佐々木将人@函館 です。

>>From:SUZUKI Wataru <omegafactor@anet.ne.jp>
>>Date:2003/09/11 23:31:56 JST
>>Message-ID:<3f607d69.5569%omegafactor@anet.ne.jp>
>>
>>そもそも「置き忘れる場合に人混みかどうかなど置き忘れる人間は意識してい
>>ない」「占有は占有者と物の関係を示すもの」なのに、「占有者と物の関係が
>>占有者と物とは別の周囲の状況で変るとすること自体が本来おかしい」と言っ
>>てるのだけどね。
>
>どこがおかしいの?
>(この点、実は後で述べる点に集約されるのでそっちで述べます。)

と言いつつ、集約の過程を書いてないな。

これは大コンメンタールでも
「占有離脱物の外観があっても」という分類を設けているし
外観だけじゃためだと言っているところまではおそらく争いなし。
そして例えば大コンメンタールは窃盗罪のところでは9つくらい
占有離脱物横領罪の箇所の窃盗罪成立のところでは5つくらい
の類型をあげているけど
それをさらにいくつかの事情に分類して
「結局これらの基準から具体的な事情に即して」
と述べている。
その分類の中には
「占有は占有者と物の関係を示すもの」を具体的にどう判断するかについても
「占有者と物とは別の周囲の状況」によって判断しているのがあるんだから
それ自体でもはや
「おかしい」と判断する方がおかしい。
……むしろ金沢支部判決の基準を厳格に運用する方が
 「占有者と物の関係が占有者と物とは別の周囲の状況で変るとすること自体が
  本来おかしい」といいやすい。

で、前の投稿に続く……。

>なぜそう思わないかというと
>A and(B or C)が要件なのに
>A and Bと書くのは正確性に欠け理由として不備だからです。

忘れるといけないので先取りして書きますが……。
A and( B or C )を単にA and Bとするのが理由不備になるのは
以下のとおりです。
すなわちこの場合のBやCは事実ではなくて評価です。
そうすると同じ事実を前提に原審の認定したBではなくCと評価することは
これは充分にあり得る話です。
その時にA and Bと書いていればその部分も含めて原審を破棄して
A and( B or C )(もしくはA and C)と書いた上で犯罪成立を認めることになります。
一方A and( B or C )なら破棄する必要はありません。
原審とは評価が異なるけど結論に影響しないから原審を破棄しないで上訴を棄却すればいい。
最初からA and( B or C )だとわかっていて
それをA and Bしか書かなくて
上級審でA and( B or C )であると示されてしまうのは
これは不備以外の何物でもないでしょう。
(裁判官のメンタリティとしてもやらないと思うな〜。)

以下

>あとは「この判決のこの部分は採用できない」とするか
>「要件はA and BでCは無関係だとするのがこの判決」
>とするかなんです。
>当然私は「要件はA and BでCは無関係だとするのがこの判決」のり。

という次第。

ちなみに大コンメンタールは
占有の有無の客観的判断基準の必要性自体は否定しないけど
それは判例の集積を待つしかないという立場。

もともと昭和32年11月8日最高裁判決については
大コンメンタールも基本に置いているところ
(これに対し金沢支部判決は1類型の中の1判決って位置づけ)
この判決は
|しかして、その物がなお占有者の支配内にあるというを得るか否かは
|通常人ならば何人も首肯するであろうところの社会通念によって決するの外はない。
としているし
私は金沢支部判決がその具体的な基準を示したものだと
理解していますというのは以前述べたとおり。

そうだとすると大コンメンタールがどういう記載であろうとも
それと金沢支部判決基準を矛盾なく説明することは可能だし、
(実際2月9日に
 であるならばこの要件の具体的な判定基準について
 私も確固たる主張を組み立てられている訳ではないんで
 あまり深くは争いません。
 と書いたとおり。)
それで読んでなかった訳だけど
読んでみてやはり矛盾なく理論構築が可能
(端的に言えば
 「その物に対する支配力を推及するに相当な場所的時間的範囲内」
 「所有者の支配意思が明確にみとめられる」
 という評価基準で吸収できる。)
と思った次第。

ちなみに大コンメンタール自体は批判的だけど
小暮先生なんかは窃盗罪をさせた判決の中の1つには批判的でしょ。

----------------------------------------------------------------------
Talk lisp at Tea room Lisp.gc .
cal@nn.iij4u.or.jp  佐々木将人
(This address is for NetNews.)
----------------------------------------------------------------------
ルフィミア「兄さん、秋休みだね。私をどこに連れていってくれるの?」
まさと  「それ青いブレザーでキュンキュンさせながら言わないと……。」