At Mon, 04 Aug 2003 00:18:41 +0900,
in the message, <20030804001841cal@nn.iij4u.or.jp>,
cal@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote
>>cal@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote
>>>……実際は財物ではないからこその規定とも言えるのです。
>
>これ言っているのはあたしだけではない……。

だから「平野説?」って。:-)

# 平野先生は、そう解しているはず。
 平野先生って北大だよな。

>>判例通説的には単なる注意規定。
>
>単なる注意規定をわざわざ新設したの?って疑問はあるさね。
>少なくとも立法的解決をはかったというのには
>「実際は財物ではないからこその規定とも言える」
>からこその話。
>……「電気も財物」が本当に鉄板なら判例がある以上改正の要なしとも言える。

判例を追認する改正も有ります。

判例が有るとしても、微妙な解釈だから罪刑法定主義の趣旨に添って判例を知
らなくても明文から紛れなく理解できるようにしておく方が望ましい場合に
は、単なる注意規定に過ぎない条項であってもあえて積極的に設ける意味はあ
ります。

ついでに言えば、日本において判例の先例としての拘束性は事実上のものに過
ぎないので、「鉄壁」な判例などないとも言えます
(そもそも最高裁判例ですら10年経たずに変更されることもあるのであっ
 て、「鉄壁」かどうかなどを問題にしても大した意味はない。)。
とすれば、判例があるというのは判例があるという以上の意味は無いとも言え
ます。

ならば、判例があるとしてもその内容が変更にならない保証など一切ありませ
ん。
そこで、判例が妥当な判断であると考えた立法者が後顧の憂いを断つ意味で判
例を追認した改正をしてもまったくおかしくありません。


ちなみに本件の場合、旧刑法を廃止して新たに刑法を制定し直しているので、
いい機会だから紛れをなくしてきちんとした方がいいと考えた可能性はあるで
しょう
(旧刑法下の解釈がそのまま通用するかどうかも議論の余地がある。
 その点を捉えて現行刑法において「財物」に電気を含めた判例は存在し
 ないと言うのであればそれはその通り。
 しかし、通説(前田先生に言わせると有力説。)である物理的管理可能
 性説ではやはり電気は財物。
 その点からは相変わらず単なる注意規定。)。

……もっとも、結局「電気は例示か限定か(注意規定か創設規定か)」って紛
れが出てるじゃないかって気がしますが。


なお、旧法は大昔に廃止になったのでもはや旧法に関する判例が出ることは有
り得ないから当該判例は絶対に変更にならないという意味で「鉄壁」の判例と
言うことは可能ですが、無意味もいいところ。

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SUZUKI Wataru
mailto:szk_wataru_2003@yahoo.co.jp