんじゃないの?
そんな判決もらっても何にも嬉しくないと思うけど。

まあ、どうしてもうっとおしい訴状送達を止めさせたければ、それこそ別投稿
に指摘のあるとおり、それ自体を不法行為として損害賠償請求訴訟でもすれば
いいでしょう。
もっともそれでも止めない奴は止めないけどね……。

あるいは、応訴したいというのなら思いきってこっちが原告として相手の請求
内容の債務の不存在確認訴訟をやってもいいだろうけど、請求が毎回違わない
とも限らないし、これまた別投稿でも指摘のあるとおり仮令判決が出ても同じ
ネタで訴訟提起だけならいくらでもやれるからねぇ。
再訴を繰り返せば濫訴となる可能性は高いけど、再訴それ自体を直ちに止めさ
せられるわけではない。
濫訴であるから違法な訴え提起であるとして却下判決が出たとしても、その後
もう一度訴え提起があった場合それがまた濫訴であるかどうかはやはり審理し
なければ判らないから審理を要することには変わりはない。
つまり、仮令濫訴になったとしてもその後のさらなる起訴を防ぐことはできな
い。

とまあそんなわけで、訴え取下げの制限が具体的直接的に被告の利益になると
いうのならともかく、そうでない以上取下げを制限したところで実用的な意味
が無くしょうがないと思います。

-- 
SUZUKI Wataru
mailto:szk_wataru_2003@yahoo.co.jp