佐々木将人@函館 です。

>From:SUZUKI Wataru <omegafactor@anet.ne.jp>
>Date:2003/08/14 22:35:36 JST
>Message-ID:<3f3b8ed2.5324%omegafactor@anet.ne.jp>
>
>確認しますけど、従前挙げた幾つかの判例が窃盗罪とする「置き忘れ」の事例
>において佐々木<cal@nn.iij4u.or.jp>さんは、「支配意思が明確に認められ
>る」と考えるということですね?

はい。

>あるいは、
>|窓口で金を払ってそこに財布を置き忘れるなんてのはまさに普通とらない行動
>|でして。
>|でも占有ありとしているわけです。
>|
>|あるいは、立ち話の相手の酔っぱらいが立ち去る際に置き忘れた鞄を、同人が
>|300mほど離れたところで気付いて通りがかりの(オート)三輪車ですぐ引き返
>|すまでの間に持ち去った場合なんてのも(福岡高裁宮崎支判昭和29年4月23
>|日)、完璧に「普通とらない」し当人はその時点では一時的に失念しているけ
>|ど、それでも占有があるから窃盗罪になると。
>のような事例は、どう見ても「普通とらない」行動です。
>であれば「普通とらない」行動をもって「支配意思が明確に認められない」と
>する佐々木さんにすれば「支配意思が明確に認められる」とは言えないはずで
>す。

そう?
前提として聞くけどこれらの例って
人込みなんだという主張で間違いないのね?
(どうもあたしには人込みだったとは思えないんだけど……。)

人込みでないなら駄目ですよ。

|From: cal@ams.odn.ne.jp (SASAKI Masato)
|Date: Sun, 02 Feb 2003 23:18:31 +0900
|Message-ID: <20030202231831cal@ams.odn.ne.jp>
|
|人込みにおいて物を単純に置いてその場を離れるなんて行動は
|普通とらない訳でして
|ゆえにそこに所有者の支配意思を明確に認めることは普通できない。

人込みでなければ答が変わり得ることは

|From: cal@ams.odn.ne.jp (SASAKI Masato)
|Date: Sun, 26 Jan 2003 23:02:49 +0900
|Message-ID: <20030126230249cal@ams.odn.ne.jp>
|
|これが1月27日午後2時あたりの亀田八幡宮で
|参拝客がいるんだかいないんだかわからない状態で
|何か物を落としたとしましょう。
|その近くにまだあるのならこれは占有認めていいと思いますし
|落としたのをめざとく見つけて走りよってそれを拾って走り去るなんてえのは
|占有離脱物横領罪より窃盗罪って気するでしょう。
|でも賽銭を投げ入れようとして失敗するくらい
|混雑している状況
|例えば1月1日午前0時の川崎大師において
|投げた人の支配は認められそう?

で示したとおり。

ちなみに
私がこだわっている昭和45年3月10日名古屋高裁金沢支部判決より前の
昭和32年11月8日最高裁判決が示す
|刑法上の占有は人が物を実力的に支配する関係であって、
|その支配の態様は物の形状その他の具体的事情によって一様ではないが、
|必ずしも物の現実の所持又は監視を必要とするものではなく、
|物が占有者の支配力の及ぶ場所に存在するを以て足りると解すべきである。
の最後の1行だけによって
「時間的空間的距離だけでよい」という主張なら
それはそれで理解するけど
この判決はその後で
|しかして、その物がなお占有者の支配内にあるというを得るか否かは
|通常人ならば何人も首肯するであろうところの社会通念によって決するの外はない。
としているし
私は金沢支部判決がその具体的な基準を示したものだと
理解しています。

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cal@nn.iij4u.or.jp  佐々木将人
(This address is for NetNews.)
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ルフィミア「私のアンソロ本を書くって本当?」
まさと  「それ、微妙に間違っている……。」