工繊大の塚本です.

In article <kj7n98$4g1$1@dont-email.me>
"Kyoko Yoshida" <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_tetration__00.jpg
> が超ベキのtetrationとpetrationの定義なのですね。

そういうものを「超ベキ」と呼ぶ場合もあるのでしょうが,
ここで話題にしている「超ベキ」とは違います.

> http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%88%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3
> を参考にいたしました。

ウィキペディアを参考にするなら「超実数」のところです.

> ZFC公理系とこの超ベキからどのようにして超実数が構成できるのでしょうか?

<http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B6%85%E5%AE%9F%E6%95%B0>
の「超冪による構成」のところです.
「テトレーション」が無関係であることが分かるでしょう.

> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_formula__00.jpg
> と訂正させていただきました。

こういう議論をするときには,
「式」というのはどのような記号列のことをいうのか,
という形式的な部分と,
その「式」はどのような実数の組について成立するのか
という意味的な部分とが
区別されるように話ができていないといけません.
勿論, 形式的な部分は意味的な部分が出て来るように
定義しておくわけですが.

貴方の読んでいる本の 8 page でも, 先ず,
ある記号列が「項(term)」であるとはどういうことか,
が定義され,
「式(formula)」というのは「項(term)」の間の関係式, 即ち,
「方程式」か「不等式」として書ける記号列だけを言う,
と定義されています.
「式」の定義はこのように記号列の形式から「式」であるかどうかが
判定できるものでなければなりません.

その上で「式」或いは「式系」の「解」の概念が定まるという形で
その「式」「式系」の意味が定まることになるのです.

貴方の「定義」は,
どうにも意味が取れない書き方ですから困りますが,
どうやら意味の部分にしか注目していないという点で
採用できないものです.
因みに, 「項」の「値」は定義されないこともありますから, 
 A_i らは「値」が定義できる範囲に制限するつもりなのでしょうが,
それが確定すると仮定して話をするのは不自由です.

> 式の定義に就いてですが,
> 方程式や不等式の変数の定義が出来なかった為に,

変数というのは単に他に意味を持たない「記号」のことです.
形式的にはそれだけのこと.
一方, それには「実数」が代入できるという意味があります.

> {(x_1,x_2,…,x_m);f(x_1,x_2,…,x_m)=true}という集合での
> 束縛変数という形で定義させていただきました。

貴方の言う「式」とは f のことなのですか,
その集合は「式」の何なのですか.

> これなら例でのf(x,y,z)については
> (1,2,3)が2x^2+√7sin^2y=exp(z)-x^{1/4}の解なら
> (1,2,3)∈{(x,y,z)∈[0,+∞)×R^2;f(x,y,z)=true}と表せますし,
> (-1,2,3)が2x^2+√7sin^2y=exp(z)-x^{1/4}の解でないなら
> (1,2,3) \not \in {(x,y,z)∈[0,+∞)×R^2;f(x,y,z)=true}と表せますし,
> 2x^2+√7sin^2y=exp(z)-x^{1/4}自身が解を全く持たない場合は
> {(x,y,z)∈[0,+∞)×R^2;f(x,y,z)=true}=φと表せます。
> 不等式や不方程式の場合も同様です。

 f の話をしているのか, 「集合」の話をしているのか,
どちらでしょう.

> 上述のように
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_formula__00.jpg
> と訂正致しました

形式的な部分と意味の部分とを分離しておかないと,
混乱するだけですよ.

> a^*∈A^* ⇔ {i∈I;a_i∈A}∈U for a^*=[{a_i}_{i∈I}]なのですね。

ということで,
<http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_system_formulae__00.jpg>
が駄目であることは御了解いただけましたか.

> [{a_i}_{i∈I}]の{a_i}_{i∈I}は実数列を表しているのでしょうか,

はい.

> もしそうなら[(a_i)_{i∈I}]と書いてもいいでしょうか?

はい.

> 非力ながら
> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_real_numbers__00.pdf
> という具合に実数の公理を使わず,ZFC公理系のみから実数を定義してみました。
> これででも大丈夫でしょうか?

そりゃあ, 有理数の Cauchy 列の同値類から実数を構成する話は
何処にでも書いてありますが, そうやって構成したものが
「実数の公理」を全て満足することはちゃんと確かめられましたか.

> 取り敢えず\mathbb{C}とその四則演算まで一揆に定義してから

そんな定義はないようですが.

> \mathbb{C}⊃\mathbb{R}⊃\mathbb{Q}⊃\mathbb{Z}⊃\mathbb{N}という包含関係で
> 実数体,有理数体,整数環,自然数系を定義していきましたので

そうなっていませんね.
 [Def120.8] で有理数から実数を定義しているだけですね.
次の [定義220] で突然複素数が現れているようですが,
その複素数の定義は何処にもありませんね.

> [Def9.8]にてI_A=min{I;I is a recursive set}のI_Aが自然数系になるのでしょうが,
> このI_AをN~という記号で表してから,Z~,Q~,R~,\mathbb{C}という具合に
> \mathbb{C}に達しました。

ですから達していません.

> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_hyper_real_number__00.jpg
> という具合にこれもZFC公理系だけから定義してみました。
> これで間違いないでしょうか?

 U が定義されていませんね. ですから駄目です.

> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_hyper_real_number__01.jpg
> と記述してもいいのですね。

 U が分かっていなければ, 意味ありません.

> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_filter__00.jpg
> となってしまったのですが,,,
> 兎に角,rは関係記号(一階関係記号,二階関係記号,三階関係記号,…)なのですが,

関係記号の分類は「一変数関係記号」「二変数関係記号」等々です.

> (i)以外にどのような条件が必要なのでしょうか?

今考えたいのは I (= N) のベキ集合 P(I) = A についてであり,
 r を包含関係 \subset とします.
 A の部分集合 B がフィルターであるとは,
 (i) \emptyset \notin B,
 (ii) x, y \in B ならば x \cap y \in B,
 (iii) x \in B, x \subset y ならば y \in B
が成立することです. (ii) の有限交叉性が重要.

> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_ultrafilter__01.jpg
> という具合に(C,≦^r,A)と"⊂"に関して比較可能なfiltersの中で
> 一番小さなfilter("⊂"を順序と見た場合での一番小さなfilter)を
> ≦^rに関するA上のultrafilterと呼ぶのだと思います。

それは話が逆です. 極大なものを ultrafilter と呼びます.
つまり, A の部分集合 C もフィルターで B \subset C であれば,
 C = B となるフィルター B が超フィルターです.
 
> つまり, 簡潔に言えば,極大フィルターの事を
> 自明な超フィルターと呼ぶのでしょうか?

違いますよ. I の元 e \in I を一つ選ぶとき,
 B = { x \subset I | e \in x }
のようなフィルターを自明な超フィルターと呼ぶのです.
これは極大フィルターですが, 極大フィルターには
この形のものでないものもあることが,
 Zorn の補題から導かれます.
超ベキの構成には自明でない超フィルターを使います.

> http://www.geocities.jp/a_k_i_k_o928346/def_maximal_filter__00.jpg
> が極大フィルターの定義ですよね。 

その文章は変ですね. 違います.
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塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp