Annie さんの
news:br7ddk$22b$1@caraway.media.kyoto-u.ac.jp より
> 「原則一棟」というのは、どのような規定からでしょうか?
> 離れを建てる場合の条件が別にあるのでしょうか?

 YES 引用します。 
|| 建築基準法施行令 1 条 1 項一号(用語の定義)
||  敷地  1 の建築物又は用途上不可分の関係にある 2 以上
||      の建築物のある一団の土地をいう。

 “用途上不可分”というのが解りにくいですが、例えば、離れの
車庫とか物置とか勉強部屋とか茶室とか etc. 離れと母屋の関係が
密接で分ける事が不合理な場合。
 解らなかったら、こんな組み合わせはどう?と、事例で質問して
みてください。

 現状A氏一族がそれぞれの敷地に一棟ずつ家を建てて住んでいたと
して、それをそのままで“まとめて一つの敷地”として扱う事はでき
ないし、ひとまとめにした後には、たとえ複数家族で使う場合も二つ
以上の独立して機能する住宅を建てる事はできないと言う事です。
 繰り返し原則一棟と書いたのは、今回の事例を見ていると、このよ
うな考えに至る可能性が有りそうだと思ったものですから。

> ──────────────────────────────   
> 
>            道路(公道巾4m)  
>      1.5m
> ────┬ ┬───────┬1m┬───────┬───┬─   ─
>     │ │       │ │       │約3m│    ↑
>     │ │       │*│       │   │    │
>     │ │       │路│       │   │    │
>     │*│ *敷地D  │地│       │   │    │
>     │ │       │B│ 他者所有地 │   │    │
>     │路│       │長│   Y   │   │    約
>     │ │       │サ│       │   │    33
>     │地├───────┤23│       │   │    メ
>     │ │       │m│       │   │    |
>     │A│ 他者所有地 │ ├───────┤   └───┐ト
>     │ │   Z   │ │       │       │ル
>     │ ├───────┤ │ *敷地B  │       │
>     │ │       1m │       │ *敷地C  ││  
>     │ │       ├─┴───────┤       ││  
>     │ │ *敷地A  │         │       ││
>     └─┼───────┘ 他者所有地X  │       ││
>       │                 │       ││
>       │                 │       │↓
>       └─────────────────┴───────┘─  

> >> 路地の両側は家が建っているので、道幅を広げるのは不可能です。
> >
> > ちゅうことは“他者所有地 X ”が建築しようとした場合に、接道
> >2メートルが可能な“敷地 C ”の通行権を主張する可能性もあるわ
> >けですね。認められる可能性は五分以下のような気もしますが。
> 
> 現在路地Bの通行権を持っているXが敷地Cの通行権への変更を認められる場合
> があるのでしょうか? 感覚的には「そんな無茶な!」と思いますが。

# 余計な事書いちゃったな。
 私も五分以下と書いたように認められるとはあまり思っていません。
 後述する判決の中でも最初に決めた通路を替える事は認めていません
し、囲繞する土地の不利益が最低限になるように求められていますし。
 心配させてすみません。

 しかし、土地の有効利用や相隣関係の観点からすると通路巾2メート
ルを認めないというのも、X の権利を猛烈に制限しているようにも思う
んですよね。現状既に X には“建築”ができないのですから。将来的
にそういう判定がある可能性は否定できないということ。
 ちなみに現在新設される囲繞地通行権による通路は、私が知る限り巾
2メートル以上とっています。

> Xの通行権は、建物が建っている、建っていないにかかわらず、ある、というこ
> とですね?

 YES
 反対意見は有るものの最高裁 H.2/11/20 判決では囲繞地通行権は土地
に付着した物権的権利であるとされています。
 つまり人が住んでいない、ひいては建物が建っていなくとも権利がある
という事で、当該事件もいよいよ家を建てる段になってから、囲繞地通行
権確認請求を出したものです。
 
> 逆にいえば、路地Bを現状のままXに通行権を認めたままで、A,B,Cを一体
> の敷地として建築する事は可能、という理解で良いでしょうか?

 YES
 えーっと、前回も可能だと書いたのですが……
# 余計な事書いちゃったので発散しちゃったかしらん(^^;

 ついでに前回はしょった土地形態の説明をしますと、

 “路地 B ”は通路状であっても、通行権があっても地目が“宅地”で
ある事に変わり有りません。(確認したのはその為)地目が宅地であれば、
見た目が通路でも、敷地としてみることができます。
 通行権があっても建築基準法定めるところの“敷地”であることに変
わり有りません。
 つまり“他者所有地 X ”の通行権を拒絶しなくとも“一つの敷地”に、
算入する事は可能です。
 逆に“路地 B ”を一部でも参入させないと“敷地 A ”は“敷地 B,C ”
と一体にならないのはお解りだと思います。

 最初の質問は「“路地 B ”の部分を参入しても通行権があるから、
通路として“敷地 A ”を分断しているのではないか」というように
読みましたので、上記理由により「A氏所有の土地に関して言えば
 A,B,C を一体の敷地として建築する事は可能です。」と答えました。


 念のため書きますが、現状の通路状態で判断しています。
 何かの拍子に“通路 B ”が巾2メートルになったりすると、判断が
変わります。それから、あくまで私的判断だということを常に念頭に
置いてください。

-- 
SUZUKI Yuuki